教育業界とは?仕事内容やキャリア・現状を詳しく解説
「教育業界に入りたいけど仕組みや仕事内容がいまいちはっきりしない」とお悩みではありませんか?
教育業界の仕事と言っても何があるのかしっかりと把握できていない方もいますよね。
そこで本記事では、教育業界の仕事内容やキャリアなど、就活するうえで知っておくべきことを紹介します。
「教育業界=先生」のイメージがある方も多いかも知れませんが、実際はさまざまな仕事があります。
教育業界に興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
教育業界とは
教育業界とは、幼稚園・小学校・中学校などの教育機関のほか、学習塾や予備校などの勉強を教える場所のことです。
また、近年は社会人を対象にした資格取得の学校や、企業向けの社員研修を行う企業などもあります。
教育業界のビジネスモデル
教育業界といっても、具体的なビジネスモデルはターゲット層で異なります。ここでは、以下に分けてビジネスモデルを紹介します。
それぞれのビジネスモデルを詳しく見ていきましょう。
①幼児教育
以下は、幼児教育の一例です。
- 幼児体育指導
- スイミング
- サッカー
- 体操
- 英会話
- ダンス
- 楽器演奏
幼児教育には語学系やスポーツ系など種類が多く、豊かな感性・意欲・態度を養いながら幼児の良さや可能性を伸ばすのが狙いです。スイミングやピアノを習わせる親は多くいます。
また、幼児期の習い事は脳の発達を促せるのも、幼児教育のメリットですよ。
②学生向けの教育
以下は、学生向けの教育ビジネスの一例です。
それぞれの教育ビジネスを見ていきましょう。
学習塾
学習塾では、小中高生に向けて学校の授業に合わせて補習指導を行ったり、受験のために学習指導を行ったりします。
クラスごとに集団で指導するところがあれば、マンツーマンで行ったり、自主学習をベースとしたりするところもあり、指導方法は塾によってさまざまです。
予備校
予備校では、高校生や浪人生を対象に大学受験対策の講義や学習支援をします。中には美術大学や映像系の学校など、特定の分野に特化した予備校もあります。
他にも公務員試験や公認会計士の学習支援を行うところもあり、こちらは社会人も対象ですよ。
キャリアアップや転職のために、予備校に通う社会人は珍しくありません。
③社会人向けの教育
以下のように、社会人向けの教育では2つのビジネスがあります。
それぞれのビジネスを見ていきましょう。
セミナー・ビジネススクール
セミナー・ビジネススクールでは、自己啓発や企業などの講義が行われています。
個人でセミナーを行っている方も多くいますが、中には大学機関による付属ビジネススクールなどもあります。
企業研修
企業研修では、企業の従業員に向けたキャリア教育の研修を手掛けています。
ビジネスで役立つスキルや心構えや、役職に合わせた階層別の研修、業務で必要な知識を身につける研修など、さまざまな研修があります。
④その他の教育
以下は、通信教育などその他の教育です。
それぞれの教育を見ていきましょう。
通信教育・eラーニング
通信教育・eラーニングは、インターネットやラジオなどを介して教育を提供するビジネスです。
学生や社会人を対象に個人向けで行うところもありますが、企業を対象に教育をするところもありますよ。
実際、パソコンやスマートフォンを使って、インターネット上で学ぶeラーニングを提供している企業は多くあります。
教材・出版
教育・出版は、教科書や問題集など教育教材の開発・出版を手掛けるビジネスです。
教育機関の教材を専門に扱う企業があれば、それらの企業と連携して開発している会社もありますよ。
また、教育用機材の開発や製造を行なっている企業もあります。
教育業界の仕事
教育業界では、さまざまな仕事があります。
ここでは、教育業界の代表的な仕事である以下の8つを紹介します。
ぼんやりと教育業界で働きたいと思っている方は、これから紹介する内容を踏まえて、自分に合った仕事を見つけてみましょう。
①講師
学習塾では、塾生に対して授業・学習指導を行います。
企業研修や資格取得では、受講者に向けて講義を行い、どちらにしても教職のように教員免許を取得する必要はありません。
講師は講義を行う以外にも、授業の準備をしたり、生徒からの学習や進路相談などの対応もします。
なお、学習塾や企業研修の講師は、正社員が担うケースが多い傾向にあります。一方の予備校や語学スクールの場合は、業務委託やアルバイトなどが中心ですよ。
②教室マネージャー
教室マネージャーは、担当する教室や校舎の運営をする役割です。
講師の指導やマネジメント、保護者への対応、教室の売上管理など、幅広い業務を手掛けます。
規模が小さい企業ともなれば、マネージャーとともに講師を行うこともありますよ。
一方、規模の大きい企業の場合は講師の経験が必要になることも珍しくありません。
講師として教育の現場に直接携わりたい場合は、入社後のキャリアを確認しておきましょう。
③広報
広報は、受講者を獲得するために宣伝活動を行います。
宣伝物の制作やキャンペーンの企画立案、ネットの情報発信なども、広報の担当です。
現在は、少子化で子どもが減少して教育業界の競争率が上がっており、売上には広報の力が問われますよ。
④教育事務
教育事務では、塾の入塾手続きや生徒の管理・講師のサポートなどを行います。
他にも校舎の清掃や書類作成、問い合わせの対応なども手掛け、生徒や講師のために環境を整えます。
⑤教材・講座の企画、制作
教材・講座の企画、制作は、教育コンテンツの企画・製作名を手掛けるのが主な業務です。
特に企業研修をする企業ともなれば、自社で教材を開発するケースが多いですが、学習塾の場合は開発された教材を利用することもあります。
また、教材・講座の企画・製作には専門知識が必要であるため、はじめは講師で現場経験を積む必要がありますよ。
⑥学校教員
学校教員では、小中学校にて義務教育で定められた科目を指導します。高等学校教員の場合は、それぞれの専門としている教科を教えます。
なお、生徒の生活面や進路についての相談に乗ったり、指導をしたりするのも1つの仕事ですよ。
大学教員の場合は教授や准教授、講師を指し、専門分野の教育や研究などを行います。
⑦営業
営業は、学校や企業に向けて自社の教育教材を提案する役割を担っています。
相手のニーズに合わせて、適切な商材を提案して契約まで持っていきます。また、自治体や官公庁が企画する教育事業だったりと、営業相手は1つにとどまりません。
規模の小さい学習塾の場合は、保護者に向けて営業活動を行います。
⑧マーケティング
マーケティングは見込み顧客にアプローチしたり、Webサイトの企画・分析・運用などをします。
現在はWebマーケティングに取り組んでいる企業も多く、Webサイトを通して情報発信をしたり、入学につなげます。
専門知識が求められますが、新卒採用の場合は粘り強くリサーチする力や、論理的思考力などが重要ですよ。
教育業界に向いている人
ここでは、教育業界に向いている人を紹介します。
教育業界を目指している人は、自分が当てはまるか考えながら読んでみてください。
①人の支援に熱意を持てる人
教育ビジネスは人の成長を手助けするものなので、人の支援に熱意を持てる人であることが大前提です。
具体的には、部活動で部員をサポートする役割を担っていたり、ボランティア活動で誰かを支えたりして喜びを感じたことがある方は、教育業界に向いているといえます。
②収益を追い求める必要性を理解している人
教育業界はボランティアではなくビジネスであるため、事業として存続するための収益が必要です。
教育の理想だけを述べるのではなく、現実的に実現できるものか、収益は問題ないのかなどを踏まえることが大切です。
ビジネスよりも教育のみを追求したい方は、教職のほうが向いているでしょう。
③人前に立つのが苦手ではない人
教育業界の仕事は人前に立つことが多いため、人前に立つのが苦手ではない人のほうが有利です。
例えば、社会人向けの企業で講師を務めたり、求職者にレクチャーをすることがあります。
その際に人前に立つのが苦手だと、上手に説明できないため、人前に立つのが苦手ではない人のほうが向いていると言えますね。
④相手の立場に立って考えられる人
最後は、相手の立場に立って考えられる人です。
教育業界は人に物事を教えることが多く、わかりやすく伝えるためにはまず相手を理解する必要があります。
特に学習塾の場合は、一人一人の生徒に寄り添わないと適切な指導はできません。
教育業界と教職の違い
教育業界はあくまでビジネスであり、民間企業が行っている営利目的なので、指導者のクオリティの高さや成果を出すことが求められます。一方の教職は教育のみを追求しており、利益を意識することは求められません。
上記を踏まえると、教育のビジネスに携わりたい方や、意思決定を持ちたい方は教育業界がおすすめです。
反対に教育ビジネスは、教育のみを追求したい方に適しています。
教職から教育業界に行くことは可能
教職と教育業界は別ですが、教職から教育業界に行くことは可能です。反対に教育界から教職になることも可能です。
しかし、教職として働くには教員免許を取得しなくてはなりません。
大学で教育系の学科を卒業している場合はすでに免許を取得しているかもしれませんが、未取得の場合は大学に通うなどして単位の習得が必要です。
また、学校教育の現場は民間企業と意思決定のプロセスや裁量権が異なるため、ギャップを感じることもあるでしょう。
そのため、教育業界から教職の場合は慣れるまでに時間がかかる可能性があります。
教育業界に必要な資格
教育業界を志望するのに必要な資格はありません。
特に新卒採用の場合は、「入社後にスキルを身につければOK」としている企業がほとんどです。
また、そもそも教育業界を志望する学生は塾講師や家庭教師のアルバイトをしていたり、すでに教職免許を取得していたりするケースが多くあります。
とはいっても、塾講師などのアルバイト経験を不問としている企業も多いため、スキルよりも志望意欲の高さが重視されます。
教育業界の現状
ここでは、教育業界の現状である以下の6つを紹介します。
教育業界の志望動機を考えるにあたって、現状把握は欠かせません。
これから紹介する内容を押さえて、志望動機を考えるときに役立てていきましょう。
①進学とキャリアアップの2つに大別
教育業界は、進学とキャリアアップの2つに大別されています。
進学向けは、小・中・高校生を対象にしたもので、受験に関連するものが挙げられます。
少子化が進み子供の数は減っているものの、新しいサービスを提供したり、差別化を図ったりして市場は拡大傾向ですよ。
一方のキャリアアップは社会人向けとなっており、高齢化に伴い定年後の自己啓発や講座のニーズが高まっています。
他にも、再就職のための検定取得、独立のためのキャリアアップを目指す人も増加傾向にあります。
②コロナ禍を上回る売上
教育業界は少子化で将来的に縮小すると予測される一方で、現状ではコロナ禍を上回る売上となっています。
もともとコロナ禍では、通信教育やeラーニングなどが急速に拡大したものの、2022年には需要が減衰して売上が下がりました。
コロナ禍による売上減少は続くと思われたものの、2023年度の売上見込は年度比0.5%増の2兆8,632億7,000万円と予測されています。
これは、資格取得学校市場や語学スクール・教室市場などの成長が見込まれるためです。
参照:教育産業市場に関する調査を実施(2023年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
③状況に合わせた教育スタイルの変革
2020年度には小学校でプログラミング教育が必修化されたり、大学入試センター試験が大学入学共通テストになった変化が教育業界には起こりました。
また、学習自体はアクティブ・ラーニングを重視する傾向になり、ディスカッションやプレゼンテーションを通じて学ぶ側も積極的に授業に参加するスタイルとなりました。
実際、文部科学省による改定学習指導要領がスタートし、それらにはアクティブ・ラーニングが盛り込まれています。
今後も、状況に合わせて教育スタイルは変わっていくでしょう。
④デジタル化の促進
現在は小学校や中学校以外にも、学習塾でタブレット端末を使った授業が増えています。
タブレット端末を使用することで、生徒一人一人に適した学習内容を提供できます。
現場にいなくとも質疑応答ができたり、家から授業に参加できたりするのも、デジタル化が進んだメリットですよ。
学習塾・予備校においては、オンライン授業サービスが登場し低価格でサービスを受けられます。
今後もますますデジタル化が進み、AI技術を活用して個々に寄り添った授業や、効率的な学習指導が可能になるでしょう。
⑤小中・中高一貫高校の増加
1998年の学校教育法改正で、公立学校での中高一貫校が新設されるようになりました。
これまでの中高一貫教育は、中学校と高等学校それぞれ1校ずつ必要でしたが、改正後は単一の学校で6年間の一貫教育を行えるようになります。
また、6年間の一貫教育ができるようになったことで、中高の交流が円滑になったり、前倒しの履修ができるようになったりと、さまざまな利点を得られました。
現在は小中合わせて9年間の義務教育を一貫して行う学校も増えています。
⑥事業環境の格差の二極化
日本は少子高齢化が進んでいることもあり、教育業界の市場規模の縮小が予想されるとともに、大都市と地方都市間の事業環境の格差が問題です。
各社は独自性を発揮して差別化を図り、生徒の確保、売上の拡大・向上に努めていますが、近年の大学受験では推薦入試の比率が高く、一般入試離れが進んでいるため、生徒の確保に困難しているのが現状ですよ。
一方で、中学受験市場は首都圏を中心に活発化しており、2023年の私立・国立中学受験者数は52,600名、受験率も17.86%と過去最多を記録しています。
今後の受験者数は少子化の影響で減少する可能性があるものの、受験率は今後も上昇すると予測されており、業界にとっては大きなチャンスですよ。
実際、個別指導を取り入れる学習塾は増えており、受験を意識しています。
教育業界と関連のある業界
ここでは、教育業界と関連のある業界を紹介します。具体的な業界は以下の3つです。
それぞれの業界が教育業界とどのように関連性があるのか、詳しく見ていきましょう。
①IT系企業
現在は、多くのIT系企業がタブレット端末の教材や学習アプリの開発を進めています。
実際、タブレット端末を使用して授業を行う学校は増えており、学習塾においても自宅でできる教材を導入しています。
また、大手IT系企業は文部科学省から認可を受けており、高等学校の運営や通信制の大学に参入しており、今後もこの流れは続いていくでしょう。
②ゲームメーカー
ゲームメーカーでは、スマートフォンや携帯ゲーム機向けに学習・知育アプリを開発しています。
例えば、タッチペンを活用して学習できる漢字学習ソフトや、プログラミングをクイズ形式で学べるアプリがあります。
③出版社
出版社では、参考書や学習書を販売しています。
また、出版社と協力して教材を開発しているほか、デジタル教科書の開発を進める企業も増えています。
教育業界へのキャリアの理解を深めよう
本記事では、教育業界の仕事内容・仕組・キャリアなど、志望するうえで知っておきたいことを紹介しました。
教育業界の仕事といっても、講師や広報、教育業務などさまざまです。求められる能力や人物像は、行いたい仕事で異なります。
自分の長所や性格を踏まえたうえで、自分に向いている仕事はないか考えてみましょう。
本記事で紹介した内容をもとにして、教育業界のキャリアを明確にしてみてください。
まずは志望動機を作ってみる
この記事を書いた人
編集部