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不動産業界とは?仕組みや現状・仕事内容・就活のポイントも解説

「不動産業界に入りたいけど仕組みや仕事内容がいまいちはっきりしない」そのようにお悩みではありませんか?

確かに不動産業界といっても、ハウスメーカーや賃貸販売会社、不動産仲介業者などさまざまあり、仕組みやビジネスモデルがイマイチわかりませんよね。

そこでこの記事では、動産業界の仕組み」や「現状」「仕事内容」など、就活するうえで知っておくべきことを紹介します。

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中野

記事の監修者

中野

2021年に営業インターンを開始し、リーダー昇格・社長賞を受賞。翌年に入社後は約20名のマネジメントを担い、新人賞を獲得。2023年にはHR事業部で学生の就活支援と育成を経験し、後半は不動産事業の立ち上げに現場責任者として参画。2024年以降は人事領域全般(採用・教育・研修)を担当しつつ、プロジェクトマネージャーとして集客の仕組み化を推進。新電力・エネルギー・不動産業界に精通。プロフィール詳細

吉田

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吉田

新卒で株式会社C-mindに入社後、キャリアアドバイザーとして累計1000人以上の就活生との面談を経験。就活時代も大手からベンチャーまで様々な業界・職種を見てきた経験から、幅広い視点でのサポートを得意とする。プロフィール詳細

不動産業界とは

不動産業界とは、商業施設や住宅など建物の建設・利用に関わる業界のことで、「設計」「建設・施工」「管理」などの分野に分けられています。

具体的な業種としては、ゼネコンや住宅メーカー、ビル、マンション管理会社などです。

扱う商材・プロジェクトの規模が大きい業種は珍しくなく、中には数年を要することもありますよ。

なお、不動産業界は広い意味であれば、道路やビルの建設、都市の再開発をする業種も含まれますが、不動産業と建設業を分けることもあります。

不動産業界の主な業種とそれぞれの役割|1日のスケジュールも紹介

不動産業界にはさまざまな業種があり、それぞれ役割が異なります。

ここでは、不動産業界の主な業種である以下の6つの役割を紹介するのでチェックしてみてください。

  1. ゼネコン
  2. デベロッパー
  3. ハウスメーカー
  4. 不動産仲介事業者
  5. 不動産管理
  6. 不動産投資・運用会社

それぞれの役割を見ていきましょう。

①ゼネコン

ゼネコン(General Contractor:ゼネラルコントラクター)とは、総合建設業者を意味しており、デベロッパーから依頼を受けて建設をします。

設計・施工・研究のすべてを手掛け、大規模な建設をするのが特徴です。

また、ゼネコンにも種類があり、売上高が単独で1兆円を超えるとスーパーゼネコンと呼ばれていますよ。

売上高3,000億円~4,000億円以上は、準大手ゼネコンに分類されることが多いです。

1日のスケジュール
時間業務内容
8:00出勤、現場へ直行、作業員との打ち合わせ
8:30朝礼(安全確認・当日の作業内容の共有)
9:00現場巡回、作業進捗の確認、品質・安全管理
10:30協力会社との打ち合わせ、施工図面の確認
12:00昼休憩(1時間)
13:00午後の作業準備、現場巡回
14:00工程表の更新、書類作成
15:00クライアントや上司への報告書作成
16:30現場の片付け、翌日の作業確認
17:00退勤

ゼネコンの1日は、現場での安全管理や施工の進捗確認など、時間ごとに細かく業務が分かれており、計画性と臨機応変さが求められる点が大きな特徴です。

書類作成や関係者との調整も含まれるため、単なる体力勝負ではなく、マネジメント能力も必要とされますね。

②デベロッパー

デベロッパー(Developer)とは、マンションやビルの設計からまちづくりまで、多くの不動産を開発する専門業者のことです。

代表的なビジネスは、リゾート開発や大規模な宅地造成、マンション開発などです。

土地の仕入れから広告宣伝、販売まで一貫して行いますが、中にはオフィスやテナント賃貸を手掛けるケースもありますよ。

また、基本的にデベロッパーが事業を発注してゼネコンが受注しますが、大手企業の場合は共同で開発していることもあります。

1日のスケジュール
時間業務内容説明
9:00始業・情報収集市場動向やプロジェクトの進捗状況を確認し、1日の業務計画を立てる時間。
10:00現地視察・用地調査開発予定地を訪問し、周辺環境や土地の特性を把握する活動。
11:30社内ミーティングプロジェクトチームと課題や進捗を共有し、今後の対応策を検討。
12:30昼食同僚との情報交換も兼ねたランチタイム。
13:30関係者との打ち合わせ設計事務所や施工会社、行政担当者との開発計画に関する協議。
15:00資料作成・事務作業打ち合わせの内容を整理し、関係資料や報告書を作成する業務。
17:00業務整理・翌日の準備1日の業務を振り返り、翌日のスケジュール確認と調整を行う時間。
18:00退勤業務終了。オン・オフのメリハリを意識した退勤タイミング。

デベロッパーの1日は、プロジェクト全体を把握しながら関係者との連携を図る業務が中心です。

社外との調整と社内での情報共有のバランスが求められる点が大きな特徴でしょう。単に事務作業だけでなく、現場にも足を運ぶアクティブな働き方も魅力といえます。

③ハウスメーカー

一般的にハウスメーカーは住宅の建築・販売を行い、広いエリアで事業を展開している会社を指しますが、明確な定義付けはされていません。

ハウスメーカーは住宅の企画のほか、注文住宅の大量生産も手掛けています。

他にもリフォーム事業や賃貸事業を手掛けている企業もあり、業務内容は多くにわたります。

全国各所に拠点を起き、幅広いエリアで事業をしている会社も少なくありません。

1日のスケジュール
時間業務内容補足説明
9:00出社・朝礼チーム内での情報共有や当日のスケジュール確認を行います。
9:30メールチェック・資料準備顧客からの問い合わせ対応や、商談に必要な資料の準備を行います。
10:30顧客への連絡・アポイント調整見込み客への電話やメールでのアプローチ、商談日程の調整を行います。
12:00昼休憩昼食を取り、午後の業務に備えてリフレッシュします。
13:00商談・モデルハウス案内展示場やモデルハウスでの顧客対応、住宅プランの提案を行います。
15:00契約手続き・社内調整成約に向けた契約書の作成や、設計・施工部門との打ち合わせを行います。
16:30日報作成・翌日の準備当日の業務報告をまとめ、翌日の商談資料やスケジュールを確認します。
17:30退社業務終了。必要に応じて残務処理を行います。

④不動産仲介事業者

不動産仲介業者は、土地や建物、物件などの販売・賃貸を行っている会社です。

売主と買主、買主と売主をつなげる役割を担っており、売買契約や賃貸契約が成立すれば、成功報酬として手数料を得ます。

販売だけ、賃貸だけに特化している会社もあれば、どちらの事業も手掛けている会社も珍しくありません。

1日のスケジュール
時間業務内容
9:00出社、メールチェック、当日の業務確認
9:30朝礼:チーム内での情報共有、物件情報の確認
10:00顧客対応準備:来店予定者の情報整理、物件資料の準備
11:00来店対応:ヒアリング、物件提案、内見日程の調整
12:00昼休憩
13:00内見案内:現地での物件説明(1~2件程度)
14:30契約関連業務:申込書作成、必要書類の確認・案内
15:30物件情報の更新:写真撮影・掲載、空室状況の確認
16:30フォロー業務:追客対応、問い合わせメール返信
17:30日報作成、翌日の準備
18:00退社

⑤不動産管理

不動産管理とは、不動産オーナーからマンションやビルの保守・管理を請け負っている会社です。

マンションの管理組合の運営をサポートしたり、設備故障時は修理を手配したり土地や駐車場の管理など、幅広い業務を手掛けます。

さらには不動産仲介業者が不動産管理を担っていることもあり、不動産管理と他の業務を手掛けている会社も珍しくありません。

1日のスケジュール
時間業務内容
9:00出社、メールチェック、当日の予定確認
9:30朝礼、チーム内での情報共有
10:00物件巡回(共用部の清掃状況確認、設備点検)
12:00昼食休憩
13:00修繕工事の立ち会い、業者との打ち合わせ
14:30入居者・オーナー対応(問い合わせ、クレーム対応)
16:00事務作業(報告書作成、契約書類の整理)
17:30終礼、翌日のスケジュール確認
18:00退社

不動産管理のスケジュールの特徴は、現場対応とデスクワークが混在しており、場合によって柔軟に動く必要がある点です。

日中は物件巡回や立ち会いく、午後以降はオフィスでの事務作業など幅広い対応が求められ、突発的なトラブルに即座に対応できる力も欠かせません。

⑥不動産投資・運用会社

不動産投資・運用会社とは、投資目的の不動産の販売・運用を事業としている会社です。

投資家に向けて企画・販売を手掛けたり、投資物件の売却サポートをしたりします。

個人投資家に向けた物件を取り扱っている会社があれば、オフィスビルや商業施設などを投資対象としているところもありますよ。

1日のスケジュール
時間業務内容補足説明
9:00出社・メールチェック1日のスケジュール確認とタスク整理を行います。
9:30チームミーティング各案件の進捗状況やスケジュールの共有を行います。
10:00運用実績の集計・分析ファンドのポートフォリオ全体の運用実績を集計し、翌月の着地見通しを予測します。
12:00昼食同僚と近隣の飲食店でランチをとります。
13:00社内会議各種決裁事項や報告事項について上司に説明を行います。
14:30物件実査ファンド保有物件の現地調査を行い、隣地との境界や越境の確認をします。
16:00資料作成・報告書作成商談内容や調査結果を報告書にまとめ、必要な資料を作成します。
17:30翌日のスケジュール確認・退社翌日の予定を確認し、業務を終了します。

不動産業界における代表的な仕事内容

ここでは、不動産業界における代表的な仕事である以下の4つを紹介します。

  1. 営業
  2. 企画開発
  3. 物件管理
  4. 事務

これから紹介する内容を押さえて、自分に向いている仕事を見つけていきましょう。

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①営業

不動産業界の営業では、賃貸・売買のために物件を宣伝し、顧客の要望をもとに物件紹介・案内から契約締結まで担います。

不動産開発の営業では、広い土地を持っている方に対してマンションの建築をする提案もします。

不動産業界の営業職はインセンティブが設けられていることが多く、販売成績に応じて年収が変動するのが特徴ですよ。

企業によってインセンティブ率が異なったり、ノルマが課せられることがあったりするものの、結果を出せばそれだけ評価されます。

②企画開発

企画開発とは、マンションや商業施設の企画・開発を手掛ける仕事です。

デベロッパーではまちづくりのために都市開発や商業施設を手掛けて、ゼネコンとともに開発計画や企画を考えていきますよ。

また、土地の仕入れや地権者との交渉をするのも役目です。ハウスメーカーの場合は、建売住宅の企画・開発をします。

③物件管理

物件管理では、ビルやマンションなど管理している物件の維持管理や入居者への対応を行います。

具体的な業務としては、入居者が入居してから退去するまでの一連の業務です。

クレーム対応や契約更新業務、賃料保障なども物件管理が行いますよ。

以前は大家が物件管理をするパターンが一般的でしたが、現在は管理会社が物件を管理するパターンが多くあります。

④事務

事務は、営業職をサポートする営業事務から、経理や広報などの事務を手掛けることもあります。

売買メイン会社であれば、来客対応から顧客情報・物件管理の入力、管理、営業サポートが中心です。

賃貸メインの場合は、物件案内や鍵の管理・受け渡し、チラシ作成などを行いますよ。

仕事の知識が多いに越したことはありませんが、コミュニケーション能力や周囲への気遣いが重視されます。

不動産業界の現状

不動産業界の志望動機を考えるにあたって押さえておきたいのが、現状です。不動産業界の現状は、以下の2つに分けられます

  1. 不動産業界の市場規模
  2. 不動産業界の市場動向

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①不動産業界の市場規模

不動産業界は、「国土交通白書2023(※1)」によると、全産業の売上高3.4%、法人数の12.8%を占める重要な産業の1つだとされています。

不動産業界の市場規模は、2015年の売上高が「45兆3,835億円」に対して、新型コロナウイルスの影響を受けた2020年度は「44兆3,182億円」とやや下落しました。

その翌年である2021年度は「48兆5,822億円」と9.6%増加し、上昇しました。

2022年度の売上高は「46兆2,682億円」と4.8%下落したものの、売上高はおおむね堅調です。

(出典:(※1)「国土交通白書2023」国土交通省」)
(出典:(※2)「年次別法人企業統計調査(令和4年度)」)

②不動産業界の市場動向

不動産業界の市場動向では主に「新築住宅の増加」と「中古マンション市場の活発化」があります。

  1. 新築住宅は増加傾向
  2. 中古マンション市場も活発化

それぞれの市場動向を詳しく見ていきましょう。

新築住宅は増加傾向

新築住宅の着工件数は増加傾向です。

国土交通省が発表した「建築着工統計調査報告(令和4年計)」(※1)によると、 2019年の新設住宅着工戸数は90万5,123戸でした。

翌年の2020年は81万5,340戸と前年比に比べて9.9%マイナスとなったものの、翌年は85万6,484戸と5%増加してプラスになっており、翌年の2022年は、85万9,529戸と前年比0.4%増です。

内訳として持ち家が減少傾向にありますが、賃貸と分譲住宅の割合が伸びています。

(出典:(※1)「建築着工統計調査報告(令和4年)」国土交通省」)

中古マンション市場も活発化

不動産価格は金融緩和政策などの影響で上昇し続けていますが、中でも中古マンション市場が活発化しています。

国土交通省不動産価格指数によると、中古マンションの価格指数は2012年から右肩上がりです。

実際、首都圏の中古マンションの一戸を2021年と2022年で比べると、首都圏平均価格が上昇していますよ。

中古マンションは新築住宅よりも需要が高まっており、今後もその流れは続くと予想できます。

2021年(首都圏平均価格)2022年(首都圏平均価格)
中古マンションの一戸3,715万円4,087万円

(出典:三菱UFJ不動産販売「一戸建て住宅・価格と戸数の動向~中古・新築マンション・一戸建て住宅データ白書 2022

最近の景気変動の関係もあり、昔と比べても中古マンション市場は需要が高まっています。

核家族化により、持ち家よりもマンションを選ぶ人が増えてきているのもあって、これからもマンション市場は人気が高まる可能性が高いでしょう。

不動産市場の今後の展望

ここでは、不動産市場の今後の展望を紹介します。具体的な展望は、以下の通りです。

  1. 少子高齢化と人口減少によって市場縮小
  2. 建築業界全体のDX化とICT活用
  3. リノベーション・リフォームの増加
  4. 投資型不動産市場の拡大
  5. 環境への取り組み
  6. 海外・国外への展開
  7. カーボンニュートラルへの対応
  8. 空き家のサテライトオフィス化

それぞれの展望を見ていきましょう。

①少子高齢化と人口減少によって市場縮小

不動産を購入する世代は若年層であるため、今後も少子高齢化と人口減少が続けば市場が縮小していく可能性があります。

地方においては若い世代の人口減少が続いており、空き家が問題で、実際、国土交通省が発表した「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」(※)」では、空き家が増加傾向であることがわかります。

空き家は2025年には20万戸、2030年には470万戸程度になると予想されており、今後も空き家は増えるでしょう。

(※)「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」国土交通省
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001518774.pdf

②建築業界全体のDX化とICT活用

建設業界の人手不足は続く見込みで、この問題を解決するべくICTやAIの活用をする会社が増えています。

国としても、国土交通省で施工や検査など建築生産プロセスでICTを活用する「i-Construction」を推進しています。

2025年までに建築現場の生産性を2割向上することを目指しており、これまでに受発注者の業務効率化・高度化を推進してきました。

なお、不動産業界もIT化が進んでおり、VRを使用したバーチャル内覧を導入する会社が増えています。

DX化やIT化によって、以前と異なる業務形態になる企業も増え続けるでしょう。

昔とは異なる現在の業務や事業について、きちんと業界・企業分析を行い、ESや面接の回答に盛り込んでいく必要があります。

③リノベーション・リフォームの増加

不動産業界では、リノベーション・リフォームの需要が増加しています。

空き家問題解消のために空き家を譲る方やライフスタイルの変化のために住宅を売るケースは増えていることから、リノベーション市場は今後も拡大するでしょう。

④投資型不動産市場の拡大

不動産業界では、不動産証券化を用いた不動産投資市場が拡大傾向にあります。

国土交通省による「不動産証券化の実態調査」(※2)では、不動産証券化の対象になった不動産、もしくは信託受益権の資産総額は右肩上がりであることがわかります。

現在は不動産投資に興味を持つ若年層も増えており、20代~30代をターゲットとした企業もありますよ。

(※2)「不動産証券化の実態調査」国土交通省
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000209.html

⑤環境への取り組み

経済産業省が省エネ住宅「ZEH(ゼッチ/ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の普及を目指しています。

「ZEH」とは Net Zero Energy Building の略語で、家庭内の消費電力を上回る自家発電の仕組みを取り入れて、エネルギー消費量を実質ゼロ以下にするものです。

消費者の環境への意識が高まってきたこともあり、自家発電システムや蓄電池を組み合わせた、スマートハウスに注目が集まっていますよ。

⑥海外・国外への展開

不動産業界は少子高齢化や空き家問題などを理由に国内需要の縮小を見込み、海外・国際展開の拡大を視野に入れている企業が増えています。

具体的には、海外での都市開発・不動産開発、海外不動産ネットワークなどです。また、国内では、在日外国人によるインバウンド需要が高まっていますよ。

そのため、海外投資家が日本の不動産に投資する「インバウンド投資」にも注目が集まっており、今後は海外・国外への展開が進むでしょう。

⑦カーボンニュートラルへの対応

不動産業界でもカーボンニュートラルへの対応が求められています。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするものです。

新築オフィスビルや分譲マンションの環境行動目標を定めたり、オフィスビルにおける省エネ改修、再生エネルギー設備導入を目指したりしていますよ。

また、「環境への取り組み」で挙げたZEHもカーボンニュートラルへの対応の1つです。

⑧空き家のサテライトオフィス化

何度か述べているように、人口の減少や少子高齢化によって不動産市場は減少し、空き家は増加傾向です。

空き家は衛生上や景観上悪影響をもたらすため、政府が抱える大きな問題の1つです。

政府はこの問題解決に取り組んでいましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、空き家をサテライトオフィスとして活用する企業が増えていますよ。

また、自治体としては移住・交流希望者向けに空き家を提供する、空き家バンクを行っています。

不動産業界における各業種のキャリアパスとは

「不動産業界に興味はあるけれど、将来の働き方がイメージできなくて業種が選びにくい……」という不安を感じている方も多いですよね。

そこで本章では、不動産業界の代表的な業種ごとに、具体的な仕事内容とその後のキャリアパスをわかりやすく解説します。職種ごとの将来像を把握して、自分に適した職種を見つけてくださいね。

  1. ゼネコン
  2. デベロッパー
  3. ハウスメーカー
  4. 不動産仲介事業者
  5. 不動産管理
  6. 不動産投資・運用会社

①ゼネコン

不動産業界の中でも、ゼネコンは「建物を実際に建設する」役割を担い、現場経験を積みながらマネジメントや企画力を磨いていける業種です。

以下の表では、ゼネコンにおける代表的なキャリアパスの流れを紹介します。

フェーズ概要主な役割と成長ポイント
初期建設現場での実務を通じて基礎を固める段階現場管理/施工計画の理解/安全管理の習得
中期小規模プロジェクトの担当としてマネジメント力を養う段階工程・品質・コスト管理/チーム統率/顧客対応
最終
キャリア
大規模案件の統括や経営層として全体を指揮する段階プロジェクト統括/経営戦略立案/人材育成

ゼネコンでは、現場での経験を起点に段階的にマネジメント力や経営視点を培っていきます。

初期は体力勝負な側面もありますが、計画性や安全性への理解が深まり、信頼を得ることでより大きなプロジェクトを任されるようになります。

中期には現場のリーダーとして采配を振るう立場になり、複数の調整力や責任感が磨かれていくでしょう。最終的には、全体を統括する立場として意思決定力や組織全体を見る目が養われますね。

一歩ずつ着実に成長できる点が、ゼネコン職の大きな魅力です。実務を通じて技術を培っていけるため、現場でしっかりと実力を高めていきたい人にはおすすめですよ。

②デベロッパー

不動産業界の中でも「街づくり」の中心を担うのがデベロッパーであり、用地の仕入れから開発、販売、事業戦略までを一貫して手がける点が特徴です。

以下に、不動産デベロッパーのキャリアの流れを段階ごとにまとめました。

フェーズ概要主な役割と成長ポイント
初期用地仕入れや営業活動を通じて、基礎的な業務スキルを習得する段階用地情報収集/交渉力の向上/関係構築力の習得
中期プロジェクトの企画・推進を担い、事業全体を俯瞰する力を養う段階事業収支計画/プロジェクト管理/法規対応力の強化
最終
キャリア
組織の中核として戦略立案や新規事業開発を主導する段階経営戦略立案/新規事業創出/組織マネジメント

このキャリアパスは、段階ごとに求められるスキルが明確であり、計画的に成長していける構造が整っているのが特徴ですね。

初期フェーズでは、現場感覚と交渉力を鍛えながら基礎を固め、中期ではプロジェクト全体を動かすマネジメントスキルや事業的視点が磨かれていきます。

そして最終的には、経営に近い領域で意思決定や組織運営を担う存在へと進化していくでしょう。成長意欲がある人にとって、非常にやりがいのあるキャリアモデルと言えます。

③ハウスメーカー

ハウスメーカーは戸建住宅の提案・販売を担う業種であり、営業を中心とした実務経験を通じて段階的にキャリアを積み上げていくのが特徴です。

以下の表では、ハウスメーカーにおける代表的なキャリアパスを3段階で整理しています。

フェーズ概要主な役割と成長ポイント
初期基礎知識と実務経験を積む段階顧客対応/製品知識の習得/営業スキルの向上
中期専門性を高め、チームを牽引する段階チームリーダー/マネジメント力の習得/資格取得
最終キャリア組織全体を統括し、戦略を立案・実行する段階部門統括/経営戦略の策定/新規事業の推進

ハウスメーカーのキャリアパスは、まず顧客との信頼関係構築や商品知識の習得を通じて営業の土台を固めつつ、チームをまとめる立場でマネジメント力を鍛えることが求められます。

その後は、支店長やエリアマネージャーといった役職に進み、会社全体の方向性に関わる戦略的な業務へと発展していきます。

住宅という高額商材を扱う以上、信頼性や実績が重要視されるため、地道な努力の積み重ねが将来のキャリアを左右するでしょう。

④不動産仲介事業者

不動産仲介事業者は、個人や法人の物件売買・賃貸を仲介する営業職が中心で、実績に応じてキャリアが明確に分かれていくのが特徴です。以下に、代表的なキャリアパスをフェーズごとに整理しました。

フェーズ概要主な役割と成長ポイント
初期顧客対応と基礎業務を通じて営業スキルを習得する段階賃貸・売買仲介営業/顧客対応力の向上/宅建資格取得
中期実績を積み重ね、マネジメントや専門領域に挑戦する段階チームリーダー/人材育成/専門知識の深化
最終キャリア組織運営や独立を通じて経営視点を養う段階店舗マネージャー/経営戦略立案/独立開業

不動産仲介のキャリアは、資格などの明確なスキルを積む流れになっており、成果が正当に評価されやすい点が強みです。

初期は営業スキルの習得と資格取得が重要で、実績を積めばマネジメントや専門分野へと進みやすくなるでしょう。最終的には店舗経営に関わるほか、独立して自分の店舗を持つことも可能ですよ。

評価基準が明確で、若手のうちから裁量が大きいため、早期にキャリアアップを目指し、独立を目指したり経営に関わりたい人には特に向いている業界といえますね。

⑤不動産管理

不動産管理は、物件の価値を維持・向上させながら、オーナーや入居者との調整役も担う業務であり、段階的に専門性とマネジメント力を高めていくキャリアパスが特徴です。

以下の表では、その成長ステップをフェーズごとに整理しています。

フェーズ概要主な役割と成長ポイント
初期基礎業務を通じて実務経験と信頼構築力を養う段階入居者対応/契約手続き/トラブル対応/基本的な法知識の習得
中期複数物件の管理とチーム運営を通じてマネジメント力を高める段階複数物件の管理/スタッフ指導/業務改善/コスト管理
最終キャリア組織全体の運営や戦略立案を担い、業界全体への影響力を持つ段階組織運営/経営戦略立案/新規事業開発/業界ネットワーク構築

不動産管理のキャリアは、実務力と対人調整力を基盤に、管理・運営スキルを段階的に高めていく流れです。特に中期ではチーム運営やコスト意識といった「経営視点」が問われるため、視野の広さが成長の鍵ですね。

また、最終的には企業の中核を担う存在として、戦略策定や事業全体を動かす立場へとシフトしていく特徴もあります。

早い段階から「自分はどのステップで何を身につけたいか」を意識して行動すると、成長速度にも大きな差がつくでしょう。

⑥不動産投資・運用会社

不動産投資・運用会社は、資産価値を最大化するために、不動産を「商品」として投資対象にするという専門性の高い業種です。以下にキャリアパスの代表的な流れをまとめました。

フェーズ概要主な役割と成長ポイント
初期実務経験を積み、業界知識を習得する段階物件取得・営業補助/不動産・金融知識の習得/業務理解の深化
中期専門性を高め、プロジェクトを主導する段階アセットマネジメント/運用戦略の立案/プロジェクト管理能力の向上
最終キャリア組織全体を統括し、戦略的意思決定を行う段階ファンドマネージャー/組織マネジメント/投資家対応・資金調達

不動産投資・運用会社でのキャリアは、まず現場での実務経験を通じて不動産や金融の基礎知識を習得しながらスタートします。

中期では、自ら運用戦略を立案・遂行する立場となるため、業務全体を俯瞰する視点が求められるでしょう。最終的には、投資判断を下すポジションへと進み、資産運用の全体像を動かす存在へと成長していくのが特徴です。

段階を追ってスキルと視座を高めつつ、専門性と意思決定力の両面での成長が求められる業種ですね。

主体性を持って、自分に決定権・判断権のある状態で業務を進めていきたい人には、特に向いていると言えるでしょう。

不動産業界が向いている人は?

不動産業界が向いている人は、以下に当てはまる人です。

  1. フットワークが軽い人
  2. 忍耐強い人
  3. 上昇志向がある人
  4. コミュニケーション能力がある人

不動産産業が取り扱う商材は決して安くはないため、顧客が購入するまでのハードルが高い傾向にあります。

だからこそ、コミュニケーション能力を活かして顧客と信頼関係を築いたり、粘り強く取り組む力が求められますよ。

考え込んでしまう人よりも、先に行動をするフットワークがかる人のほうが向いているでしょう。

不動産業界に向いている人のチェックリスト
初対面でも臆せず話せる
急な予定変更に柔軟に対応できる
長期的な交渉にも粘り強く取り組める
ノルマや目標にモチベーションを持てる
外回りや現場訪問が苦にならない
自己成長や資格取得に前向き

【項目別】不動産業界志望で意識したいポイント

ここでは、不動産業界志望で意識したいポイントを以下の2つに分けて紹介します

  1. 志望動機で意識したいポイント
  2. 自己PRで意識したいポイント

それぞれのポイントを見ていきましょう。

①志望動機で意識したいポイント

不動産業界での志望動機では、以下のポイントを意識しましょう。

  • なぜ不動産業界を選んだのか
  • なぜその企業を選んだのか

数ある業界のなかでも、なぜ不動産業界を選んだのか明確にしないと志望意欲が伝わりません。

また、企業を選んだ理由も同様です。不動産業界には多くの企業があり、ありきたりな内容では採用担当者の印象に残らず、志望意欲が伝わりません。

その企業でないと実現できないことや、強みや事業展開を踏まえたうえで志望動機を考えてみましょう。

企業の競合とも比較したうえで志望企業の魅力を考れば、さらに説得力をもたせることができます。

②自己PRで意識したいポイント

不動産業界の自己PRで意識したいポイントは、以下の3つです。

  • 不動産業界で求められる人物像になっているか
  • 自分にしかない強みはなにか
  • 具体性を持たせる

不動産業界では、フットワークが軽く、コミュニケーション能力の高い人材を求めています。

もちろん、希望する職種で求められる能力も異なりますが、いずれにしても不動産業界で求められる人物でないと内定獲得は困難です。

不動産業界が求める人物像を考えたうえで、自分にしかない強みを考えてみましょう。

具体性をもたせたエピソードを述べられると、説得力が増してさらに評価されやすくなります。

なお、自己PRといっても長い内容はNGです。最初に結論を述べて、起承転結がわかりやすいようにエピソードを考えましょう。

もっとも重要なのは、「不動産業界で求められる人物像に自分が当てはまっているか」「当てはまっていることを根拠を持って説明できるか」の2点です。

企業が重視しているのはやはり就活生とのマッチ度なため、自分が持つ力がその企業で活躍するのに必要な力かどうか、しっかり見極めていきましょう。

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不動産業界へのキャリアの理解を深めよう

本記事では、不動産業界の仕組みや現状、仕事内容など、志望するうえで知っておきたいことを紹介しました。

不動産業界の中には多くの職種があり、それぞれ担う役割は異なるため、まずはそれぞれの業種を知ることが大切です。

本記事で紹介した内容をもとにして、志望動機や自己PRを考えてみましょう。

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まずは志望動機を作ってみる

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    現在、大学2年の場合は「2028年度3月」

    No.2

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    大学大学院(博士)大学院(修士)短期大学専門学校

    No.2

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    編集部

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    編集部

    「就活に苦しむ学生を減らしたい」をモットーに、志望動機やES、面接対策など、多種多様な就活の困りごとを解決するための記事を日々発信。700以上の記事で就活生の悩みに対処しつつ、就活の専門家であるキャリアアドバイザーの監修により、最後まで内定を狙える就活の方法を伝授し続けています。