証券業界を徹底解剖!仕事内容や求められるスキルを詳しく解説
一言で証券業界を志望するといっても幅広いので自分がどの会社に適しているのか迷ってしまいますよね。また証券会社特有の専門用語もあるのでイメージが複雑に思う人もいるでしょう。
とはいえ、実際に証券業界で働きたいのであれば事前に詳細なリサーチは必須!証券業界の基本から学べばそれほど難しいイメージはなくなるはずです。
本記事ではまず証券業界や会社、部門の基本を解説し、次にそれぞれに求められるスキルを紹介します。
証券業界で働きたい人や気になる人はぜひ読んでみてくださいね。証券業界の知識や働き甲斐を知って内定を目指しましょう。
証券業界とは?仕組みや魅力を解説
証券業界とは、「株式」や「債券」と呼ばれる有価証券を扱う金融業界の一部です。
ここでは、証券業界の仕組みや魅力を解説をします。
①証券業界の仕組み
証券業界の仕組みは、投資家が株式や投資信託といった金融商品の購入や、株式運用を行う際の仲介手数料で利益を得ています。
そもそも証券(有価証券)とは、金融商品に限らず土地や建物(不動産証券)など何かしらの権利を書面で証明したものですよ。
証券業界がメインで取り扱う証券は株式になり、証券そのものに価値があるため、資金調達の手段として用いられています。
そのため証券会社は、国の債権や企業の株式を投資家に購入してもらい、双方の資金調達や資金運用の仲介役を担っていますよ。
やりがいの大きい仕事ではありますが、国内外の経済状況の変化が業界全体に影響を及ぼすため、常に経済動向を把握する必要があり、責任の負担も大きい仕事になります。
②証券業界の魅力
証券会社で働くメリットは、お金に関する知識やスキルを身につけられるだけでなく、個人や会社の経営を抜本的に手助けをする仕事になるのでやりがいが大きい仕事です。
その他の証券業界の魅力は、以下の通りです。
・投資家のお客様の「資産形成」に携われる ・リアルタイムで経済状況を把握しながら売買の仕事ができる ・地域経済の発展に貢献できる ・さまざまな年代職種の方と接点をもつことで見識が広がる |
大企業や地域の方々に証券の魅力を発信し、自分たちのことを信頼して資金運用を任せてくれる仕事といえるでしょう。
③証券業界の代表的な企業
証券業界は高水準の年収が見込める業界です。
以下は証券業界の中でも、トップ5の年収となる証券会社になります。
・野村HD ・大和証券 ・SMBC日興証券 ・みずほ証券 ・三菱UFJモルガン・スタンレー証券 |
この他にも、他銀行との共同出資で事業拡大を行っている証券会社や、安定した出資を行う顧客が多い証券会社もあるので、ぜひ就活の際にはいろいろ検討してくださいね。
証券会社の種類
ここでは、証券会社の種類について解説をします。
証券会社によって、それぞれの強みやメリット・デメリットも異なるので、自分にあう証券会社の参考にしてみてください。
①大手独立系
大手独立系の証券会社は、他社と資本関係を結ばない、国内最大規模の証券会社です。
主に個人投資家を対象としたリテール業務や、海外を拠点とした業務を中心として行っています。
大手独立系の証券会社のメリットは、親会社からの出向がないことですよ。
また実力次第で早期出世も見込めるので、出世願望が強い人やチャレンジ精神がある人にとって魅力といえるでしょう。
ただし親会社がない分、グループや組織力がないので仕事の力量のみで勝負しなければならないため、大変な面も多いことも覚えておかないといけません。
②銀行系
銀行系証券会社は、メガバンクのフィナンシャルグループに属する証券会社です。
銀行系の証券会社は、銀行と連携しているため、大手独立系に次ぐ規模の証券会社ですよ。
銀行系の証券会社の強みは、同グループの銀行と取引企業の資金繰りを把握をしている点です。
取引企業からお金の出入金や過不足があった際には、融資や社債発行(DCM)にいち早く対応して利益を上げることができるでしょう。
一方、デメリットは銀行から出向してきた人にはECMの株式の取り扱いがなかったので、他の証券会社に比べると圧倒的に株式に対する知識不足が否めないことといえます。
③準大手
国内証券会社のうち、大手独立系、銀行系に次ぐ規模で事業を展開するのが準大手の証券会社です。
地域の顧客基盤を活かし、地域密着型のリテール業務が中心です。
地域の中小企業や個人投資家に提案をして仕事を取ってくるので、話好きな人や達成感を感じたい人におすすめですよ。
ただし、顧客基盤が安定している大手に比べると規模は小さいため、新規開拓などに追われることがあるかもしれないのがデメリットとなるかもしれません。
④ネット証券会社
ネット証券会社は、対面式の営業店を設置せず、インターネット上で金融商品の仲介を行うのが特徴です。
また、ネット証券のユーザーのほとんどが一般の人であることから、アプリやサービス開発などに力を入れています。
さらに取扱い可能な証券口座数も年々増加傾向にあるため、今後ますますネット証券に力を入れる会社が増えてくるでしょう。
ただしグループ会社の中のネット証券会社は、複数ある部門の中の1部門となるので、必ずしも採用後に配属されるわけではないので注意が必要です。
⑤外資系
外資系証券会社とは、外国法人または外国人が一定以上の割合で出資を行っている証券会社のことです。
外資系証券会社の中には、大企業や機関投資家、公共機関などの顧客を対象としたホールセール業務など、収益性の高い業務に力を注ぐこともあります。
海外企業案件を中心とした業務を行うので、海外の人と仕事をしたい人におすすめですよ。
また外資系証券会社は、実力主義の世界となるため、若いうちから高水準の年収を得ることも夢ではありません。
その分業務量が多く、ビジネス英語だけでなく、高い業界用語の知識も求められるリスクがあることは覚えておくといいでしょう。
証券業界の代表的な5つの部門
ここでは、証券業界の代表的な5つの部門について解説をします。
各部門によって対象となる顧客層や業務内容が異なるので、しっかり把握しておきましょう。
①リテール部門
リテール部門の業務内容は、個人投資家や中小企業などの顧客を対象に、自社の口座を開設してもらい株式や投資信託、債券などの販売をすることです。
この他にも、今後値上がりしそうな株の銘柄を顧客に提案して、資産運用のアドバイスを行い新たな受注を獲得する業務もあります。
一見営業という難しい業務内容に思われますが、直接顧客とコミュニケーションをとって自分を売り込むことが得意な人には向いている業務といえるでしょう。
②ホールセール部門
ホールセール部門では、大企業や機関投資家、公共機関などの顧客を対象にした大口取引業務を行っています。
主な業務内容は、企業の株式や債券の引き受け、資金調達や運用、M&Aの仲介などがメイン業務となり、財務戦略と経営戦略の両面の支援ですよ。
企業の財務状況や経営分析などを通し資金調達や資産運用の提案や相談を受けることとなるので、高度な金融知識と最新の情報量など、総合的な提案力が求められます。
取引企業との信頼関係や責任の重さもありますが、大きなお金を自分の力で動かし、企業と一緒に支え成長させる役割を担っている重要なポジションであることは間違いないでしょう。
③リサーチ&コンサルティング部門
リサーチ&コンサルティング部門は、国内外のあらゆる経済情勢を情報収集して、株の銘柄の値上がりの投資判断を予測し、社内外に伝達する仕事を行います。
中には、個別事例を調査する際に、担当者が各企業の株主総会に出席して投資戦略や資産運用のアドバイスを行うことがありますよ。
証券会社が発信する投資情報は、個人投資家には重要な情報源として期待されているほか、経済全体にも影響を及ぼすことがあるので正確な分析力と判断力が求められます。
④グローバルマーケッツ部門
グローバル・マーケッツ部門は、株式や債券、為替、各種デリバティブ(金融派生商品)の分析とトレーディング業務を行っている部門です。
またグローバル・マーケッツ部門には、「リサーチ業務」と「セールス&トレーディング業務」の2つの業務体系があります。
リサーチ部門では、金融市場に関する情報を分析し社内の各部門に金融商品の情報に関する問題解決の提案を行う部門ですよ。
一方、債券などの売買を取引するセールス&トレーディング業務は金融市場の動向を把握したうえで様々な金融商品の情報を顧客のニーズに合わせた対応をしています。
どちらも優秀な分析力と、経済状況の流行より先回りする鋭い洞察力が必要とされるポジションです。
⑤投資銀行部門
投資銀行部門では、株式や債券の引き受けや、M&A・新規公開(IPO)に関わるアドバイザリー、不動産証券化といった業務を行っている部門です。
国内外の「大手企業」「金融法人」「公共法人」「PEファンド」上場を目指す企業などに対し、多様なサービスを提供していますよ。
企業に営業活動を行い新規案件の獲得や、買収合併を行うときにアドバイザーとして指名してもらうことを「カバレッジ組織」と呼び、これらの業務を行うのが投資銀行部門です。
高い金融に関連する知識だけでなく、企業とのチームワークも必要になる部門となるので高いコミュニケーションスキルも必須条件となるでしょう。
証券業界の主要な4つの業務
ここでは、証券業界の主要な4つの業務について解説をします。
また、この4つの業務全てを行っている証券会社のことを、「総合証券会社」と呼びます。
①ブローカー業務
ブローカー業務(トレーディング業務)は、投資家から株式の売買の注文を受けて、それを証券取引所で取引を仲介する業務で、取引の仲介を行った際に発生する手数料が収入源です。
直接投資家が株式売買ができないので、代わりに証券会社のブローカーに仲介してもらい、自身の資産形成を行います。
そのため、ブローカーが個人の資産を動かしている責務を担っているともいえるでしょう。
②ディーラー業務
ディーラー業務とは、証券会社が自社の資金を使って、株式などの有価証券を売買して利益をあげる仕事です。
株式の売買の仲介役として証券会社が入ることで売買契約の取引がスムーズに成立しやすくなりますよ。
ディーラー業務は、これから株式に影響がありそうな国内外の経済動向を読み、9時の前場が開くと同時に株価の値動きを注視しながら売買を実行する集中力のいる仕事です。
③アンダーライター業務
アンダーライター業務とは、株式を発行した会社から株式を買い取り、その株式を投資家や別の会社に売る業務です。
証券会社自体が株式を買い取るため、内閣総理大臣から許可を得た証券会社のみが行えます。
通常、株式会社が事業拡大するための資金調達として自社の株式を発行しますが、株式を発行後に買取をしてくれる会社を探すことは容易ではありません。
そのため証券会社に株式を買ってくれる個人投資家や会社を紹介してもらうよう依頼します。
つまり、アンダーライター業務は、お金を必要としている企業の資金と、そのお金を買い取ってくれる企業の橋渡しのような役割を担っているといえるでしょう。
④セリング業務
セリング業務とは、株式を発行した会社から一時的に預かり、その株式を投資家や別の会社に売る業務です。
アンダーライター業務とよく似ていますが、セリング業務は株式を預かるだけなので、売れなかった株式を証券会社が買い取る必要がないためm特別な許可がなくても業務を行えますよ。
セリング業務で取り扱う有価証券は、新規で発行された株式や社債などもあります。
買取がない分リスクは低いですが、依頼された会社との信頼関係を維持するために、株式を買取してくれる会社を探す責任感の重さはアンダーライター業務と変わりません。
証券業界の主な職種
ここでは、証券業界(証券会社)の主な職種について解説をします。
①営業職
証券会社の営業職は、顧客である個人投資家に新たに投資商品の提案や、新規顧客を開拓することが主な仕事です。
投資家の資産運用ニーズを把握し、より効果的な資産運用ができるよう、専門知識を活かしてアドバイスを行います。
直接投資家と接する機会も多く、「あなたに任せてよかった」というような声を直にもらうことが日々のやりがいにつながるでしょう。
②アナリスト
証券アナリストは、企業や業界を対象として経済状況の株価に関することを調査・分析を担当します。
個々の企業や個々の業界を対象に株の銘柄分析が投資対象としてふさわしいかどうかなどを検討する仕事ですよ。
また、証券会社によりますが対象の企業や業界の現段階の株価を分析した、「アナリストレポート」というものを作成します。
そのため証券アナリストは、数理的エキスパートとして情報収集に長けている人が向いているといえるでしょう。
③事務職
証券会社の事務職は、営業職・トレーダー・ディーラー・証券アナリストのアシスタント業務が主な仕事です。
その他にも金融商品の販売促進や店頭サービス・オペレーション・顧客情報の管理といった事務仕事全般を担当します。
事務職といえども、証券会社の事務職として多少の金融関連の知識を覚える努力は必要となるでしょう。
④人事
人事は、新卒・転職の採用担当や新人社員の人材育成を行います。
また、在職中の人に対しても人事制度や人事評価制度を立案して実施するのも大切な仕事の1つです。
通常の会社の人事と変わりませんが、人事担当者は会社全体の経営状況と社員個人のことを考えて行動することとなるので重い責務のポジションであるのは間違いないでしょう。
⑤オペレーター
証券会社のオペレーターは、オンライントレードの操作に関する問い合わせ対応や、株価照会・株式の受発注業務などが主な業務です。
基本は電話での対応になるので、利用者の要望を正しく理解し、操作ができるよう導かなければなりません。
そのためオペレーターに必要とされるスキルは、高いコミュニケーションスキルが求められます。
利用者の要望を正確に聞き、丁寧な対応を行って問題解決を促していく仕事です。
⑥経理財務
経理財務は、すべてのお金の管理を行うことが仕事です。
経費精算に始まり、備品購入や売上や仕入れの管理といった日々の業務、月ごとの給与計算、勤怠管理、売掛金の回収、買掛金の支払いなどがあります。
また年には、損益決算書や賃貸対照表の作成、源泉徴収税や保険の支払い管理の業務もあり、さらには財務局への報告業務も行っている証券会社のお金の管理の中枢といえるポジションです。
証券業界の動向
ここでは、証券業界の動向について解説をします。
①NISAやiDeCoの普及
近年の政府主導のもと、「貯蓄から投資へ」の動きが盛んになっています。
特に、NISA(小額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の口座を利用した投資需要が年々増加傾向ですよ。
その背景には、当初、年間100万円までと定められていた非課税枠が120万円に拡大されたことに加え、つみたてNISAやジュニアNISAなど口座の種類も増えたからだと考えられます。
②ビジネスモデルの転換
IPO(未上場会社の株式を証券市場において売買可能にすること)が増えると、ビジネスモデルを転換しようとする企業が増え、事業拡大のための資金調達などの手伝いを行える件数が増えることに期待できます。
日本取引所グループによると、東京証券取引所における2013年のIPOの件数は57件でした。
その後も2014年には78件、2015年には95件、2016年には84件と右肩上がりです。
したがって、IPOは証券会社にとっても大きなビジネスチャンスといえるでしょう。
③ラップ口座の拡大
ラップ口座とは、顧客が投資などの資産運用や、財産管理を証券会社に一任する運用形態のことです。
顧客から預かっている資産の残高に応じて手数料を受け取れる仕組みで、証券会社にとっても収益の安定化につながるため、証券業界ではラップ口座の普及に期待が寄せられていますよ。
従来は最低契約金額が3,000万円からの資産を有する富裕層向けのサービスでしたが、最近では最低契約金額が500万円に引き下げられたことで裾野が広がり、口座数が増加中です。
またラップ口座事態も豊富な品揃えとなり、ますます販売数が拡大しています。
証券業界に求められるスキル
最後に、証券業界に求められるスキルについて解説をします。
証券会社で働く際に必須となる資格は特にありませんが、身につけておくと役立つスキルや知識はあるので、参考にしてください。
①コミュニケーション能力
証券会社の仕事は、顧客である投資家の資産運用の状況報告や、相談も受けることがあるのでコミュニケーション能力が高い方が有利です。
また、専門知識を活かして一人ひとりのニーズに合った金融商品を提案を行うので、顧客が理解できる説明スキルも必要です。
さらに、新規顧客を開拓する業務もあるのでコミュニケーション能力に加え、丁寧な接客マナーも必要になるでしょう。
その他、外資系証券会社の経理財務は、本社や海外オフィスとのやりとりも多いため、それなりの英語スキルが求められます。
②情報収集力
証券会社では、朝9時の前場が開くまでに、国内外の経済状況の情報収集が日課となります。
日本経済新聞を始め、各業界紙、海外ニュースなどをくまなくチェックして、株式売買取引に備えなければなりません。
そのため、新聞を読む読解力の早さや、ネットニュースを的確に検索するスキルも必要です。
また、情報と相場のつながりを関連させながら仕事に結びつける力も必要となります。
③判断力/分析力
証券会社で働く上で、経済や金融の状況を把握して、株価の動向を正しく判断して分析する能力が必要です。
また、株価の値動きを予測し、買い時・売り時を逃さないようにする冷静さも求められます。
証券会社の業務は、取引所が開かれる時間(場中)が勝負の時間となるので、緊張感もある中で判断ミスを起こさず常に値動きに合わせて売り買いを判断しなければなりません。
④金融知識
証券会社を目指すのであれば、証券業界だけでなく、金融業界に関しても知識を備えておくべきです。
すぐに実践できることとして、日本経済新聞を読む癖をつけることはおすすめです。
また、ネットで調べられる証券会社の専門用語を覚えることや、株の銘柄の知識を深めていくと就職での評価が期待できるでしょう。
証券業界の研究を進めよう!
この記事では、証券業界に関する解説をしました。証券会社の種類や、部門によっても業務内容は多岐に渡ります。
また、証券業界ならではの専門用語を覚えなければならないことや、日々の情報収集をすることが当たり前の世界であるので、大変な仕事であることは間違いありません。
しかし、何よりも大切なのは個人投資家や企業の資産形成の手伝いをすることを喜びに感じ、信頼関係の構築をして今後の仕事の継続を行っていくことです。
まずは志望動機を作ってみる
この記事を書いた人
編集部