【2025年最新】飲料業界の動向を徹底分析!企業ランキングと今後の課題も解説
飲料業界は、私たちの生活に欠かせない飲み物を製造・販売するとても身近な業界です。
しかし、「商品はよく目にするけど、実際はどんな業界なのかよくわからない」という人も多いでしょう。
そこで本記事では、飲料業界についての基本知識から主要企業のランキング、最新動向、将来性や課題、求められる人物像などを徹底解説します。飲料業界に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
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飲料業界の基本知識

まずは、業界の基本的な仕組みや特徴を確認しておきましょう。
お茶やコーヒー、炭酸飲料からビールまで、私たちが日々目にする缶・ペットボトル・紙パックなどの飲み物は、すべて飲料業界によって生み出されています。
商品の多種多様さからもわかるように、日本の飲料業界は、多数のメーカーが競い合う巨大なマーケットです。
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①飲料業界のビジネスモデル
製造業である飲料業界は、「原材料調達」から「製造」「物流」「販売」のプロセスで構成されています。
この流れに沿って、商品の安定供給と売り上げ拡大を実現することが飲料メーカーの業務の柱です。各メーカーとも、大量生産した商品を、効率的に全国に届けられるように尽力しています。
その際の販路として、小売店や飲食店に加え自動販売機が大きな割合を占めている点は、他の業界にはない特徴といえるでしょう。
また、季節や流行、社会のニーズによって飲料の需要は変化します。そうした消費者ニーズの変化を的確に捉える力も、飲料業界のビジネスモデルにおける重要な要素です。
②細かい飲料の分類と商品カテゴリ
飲料業界における飲料は「清涼飲料」「牛乳・乳飲料」「酒類」の3つに大別され、そこからさらに細かく分かれます。
種類 | 主な管轄・法令 | 飲料の例 |
清涼飲料 | 食品表示基準 (消費者庁) | 炭酸飲料 ミネラルウォーター・ボトルドウォーターなど 緑茶・紅茶・ウーロン茶など コーヒー・コーヒー飲料など 豆乳飲料・調整豆乳など 濃縮果汁・野菜ジュース・果汁入り飲料など 乳性飲料(コーヒー牛乳・ヤクルトなど) スポーツ・機能性飲料 |
牛乳・乳飲料 | 乳等省令 (厚生労働省) | 牛乳・成分調整牛乳・低脂肪牛乳など |
種類 | 酒税法 (国税庁) | ビール・発泡酒 醸造酒類(清酒・ワインなど) 蒸留酒類(ウイスキー・焼酎甲類など) |
これらの分類は、法規制や広告表現、商品開発、販路戦略などに深く関わり、例えば「酒類」は酒税法、「清涼飲料」は食品表示法が関係し、アルコール度数や機能性表示の有無で販売までのステップや対応が大きく異なるのです。
また、「濃縮果汁」と「果汁飲料」、「コーヒー」と「コーヒー飲料」など、分類によって味や価格、消費者の受ける印象も異なります。
分類は単なる表示の違いではなく、業務のプロセスや私たちの消費行動をも左右する飲料ビジネスの設計図ともいえる重要な要素です。
飲料メーカーの主な職種と仕事内容

飲料メーカーには、製造を支える技術職、新商品を開発する研究職、品質を管理する専門職、そして販売を担う営業・マーケティング職など、幅広い職種があります。
各職種はそれぞれ専門性を持ちながらチームとして連携し、安心・安全でおいしい飲み物を消費者に届けることが共通の目的です。
ここでは、業界の要を担う代表的な職種とその役割について見ていきます。
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①研究・開発
研究・開発職は、新商品の企画・試作から、原料選定、レシピ設計、既存商品の品質改良までを担当します。
開発では、消費者の嗜好やトレンドに合わせることが必須です。原料の組み合わせや製造方法を検証・分析しながら、消費者が求める、おいしくて高品質な商品を形にしていきます。
おいしさだけではなく、長期保存技術や機能性成分の研究にも取り組むため、食品科学の専門知識も必要です。そのため、化学・農学・栄養学などを学んだ理系出身者が多く活躍していますよ。
②企画・マーケティング
企画・マーケティング職は、市場調査をもとにターゲット層を明確にし、商品のコンセプト設計・パッケージデザイン・価格設定・広告展開までの戦略を立てる仕事です。
若年層にはSNS映えする見た目や話題性、高齢者層には健康ニーズに応える機能性飲料を企画するなど、消費者の多様なニーズに応える発想力が求められますよ。
さらに、CMや販促キャンペーンなどを通じた商品の認知度向上や、発売後に売上データや市場の反応を分析して次の商品開発に反映させるなど、さらなるブランド価値の向上も担います。
③調達・購買
調達・購買職は、飲料の原材料や資材を安定的に確保する役割を担います。製造業である飲料メーカーにとっては欠かせない職種です。
具体的には、茶葉・コーヒー豆・果汁・甘味料・香料、そして容器となるペットボトル・缶・瓶などを国内外の取引先から調達します。その際、品質を確保しつつコストを抑えることも重要な業務です。
近年は原料が「公正な労働環境で生産されたものか」「環境に配慮した農法で育てられたものか」といった観点で、SDGzに配慮することも求められるようになっています。
④製造(生産・品質管理)
製造部門は、需要に合わせて飲料を安定供給させるために、製造の現場を支えることが仕事です。
生産職は工場や製造設備の管理が主な業務で、原料を規定通りに調合し、殺菌・充填・包装といった工程を確実かつ効率的に進めます。
品質管理職は、成分や味が基準を満たしているか、検査し確認するのが業務です。異物混入や劣化を防ぐための設備点検・衛生管理に細心の注意を払い、安全な製品を出荷することに責任を持ちます。
⑤営業
営業職は、コンビニ・スーパー・ドラッグストア・飲食店などの取引先に自社製品を提案・販売する仕事です。
商品の魅力を伝え、店頭で目立つ売り場を確保してもらうための交渉やキャンペーンの提案を行うなど、売り上げに直結する重要な業務ですよ。
また、商品戦略を立てるために、売れ筋や競合商品の情報を社内に還元する役割も担います。飲料業界は競争が激しいため、取引先との信頼関係を築くための対応や提案力も必要な職種です。
国内の飲料業界の市場規模

国内の飲料業界は、清涼飲料だけでも販売金額が約4兆4,461億円に達するほど巨大な市場です。
日本人1人あたり毎日ペットボトル1本(約512ml)分の清涼飲料水を飲んでいる計算になる、といえばその大きさがわかるでしょう。
その成長の背景には、健康志向の高まりによる無糖・低カロリー飲料の人気や、猛暑による夏場の消費量増加といった要因があります。
一方、ずっと減少傾向にあったアルコール飲料市場は、2022年に約3兆2,350億円と9年ぶりに前年度比104.0%と微増しました。
しかし厚生労働省の調査では、酒類をやめた・飲まない・ほとんど飲まない人が約半数を占め、特に若年層の酒離れが顕著です。そのため酒類消費は今後も長期的には減少するとみられています。
※参考:全国清涼飲料連合会/2023年度・メーカー出荷金額/矢野経済研究所
国内の5大飲料メーカー

日本の飲料市場では、清涼飲料の出荷量ベースで以下の5社が「5大飲料メーカー」として広く知られ、国内シェアの約8割を占めています。(※以下、HD:ホールディングス)
- サントリーHD
- コカ・コーラボトラーズジャパンHD
- アサヒグループHD
- 伊藤園
- キリンHD
実際に清涼飲料事業の主力を担うのは、各社が保有する子会社(伊藤園以外)です。ここでは、それらの会社に焦点を当てて、その特徴について解説します。
①サントリー食品インターナショナル
サントリー食品インターナショナルは、サントリーHDを中心としたサントリーグループのなかで清涼飲料事業の中核を担う企業です。
「サントリー天然水」や缶コーヒーの「BOSS」、緑茶の「伊右衛門」といったおなじみのヒット商品を数多く展開し、国内清涼飲料市場でトップクラスのシェアを誇ります。
また欧州のジュースブランドのオランジーナ(2025年5月現在休売中/オレンジの不作による)や米国のペプシの一部事業を手掛けるなど、海外展開にも積極的です。
②アサヒ飲料
アサヒ飲料は、アサヒグループHDの傘下で清涼飲料事業を担う企業で、ロングセラーの「カルピス」や「三ツ矢サイダー」、缶コーヒー「WONDA」などの商品を幅広く展開しています。
エナジードリンク「モンスターエナジー」も、日本国内での独占販売権を持っているのはアサヒ飲料です。
近年では、無糖炭酸水の「ウィルキンソン」のヒットで無糖炭酸水ブームを起こしました。伝統ブランドと新商品の両立によって、多様な層へのアプローチを強めている点が特徴です。
③キリンビバレッジ
キリンビバレッジはキリンHDの清涼飲料部門を担う企業で、「午後の紅茶」や缶コーヒーの「Fire(ファイア)」、緑茶の「生茶」など、紅茶・コーヒー・緑茶の各分野に主力商品があります。
飲料以外にも、プラズマ乳酸菌「iMUSE」や「おいしい免疫ケア」など、健康ニーズへの商品開発も積極的です。特に「iMUSE」は、免疫機能の機能性表示食品の日本初のブランドとして話題にもなりました。
親会社のキリンホールディングスが医薬やバイオ分野にも事業領域を広げているため、その知見を活かした飲料や健康食品の開発など、グループ間のシナジーを生かした独自性が強みです。
④コカ・コーラ ボトラーズジャパン
コカ・コーラボトラーズジャパンは、コカ・コーラ・ボトラーズジャパンHDの傘下で、コカ・コーラ社製品の国内での製造・販売を行う企業です。
「コカ・コーラ」をはじめ、「爽健美茶」「綾鷹」「アクエリアス」などの定番ブランドを数多く展開しています。
清涼飲料市場では長年トップシェアを占めており、自動販売機の設置台数も業界最大(98万台)です。
日本全国に製造拠点を持つ同社は、強力なブランド力と販売網、資金力を背景に、市場動向に合わせた製品展開やマーケティング施策を迅速に打ち出せるのが強みといえるでしょう。
⑤伊藤園
伊藤園は、緑茶飲料市場では約36%のシェアを誇るトップ企業で、定番商品の「お~いお茶」は世界初のペットボトル入り緑茶商品です。
茶葉の買付から製造までを自社で一貫して手がける体制を強みに、品質への信頼とともに、日本のお茶文化を飲料として広めた先駆的存在と言えるでしょう。
緑茶だけでなく、麦茶の「健康ミネラルむぎ茶」や野菜系飲料の「充実野菜」なども人気が高く、健康志向の飲料市場でも存在感を発揮しています。
さらに近年は「TEAs’ TEA」シリーズや、タリーズコーヒーの子会社化など、紅茶・コーヒー事業にも領域を広げていますよ。
主要飲料メーカー売上・シェアランキング

「5大飲料メーカー」のうち、アサヒ飲料、キリンビバレッジ、サントリー食品インターナショナルなどは、親会社がある清涼飲料部門の子会社でした。
一方で、業界の全体像を俯瞰するには、親会社であるホールディングス単位での売上規模やシェアを把握することも重要です。
ここでは、酒類や清涼飲料を含む総合飲料メーカーとしての経営規模も含めた、実際の売上高や市場シェアを個別に見ていきます。
①4大酒造メーカー
日本のアルコール飲料業界において売上規模が突出して大きいのが、ビールを中心とした酒類事業を持つ以下の4大メーカーです。(売上高はグループの連結決算)
`会社名 | 売上高 | 代表銘柄 |
サントリーHD (ビールシェア3位) | 3兆4,179億 (2024年12月期) | ザ・プレミアム・モルツ 山崎 -196無糖 |
アサヒグループHD (ビールシェア1位) | 2兆9,394億 (2024年12月期) | スーパードライ クリアアサヒ ニッカウヰスキー |
キリンHD (ビールシェア2位) | 2兆3,383億 (2024年12月期) | 一番搾り 本麒麟 キリン氷結 |
サッポロHD (ビールシェア4位 | 5,307億 (2024年12月期) | 黒ラベル ヱビス シン・レモンサワー |
この4社は、いずれもビールだけでなく清涼飲料部門や洋酒・ワイン部門などを傘下に抱えるトップクラスの総合飲料企業であり、国内のみならず海外事業展開も積極的に行っています。
②アルコール・焼酎・清酒メーカー
アルコール飲料分野には、酒造大手4社以外にも焼酎や日本酒(清酒)を中心に事業を展開する有力メーカーがあります。
会社名 | 売上高 | 代表銘柄 |
宝HD | 3,393憶 (2024年3月期) | 宝焼酎 焼酎ハイボール 松竹梅 |
霧島酒造 | 531億 (2023年度実績) | 黒霧島 |
三和酒類 | 260億 (2024年7月期) | いいちこ |
白鶴酒造 | 275億 (2024年3月期) | 白鶴酒パックまる ZIMA |
これら専門メーカーは売上規模こそ大手4社に及ばないものの、それぞれの市場ニーズに特化した商品展開で存在感を発揮しており、飲料業界全体の中で重要なポジションを占めていますよ。
③清涼飲料メーカー
清涼飲料市場はサントリー食品を筆頭に、コカ・コーラボトラーズジャパンや明治HDや伊藤園、ヤクルトなど多様な企業が参入しています。
上位企業だけで市場の大半を占める構造となっており、各社がブランド強化や健康志向への対応、新ジャンルの開拓を通じて競争を繰り広げていますよ。
会社名 | 売上高 | 代表銘柄 |
サントリー食品 インターナショナル | 1兆6,967億 (2024年12月期) | 天然水 BOSS 伊右衛門 |
コカ・コーラ・ ボトラーズジャパンHD | 8,926億 (2024年12月期) | コカ・コーラ ジョージア 綾鷹 |
雪印メグミルク | 6,054億 (2024年3月期) | メグミルクおいしい牛乳 毎日骨太 Doleオレンジ100% |
森永乳業 | 5,470億 (2024年3月期) | マウントレーニア リプトンレモンティー 森永マミー |
ヤクルト本社 | 5,030億 (2024年3月期) | ヤクルト1000 タフマン ミルミル |
伊藤園 | 4,538億 (2024年4月期) | お~いお茶 1日分の野菜 BARISTA’S BLAC |
これらの清涼飲料メーカーは、得意分野を活かしながら市場の中でも独自のポジションを築いています。売上だけでなく扱うカテゴリーにも注目することで、企業の特徴がより明確に見えるでしょう。
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飲料業界の最新動向・ニュース4選

飲料業界では、消費者ニーズの多様化、技術革新、そしてコロナ禍を経たライフスタイルの変化などを背景に、市場構造そのものが大きく動いています。
ここでは、そうした業界の変化を象徴するトピックを4つ取り上げていきます。いま飲料業界で何が起きているのか、どのように進化しているのかを整理しておきましょう。
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①企業の責務となったサステナビリティとSDGs
飲料業界では、環境や社会に配慮したサステナビリティ経営が重要性を増しています。特に、ペットボトル廃棄による海洋プラスチック問題や、製造時のCO2排出削減は業界共通の課題です。
そのため、サントリー、アサヒ、キリン、コカ・コーラ、伊藤園の大手5社は協働で「社会課題対応研究会」を2024年に発足させ、物流効率化や温室効果ガス削減などに取り組み始めました。
例えば、サントリーは2030年までにペットボトルを100%サステナブル素材に切り替える目標を掲げています。サステナビリティは、すでに企業の事業戦略の1つになっているといえるでしょう。
②コロナ禍を経て変化した消費者ニーズ
コロナ禍での外出自粛や在宅勤務の拡大によって、外食でのアルコール消費は大きく落ち込んだ一方で、自宅で楽しめる飲料や大容量商品の需要が増加しました。
現在は外食業態におけるアルコール消費は回復傾向にありますが、コロナ前の水準には完全には戻っておらず、飲食店の客足は依然として回復途上にあります。
また、コロナ禍をきっかけに高まった「免疫力への関心」も注目される動向のひとつです。
健康を訴求する機能性表示食品の2024年の国内市場は7,274億円見込み(前年比5.2%増)と伸びており、今後も成長すると予測されています。
③積極的な海外グローバル展開
国内市場の成熟を背景に、飲料メーカーが次に目指している市場は海外です。アサヒグループは欧州・豪州のビール会社買収(2016~20年)により、2024年度の海外売上比率がすでに50%を突破するまでになっています。
キリングループも海外展開に注力し、国内外のグループ企業数192社のうち、海外従業員の構成比率が約46%にまで高まっています。また、伊藤園も北米・アジアでの緑茶飲料展開を強化していますよ。
日本で培った商品開発力や品質管理ノウハウを武器に、日本ブランドの飲料が世界市場で存在感を高めており、今後も海外売上比率のさらなる拡大が見込まれます。
④食品・医薬分野への進出と事業の多角化
飲料大手各社は、飲料以外の領域に事業を広げる多角化を進めています。キリングループが医薬品会社(協和キリン)を傘下に持ち、健康食品やサプリメント事業に進出しているのはその一例です。
サントリーも健康食品分野で「セサミンEX」などのヒット商品を持ち、飲料以外の収益源を確保しています。事業の多角化は、収益源を増やすとともに、市場の変動リスクを分散する狙いがありますよ。
2024年の小林製薬の紅麹サプリによる健康被害問題を受け、機能性表示食品への消費者の安全意識が高まっています。今後は、表示制度や原料の信頼性がより求められるようになるでしょう。
飲料業界の将来性と課題

少子高齢化による国内市場縮小が避けられない中、飲料業界は海外市場への積極展開や健康志向に応える機能性飲料の開発など、さまざまな戦略で新たな市場開拓を図っています。
一方で、プラスチック廃棄物削減や、若者の酒離れへの対策など、乗り越えるべき課題も少なくありません。ここでは、それらの飲料業界の将来と課題について改めて整理していきます。
①期待される成長分野
飲料業界において、今後さらなる成長が期待できる分野は「健康志向飲料」「海外市場への展開」「先端テクノロジーの活用」の3つです。それらについて順にみていきましょう。
健康・機能性飲料市場の拡大
健康志向飲料は、健康ニーズに応える付加価値を持つ飲料です。トクホや機能性表示食品のお茶や炭酸飲料、脂肪吸収を抑える緑茶や整腸効果のある乳酸菌飲料などが増え、市場は拡大しています。
また、高齢化社会を背景に、健康維持や美容効果への需要を満たすプロテイン・アミノ酸飲料も注目される商品です。
今後は、健康とおいしさを両立した商品の開発がますます注目されるようになるでしょう。
アジアを中心とした海外市場
人口増加と経済成長が続くアジア新興国は、若年人口が多く、飲料消費の増加が期待される重要な成長エリアです。
すでに、サントリーやアサヒは東南アジアで緑茶や炭酸飲料の販売を強化し、キリンも中国やASEAN諸国でビール事業を拡大しています。
現地の嗜好に合わせた商品開発やブランド戦略、現地企業との提携が成功の鍵となる海外市場でのシェア拡大は、国内の市場の停滞を補う重要な収益源です。
テクノロジー活用による効率化
飲料業界では、AIやデータ活用などのデジタル技術を単なる効率化の手段にとどめず、新たな成長分野として育てる動きが広がっていますよ。
例えば、デジタル技術による工場の「スマート化」が生産効率の向上に大きく貢献しています。また、売上をAIで分析することで、在庫や物流のロスを減らすことも可能になりました。
こうしたデジタル活用は、コスト削減と売上拡大の両立を実現する手段として注目が高まっています。
②飲料業界のリアルな課題
一方で、飲料業界が直面する課題もいくつか明確になっています。主に「国内市場の縮小」「原材料価格の高騰と供給リスク」「競争激化と差別化」の3点が大きな課題です。
少子高齢化に伴う国内市場の縮小
日本の総人口が減少局面に入り、若年層の割合が減っていることは、長期的に国内飲料市場の縮小に直結します。
特に清涼飲料は子どもから若者に支持されるため、人口減は需要減に繋がりやすい状況です。また、若者の酒離れといった嗜好の変化で、酒類全体も市場規模が縮小傾向にあります。
解決策として、新たな顧客層の開拓や一人当たりの消費量を増やす工夫が挙げられますが、大きな人口動態の流れには逆らうのが難しいこと否めません。
そのため、今後は国内の限られたパイを奪い合うだけでなく、上述した海外展開や新ジャンル開拓によって成長を確保する戦略が一層重要になるでしょう。
原材料価格の高騰とサプライチェーンの安定化
コーヒー豆・茶葉・果汁などは輸入に頼る部分が大きく、近年の円安傾向も影響して原料調達コストが増加しています。また、アルミ缶やペットボトルの素材価格の上昇も利益を圧迫する要因です。
こうした中、多くのメーカーが2022年~2023年にかけて清涼飲料やビール製品の値上げに踏み切りました。値上げは消費者離れを招くリスクもありますが、企業の存続と安定供給のためにはやむを得ません。
同時に、サプライチェーンの安定化も課題です。気候変動による農作物収量への影響や物流業界の人手不足に備え、調達先の多元化・在庫戦略の見直し・物流の効率化によるリスク低減が求められています。
激しい競争下でのブランド差別化
飲料市場は成熟しているがゆえに、各企業によるシェア争いが非常に激しい世界です。似たような商品が多く乱立する中で、消費者に自社ブランドを選んでもらうための差別化戦略が欠かせません。
定番商品のリニューアルや期間限定フレーバーの投入、キャンペーンによる訴求などで常に話題を提供し、ブランドの鮮度を保つ努力が求められます。
また、コンビニエンスストアのPB飲料の台頭も競争を激化させています。低価格で品質も向上しているPB商品に対抗するため、飲料メーカーはブランド価値の向上を図る必要があります。
飲料業界に求められる人物像と向いている人

飲料業界は、生活に身近な商品を扱う一方で、激しい競争と絶え間ないトレンドの変化に晒される業界です。
だからこそ、単に飲み物が好きというだけでなく、さまざまな素質が求められますよ。ここでは、飲料業界に求められる人物像や向いている人を紹介します。
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①飲料やブランドへの情熱がある人
飲料業界で働く上でまず重要なのは、「飲み物」や「ブランド」への強い興味と情熱です。
新商品開発でも営業でも、自社の商品を愛し誇りを持てる人はその情熱を仕事への原動力にできます。自社ブランドへの愛着は、困難に直面した際の踏ん張りにもつながるでしょう。
そのため企業の理念に共感し、貢献する情熱のある人が、まず何より業界に向いていると言えるでしょう。
②消費者ニーズを敏感に捉える力がある人
変化の激しい消費者ニーズをいち早く察知できる感性も、飲料業界で求められる資質です。
ヒット商品を生み出すには、まだ顕在化していないニーズやトレンドの芽を逃さず捉える必要があります。
普段から流行や世間の関心事にアンテナを張り、「次に来るものは何か」を考える癖がついている人は、新商品企画や市場戦略で力を発揮できるでしょう。
また、自らいろいろな飲料を試し体験することで消費者目線を養うことも大切です。
③コミュニケーション能力とチームワーク
飲料メーカーの仕事は一人で完結することがほとんどなく、部署間や取引先との連携が欠かせません。そのため、円滑なコミュニケーション能力とチームワークを大切にできる人が向いています。
新商品の発売プロジェクトでは、開発・生産・マーケティング・営業など多くの部署が関わり、意見調整や情報共有を密に行う必要があります。
自分の考えを的確に伝える力や、相手の立場を理解して協力できる姿勢が成果につながるでしょう。
④課題を切り拓く思考力・実行力がある人
競争が激しい飲料業界では、困難な課題でも前向きに挑戦できる実行力と、冷静に状況を分析する論理的思考力が求められます。
売上目標の達成や新商品のヒットには計画的なアプローチが必要で、仮説を立ててPDCAサイクルを回す論理的な思考が役立つでしょう。
同時に、計画を実行に移す推進力や、周囲を巻き込んでやり遂げるリーダーシップも評価されます。論理と行動のバランスが取れた人は、飲料業界のハードな仕事環境でも成果を出せるでしょう。
飲料業界により興味を持った人へ

飲料業界に関心を持ち、もっと深く知りたいと感じたなら、次は企業研究や自己分析を深めましょう。
ただ「飲料が好き」という気持ちだけでなく、企業がどのような価値観や強みを持っているのか、自分の考えとどう重なるのかを明確にすることが大切です。
この章では、飲料業界を志望するにあたって押さえておきたい企業研究の視点や、志望動機づくりのヒントをみていきましょう。
①企業研究は数字・人・現場の3つから
企業研究は、「数字」「人」「現場」の3つの観点から行うことをお勧めします。
まず、売上高や市場シェアなどの「数字」データから、業界内でのポジションや強み・弱みを客観的に把握しましょう。
「人」の視点では、OB訪問や説明会で社員の話を聞いたり、SNS上の社員インタビューを見ることで社風や働く人々の価値観に触れてみてください。
「現場」での企業研究とは、自販機や店頭の商品陳列を観察したり、工場見学で生産現場を見ることです。製品がどのように消費者に届き選ばれているかを自分の目で確かめることで、理解がより深まりますよ。
②志望動機作成には企業風土の理解も必要
飲料業界を志望する際は、単に「飲料が好き」というだけでなく、志望する企業の風土や理念を踏まえた動機を考えることが大切です。
社風や大切にする価値観は、企業によってさまざまです。その会社ならではの歴史や理念と自分の価値観との共通点を踏まえて「なぜその企業なのか」を示せれば、説得力のある志望動機になります。
企業研究はその企業を知るために行うものであると同時に、企業と自分との適性を確認するために行うものということを忘れないようにしましょう。
飲料業界の特徴や今後の動きを押さえておこう

飲料業界の動向や主要企業、求められる人物像について解説しました。
同業他社との競争が激しく多くの課題はあるものの、飲料業界は常に新しい発想や変化への対応に挑戦できる活気に満ちた業界です。
日々の暮らしに密着した製品を扱うからこそ、社会とのつながりや手応えを感じやすい、やりがいのある業界でもあります。
就職活動の初期段階から業界の特徴や動きを押さえておくことで、企業選びや面接準備の精度もぐっと高まります。ぜひこの記事をきっかけに、自分なりの視点で飲料業界への理解を深めてください。
まずは志望動機を作ってみる
この記事を書いた人
編集部
「就活に苦しむ学生を減らしたい」をモットーに、志望動機やES、面接対策など、多種多様な就活の困りごとを解決するための記事を日々発信。700以上の記事で就活生の悩みに対処しつつ、就活の専門家であるキャリアアドバイザーの監修により、最後まで内定を狙える就活の方法を伝授し続けています。