整骨院の年収は？平均年収からキャリアアップの方法まで徹底解説

「整骨院の年収って、実際どのくらいなの？」

整骨院を目指す方々の中には、「将来どれくらい稼げるのか」「独立すれば年収1,000万円も可能なのか」と気になる方も多いでしょう。

本記事では、整骨院の平均年収から年収を上げる具体的な方法、独立・開業で成功するポイントまでをわかりやすく解説します。

これから整骨院でのキャリアを考える方はもちろん、収入アップを目指す方もぜひ参考にしてください。

整骨院とは？

整骨院は、体の痛みやケガの回復をサポートする医療施設です。就職を考えている方の中には「整骨院での仕事はどんな内容なのか」「どんな資格が必要なのか」と気になる方も多いでしょう。

ここでは、整骨院の基本的な役割や柔道整復師との関係、接骨院との違いをわかりやすく解説します。

1. 整骨院の役割
2. 柔道整復師との関係
3. 整骨院と接骨院の違い
4. 整骨院での主な仕事内容

①整骨院の役割

整骨院は、骨折・脱臼・打撲・捻挫など、体のケガや痛みに対して施術を行う医療機関です。

国家資格を持つ柔道整復師が、手技や電気治療、温熱療法などを組み合わせて自然治癒力を引き出し、痛みを和らげていきます。

整骨院の大きな特徴は、医師の診断書がなくても保険を利用できる場合があることです。

特にスポーツでのケガや、日常生活で起こる腰痛・肩こりなどの症状に対応できる点が、多くの人に選ばれる理由です。

最近では、姿勢改善や骨盤矯正などの自費診療メニューを取り入れる整骨院も増え、より幅広いニーズに応える形で進化しています。

こうした役割を通じて、整骨院は患者の生活の質を支え、地域社会に貢献する存在といえるでしょう。

②柔道整復師との関係

整骨院で施術を行うには、「柔道整復師」という国家資格を取得する必要があります。柔道整復師は、骨や筋肉、関節などの身体構造を深く理解し、医療行為に準じた技術を用いて施術を行う専門職です。

手術や薬の処方はできませんが、ケガの応急処置や骨折・脱臼の整復、リハビリ、機能回復のサポートなど、幅広い治療を担っています。

近年は、医療機関との連携を図る整骨院も増えており、医師の診断に基づいた治療計画の実施や、チーム医療の一端を担うケースも見られます。

整骨院は、こうした柔道整復師の専門知識と技術が活かされる職場であり、その力量が院の信頼や評判を左右する重要な要素になっているといえるでしょう。

③整骨院と接骨院の違い

整骨院と接骨院には、明確な法的な違いはありません。

どちらも柔道整復師が運営し、施術内容も共通しています。名称の違いは、運営者の方針や地域の慣習によるもので、どちらの名前を使っても提供できるサービスは同じです。

ただし、近年では「整骨院」という名称が、より柔らかく現代的な印象を与えるために選ばれる傾向があります。女性や高齢者にも親しみやすく、清潔感や安心感を演出できる点が理由の一つです。

一方、「接骨院」は昔ながらの呼称で、地元に根づいた信頼や歴史を感じさせるイメージがあります。

患者の層や地域性に応じて、どちらを選ぶかが分かれるものの、両者の目的は共通しており、いずれも人々の健康を支える役割を果たしています。

④整骨院での主な仕事内容

整骨院での仕事は、患者のカウンセリングから施術、リハビリ指導、アフターケアまで多岐にわたります。

柔道整復師はまず問診を行い、症状や痛みの原因を分析した上で、手技療法・電気療法・温熱療法などを組み合わせて治療を進めます。

施術だけでなく、再発を防ぐためにストレッチ方法の指導や、姿勢改善、生活習慣の見直しなどのアドバイスを行うことも大切です。

最近では、スポーツ選手のコンディショニングや、企業との提携による健康サポートなど、活躍の場も広がっています。さらに、保険請求書類の作成や予約管理など、院の運営に関わる事務業務も担当します。

整骨院の仕事は、単なる治療にとどまらず、患者の生活全体を支える総合的なサポートといえるでしょう。人の健康を守りながら、自身の専門スキルを高められるやりがいのある仕事です。

整骨院の平均年収

整骨院で働く柔道整復師の年収は、勤務形態や地域、経験年数によって大きく異なります。就職を考える学生にとって「平均でどのくらい稼げるのか」は重要な関心ごとでしょう。

ここでは、厚生労働省の統計データをもとに、整骨院で働く柔道整復師の平均年収や月収、地域・雇用形態による違いを詳しく解説します。

1. 最新統計データで見る平均年収
2. 平均月収・時給換算ベースの目安
3. 年齢・経験年数別で見る年収推移
4. 地域別・都道府県別で見る年収の違い
5. 雇用形態別で見る年収比較

①最新統計データで見る平均年収

厚生労働省の職業情報サイトによると、柔道整復師の平均年収は、約430.2万円とされています。医療・福祉業界全体の中では、中間的な水準といえるでしょう。

ただし、この数字は全国の平均であり、勤務先の規模や業務内容、担当する患者数、施術メニューなどによって年収には幅があります。

たとえば、勤務柔道整復師として安定して働く人もいれば、分院長や経営者としてより高い収入を得る人もいます。

経験を積んで院長やマネージャー職に昇進すれば、年収600万円を超えるケースも珍しくありません。

加えて、自費診療を導入する整骨院やスポーツトレーナーとの兼業などでは、年収が700万円を超える可能性もあります。

安定的に収入を増やすには、臨床経験に加えてコミュニケーション力や経営的な視点を磨くことが大切です。努力次第で柔道整復師のキャリアは大きく広がるでしょう。

②平均月収・時給換算ベースの目安

柔道整復師の平均月収は、およそ35万〜36万円とされています。これを時給に換算すると約2,186円です。この数値には、賞与や残業代を含む場合が多く、勤務時間や働き方によって差が出ます。

たとえば、残業が少なく勤務時間が短い整骨院では、月収はやや低くなる傾向があり、逆に自費診療を多く扱う整骨院では高収入を得やすいです。

また、個人経営の整骨院では歩合制を取り入れているところも多く、患者数や売上に応じてインセンティブが支給されることもあります。

そのため、技術力や接客スキルを磨けば、自分の努力がそのまま収入に反映されやすい環境といえます。

給与の金額だけでなく、勤務時間、休日数、福利厚生、そして働きやすさを総合的に考慮して職場を選ぶことが大切です。

③年齢・経験年数別で見る年収推移

柔道整復師の平均年齢は、約39.9歳とされています。年齢や経験を重ねるごとに収入が上がる傾向があり、20代では年収300万円台前半、30代で400万円台後半、40代では500万円を超える人も多いです。

さらに、独立して整骨院を開業すれば、年収800万円以上を目指すことも可能でしょう。ただし、年齢を重ねてもスキルアップを怠ると、年収が頭打ちになるケースもあります。

近年では、保険診療の報酬が厳しくなっているため、自費診療の導入や新しい施術メニューの開発が収益拡大のカギになります。

柔道整復師としてキャリアを積むなら、技術だけでなく経営感覚やマーケティングの知識を持つことも重要でしょう。成長意欲を持って挑戦し続ける人ほど、高収入を実現できる傾向があります。

④地域別・都道府県別で見る年収の違い

整骨院の年収は、地域や立地条件によっても大きく異なります。

全国平均は約430万円ですが、都市部では450万円を超えるケースが多く、特に東京都・大阪府・愛知県などの人口密集地では高い収入を得やすいです。

これらの地域では患者数が多く、自費診療を導入しやすいため、施術単価を上げやすい環境が整っています。一方で、地方では年収が350万〜400万円台にとどまることもあります。

とはいえ、地方の整骨院は家賃や運営コストが低いため、経営が安定しやすいというメリットもあるでしょう。

また、高齢化が進む地域では訪問施術の需要が高く、地域に密着した働き方で安定した収入を得ることも可能です。

勤務地を選ぶ際は、単に年収だけではなく、生活コストや働きやすさ、将来の独立機会などを総合的に考えることが大切になります。地域の特徴を理解したうえで、自分の理想の働き方を見つけましょう。

⑤雇用形態別で見る年収比較

柔道整復師の働き方には、正社員・契約社員・アルバイト・独立開業などがあります。正社員の平均年収は400万〜450万円で、安定した収入と社会保険の充実が特徴です。

契約社員やパート勤務の場合は勤務時間の融通が利く反面、年収はやや低めになります。独立開業を選ぶと、初期投資やリスクは伴いますが、経営が順調に進めば年収1,000万円を超えることもあるでしょう。

厚生労働省の統計によると、自営業やフリーランスとして働く柔道整復師は全体の約27％を占めています。

開業後は、経営・集客・人材育成など幅広いスキルが必要ですが、成功すれば大きなやりがいと高い報酬を得られます。

自分の生活スタイルや将来設計に合わせて、どの働き方が最も合っているかを見極めるようにしましょう。

引用：職業情報提供サイト（job tag）

整骨院が年収を上げる方法

整骨院の年収を上げるためには、施術数を増やすだけでは不十分です。経営の仕組みやサービス品質、そして患者満足度を高めるための工夫が欠かせません。

ここでは、整骨院が安定して収益を伸ばすために、実践できる5つの方法を紹介します。どれも現場ですぐに活かせる内容なので、将来独立を考えている学生の方にも役立つでしょう。

1. 自費診療メニューを導入して収益性を高める
2. ターゲット層に合わせたマーケティング戦略を実践する
3. 口コミや紹介を増やしてリピート率を向上させる
4. スタッフ教育と接客品質を改善して顧客満足度を上げる
5. SNSやWEBを活用して集客力を強化する

①自費診療メニューを導入して収益性を高める

整骨院の収益を上げるためには、自費診療メニューの導入が非常に効果的です。保険診療のみでは報酬が一定で、施術数を増やしても限界があるため、自由診療を取り入れて単価を上げることが求められます。

具体的には、骨盤矯正や姿勢改善、美容整体、スポーツコンディショニングといった施術が人気です。

こうした自費メニューは施術内容を自由に設定でき、患者のニーズに合わせて提供できる点が大きな強みになります。

また、患者一人ひとりの症状に合わせて柔軟に対応できるため、満足度の向上にもつながるでしょう。導入の際は、価格設定を明確にし、施術の効果や目的を丁寧に説明することが重要です。

信頼を得ることでリピートにつながり、結果的に安定した収益基盤を築くことができます。高品質なサービスを維持しながら利益率を上げることで、長期的な経営の安定化が実現するでしょう。

②ターゲット層に合わせたマーケティング戦略を実践する

整骨院の年収を伸ばすには、ターゲット層をしっかりと絞り込むことが欠かせません。どのような患者を中心に集めたいのかを明確にし、その層に合わせたマーケティングを行うことで効率的に集客ができます。

たとえば、働く女性をメインターゲットに設定する場合、「姿勢改善」や「むくみ・冷え対策」といった美容や健康をテーマにしたメニューが効果的です。

一方で、学生やアスリート層に向けるなら「パフォーマンス向上」「ケガの予防」「筋力バランスの調整」といった専門性を打ち出すと良いでしょう。

さらに、ターゲット層に合った広告媒体を活用することも重要です。SNS広告やGoogleマップ、地域密着の口コミサイトを活用すれば、費用を抑えつつ効果的に宣伝が行えます。

データ分析をもとに成果を検証しながら改善を重ねることで、継続的な集客力を高めることが可能です。

明確な戦略をもって発信することで、整骨院のブランド力が高まり、自然と年収アップにつながるでしょう。

③口コミや紹介を増やしてリピート率を向上させる

整骨院の経営を安定させるには、新規患者を増やすよりもリピーターを確保する方が効果的です。リピート率を高めることで固定客が増え、毎月安定した売上が見込めるようになります。

そのためには、施術後のフォローや定期的なカウンセリングを通して、患者との信頼関係を築くことが重要です。また、口コミを増やすには、紹介制度を導入するのが効果的でしょう。

「紹介者に割引」「ペア来院特典」などを設けることで、自然と患者同士のつながりが広がります。GoogleレビューやSNSでの投稿も新規集客に直結するため、積極的に活用しましょう。

特に、体験談やビフォーアフターを紹介することで、信頼性が高まり、新規患者の不安を軽減できます。さらに、リピーター向けの会員制度や定期来院割引を設けるのもおすすめです。

患者が「また来たい」と思える仕組みを整えることで、口コミとリピートの相乗効果が生まれ、長期的に収益が安定します。

④スタッフ教育と接客品質を改善して顧客満足度を上げる

整骨院の年収は、施術技術だけでなく接客品質にも大きく左右されます。

患者は「技術が高い院」よりも「親切で安心できる院」を選ぶ傾向があるため、スタッフ全員が一定の接遇スキルを身につけることが大切です。

あいさつや言葉遣い、笑顔、カウンセリングの姿勢など、基本的な接客を徹底するだけでも印象は大きく変わります。

また、スタッフ同士の情報共有を密に行うことで、患者一人ひとりに合わせた一貫性のある対応が可能になるでしょう。

こうした取り組みは結果的に顧客満足度の向上を生み、安定した経営基盤を築く重要な要素となります。満足度の高い整骨院は口コミも広がりやすく、年収アップの好循環を作り出すことができるでしょう。

⑤SNSやWEBを活用して集客力を強化する

現代の整骨院経営において、SNSやWEBを活用した集客は欠かせません。InstagramやTikTokで、施術風景やビフォーアフターを発信すれば、視覚的なインパクトで多くの人の興味を引くことができます。

YouTubeなどで、セルフケアやストレッチ方法を紹介するのも有効です。また、Googleビジネスプロフィールを整備することで、地域検索で上位に表示されやすくなり、地元の新規患者を獲得しやすくなります。

SNS発信とWEBコンテンツを組み合わせて運用することで、広告費を抑えながら継続的な集客を実現できます。

さらに、オンライン予約システムを導入すれば、24時間いつでも予約できる利便性が向上し、来院数アップにもつながります。

デジタル活用を積極的に進めることが、これからの時代における整骨院の年収アップの大きなカギになるでしょう。

整骨院を開業すると年収1,000万円は可能？

整骨院を開業すれば、年収1,000万円を目指すことは決して夢ではありません。ただし、その実現には確かな経営戦略と、入念な準備が欠かせません。

ここでは、開業で高収入を得るための条件や、成功する院長が実践しているポイントをわかりやすく紹介します。年収1,000万円を実現するための道筋を、一緒に見ていきましょう。

1. 整骨院開業で年収1,000万円を目指すための条件
2. 成功する院長が実践している経営戦略
3. 立地選びと商圏分析が年収に与える影響
4. 初期投資・ランニングコストを抑える開業計画の立て方
5. 複数院展開やスタッフ雇用による収益拡大の仕組み

①整骨院開業で年収1,000万円を目指すための条件

整骨院で年収1,000万円を達成するためには、経営者としての意識と長期的な視点が不可欠です。

高い施術技術を持っているだけでは限界があり、集客・リピート・経営の三本柱をしっかり整えることが重要でしょう。

成功している整骨院の多くは、保険診療に加えて自費診療メニューを積極的に取り入れ、施術単価を上げる工夫をしています。

さらに、リピートを促すためのカウンセリング技術や、フォロー体制を整えている点も特徴です。また、スタッフ教育を重視してサービス品質を統一し、患者の信頼を獲得しています。

加えて、データ管理や経営分析を日常的に行い、無駄なコストを削減して効率的な経営を実現しています。地域との関係づくりにも注力し、地元イベントや健康講座への参加で認知度を高める院も多いです。

これらを継続して実践することで、安定した収益を確保し、年収1,000万円に到達する現実的な基盤を築くことができるでしょう。

②成功する院長が実践している経営戦略

年収1,000万円を稼ぐ整骨院院長の共通点は、技術力に加え、経営とマーケティングのバランスを取っていることです。特に、数字をもとにした意思決定ができるかどうかが成功のカギとなります。

たとえば、来院数・平均単価・リピート率などを毎週チェックし、課題を特定して改善を繰り返す仕組みを持っています。

また、自費診療メニューを導入する際には、患者のニーズを分析してサービス内容や価格を設計しており、利益率を意識した経営を徹底しています。

さらに、集客面ではSNS発信やWEB広告、Googleマップ運用を活用し、地域での認知度を高めている人もいます。

院内環境にもこだわり、清潔感や照明、音楽などの「空間設計」まで意識して患者の満足度を上げています。こうした細部への配慮がリピート率の向上につながり、長期的な収益を生み出しています。

地道な改善と分析を怠らず、常に「経営を学び続ける姿勢」を持つことが、高収入を実現する院長に共通する最大の特徴といえるでしょう。

③立地選びと商圏分析が年収に与える影響

整骨院の収益は、立地によって大きく左右されます。どんなに技術が優れていても、人通りが少ない立地や競合が密集した地域では安定した集客は難しいでしょう。

そのため、開業前には徹底した商圏分析を行う必要があります。まず、候補地の人口構成や年齢層、交通の便、駐車場の有無を確認し、ターゲット層が通いやすい環境かを判断してください。

また、周辺の競合院の数や施術メニュー、口コミ評価などを分析し、自院の強みをどう打ち出すかを明確にすることも大切です。

たとえば、住宅街ならファミリー層を意識した「産後骨盤矯正」や「姿勢改善メニュー」を打ち出し、オフィス街なら「短時間施術」「昼休み対応」などビジネスパーソンに合わせたサービスを展開するのが効果的でしょう。

さらに、近隣施設（スーパー・ジム・病院など）との連携も有効です。立地戦略は「どこで開業するか」だけでなく、「誰に何を提供するか」という視点で考えることが成功のカギになります。

④初期投資・ランニングコストを抑える開業計画の立て方

整骨院の開業で失敗を避けるには、初期投資とランニングコストのバランスをしっかり考えることが必要です。

開業当初に無理をして高額な内装や機器を導入すると、資金繰りが厳しくなり、経営が不安定になるリスクがあります。

まずは、最小限の設備で開業し、売上が安定してから段階的に拡大する方法が現実的です。特に、電療機器やベッドは中古やリースを上手に活用することで、費用を大幅に抑えられます。

また、固定費の見直しも欠かせません。家賃の安い立地を選んだり、光熱費や広告費を抑える工夫をしたりすることで、利益率を維持しやすくなります。

さらに、開業前には資金計画書を作成し、毎月の収支シミュレーションを行っておくことが重要です。資金計画を可視化することで、無駄な支出を防ぎ、安定した経営を実現できます。

経営を長く続けるためには、初期の見栄えよりも「持続可能な運営」に焦点を当てることが成功の近道になるでしょう。

⑤複数院展開やスタッフ雇用による収益拡大の仕組み

年収1,000万円を超える整骨院経営者の多くは、個人の施術に依存しない仕組みを作っています。

複数院を展開したり、スタッフを育成して任せたりすることで、自分の時間を増やしながら収益を拡大しているのです。

そのためには、スタッフの教育体制を整え、誰でも同じレベルのサービスを提供できるようにマニュアル化することが重要でしょう。

さらに、スタッフが安心して働ける環境を作ることも大切で、給与体系やキャリアアップ制度を整えることで、定着率が高まり経営が安定します。

複数店舗を展開する場合は、信頼できる管理者を配置し、各店舗の売上や経費をリアルタイムで把握できる管理システムを導入しましょう。

また、スケールメリットを活かして、広告費や仕入れを一括管理することでコストを削減できます。最終的には、自分が現場を離れても利益が出る「自走する整骨院」を作ることが目標です。

こうした組織経営の仕組みを確立すれば、安定して年収1,000万円を超える経営者になることができるでしょう。

整骨院経営が厳しいと言われる理由

整骨院は、地域の健康を支える重要な存在ですが、経営面では厳しさを感じる院が増えています。その背景には、競争の激化や制度の変化、人材の確保難など、さまざまな要因が関係しているといえます。

ここでは、整骨院経営が難しいとされる主な理由を、5つの観点からわかりやすく説明しましょう。

1. 整骨院・接骨院の数が増加し競争が激化しているため
2. 保険請求の厳格化による収益減少が影響しているため
3. 自費診療への移行が進まず利益率が低いため
4. 人材不足とスタッフの定着率の低下によるため
5. 経営知識やマーケティング不足による集客難のため

①整骨院・接骨院の数が増加し競争が激化しているため

整骨院の数は年々増加しており、全国的に飽和状態に近づいています。

厚生労働省の統計でも、この10年で整骨院・接骨院の数が大幅に増え、特に都市部では同じエリアに複数の院が立ち並ぶケースが目立ちます。

その結果、地域ごとの競争が激化し、価格競争やキャンペーン合戦に巻き込まれやすくなっています。

技術や施術内容に大きな差がない場合、選ばれる理由は立地・口コミ・接客対応といった細かな部分に依存することが多く、安定した集客を維持するのが難しいのです。

新規開業が増える一方で廃業する院も後を絶たず、業界全体が「生き残りをかけた競争状態」にあるといえるでしょう。

②保険請求の厳格化による収益減少が影響しているため

整骨院経営の基盤となる保険診療ですが、近年は請求ルールが厳しくなり、従来のように柔軟な運用ができなくなっているのが実情です。

施術内容や通院回数を明確に記録し、正確に報告しなければならず、審査で減額されるケースも増えています。

監査の強化により、請求ミスや不備が見つかると返還を求められることもあり、経営リスクは高まる一方です。その結果、保険収入に依存した経営モデルでは利益を出しづらくなっています。

以前は、患者数を増やせば自然と売上が伸びましたが、今は単価が低いままでは限界があります。このため、業界では自費診療を導入して、収益構造を見直す動きが進んでいます。

③自費診療への移行が進まず利益率が低いため

整骨院の経営難には、自費診療への移行がうまく進んでいない点も大きく関係しています。

保険診療は、安定した集客が見込めますが、単価が低いため利益率は低く、スタッフの給与アップや設備投資が難しくなります。

一方で、自費診療は単価を上げられる強みがありますが、患者に「価格に見合う価値」を感じてもらうことが重要です。そのため、技術だけでなく、カウンセリング力や提案力が求められます。

導入をためらう院もありますが、自費メニューを上手に取り入れれば、経営改善のチャンスになりうるでしょう。

たとえば、産後骨盤矯正や美容整体、スポーツパフォーマンス向上といった専門メニューは需要が高く、単価を上げやすい分野です。

④人材不足とスタッフの定着率の低下によるため

整骨院業界では、深刻な人材不足が続いています。柔道整復師などの有資格者は、全国的に需要が高く、採用競争が激化しています。

特に、中小規模の整骨院では給与や福利厚生の面で大手に劣るため、採用が難しいのが現状です。せっかく採用できても、待遇面や職場環境への不満から短期間で離職してしまうケースも少なくありません。

さらに、院長が施術や経営、スタッフ教育まで一手に担っていることが多く、育成に十分な時間を割けないことも課題となっています。

⑤経営知識やマーケティング不足による集客難のため

整骨院の院長は施術技術に長けていても、経営やマーケティングに関しては未経験という場合が多いです。そのため、開業後に「技術はあるのに患者が来ない」という悩みを抱えることが少なくありません。

特に近年では、SNS・Googleビジネスプロフィール・口コミサイトなどのデジタル施策が集客に直結していますが、うまく活用できていない院が多いのが現状です。

また、広告を出しても効果が出ないのは、ターゲット層や訴求ポイントが明確でないことが原因なのかもしれません。成功している整骨院は、まず「誰に」「どんな価値を提供するのか」を明確にしています。

たとえば、学生アスリート向けにスポーツ障害の専門院として差別化したり、高齢者に向けて日常生活のサポートを打ち出したりと、方向性をはっきりさせることが大切になっているのです。

整骨院の将来性

整骨院業界は、今後も一定の需要が見込まれますが、時代の変化に合わせた柔軟な対応が求められています。

高齢化や健康志向の高まりによって市場は広がっていますが、競争が激しくなる中で「選ばれる整骨院」になる工夫が欠かせません。ここでは、整骨院の将来性を4つの視点から詳しく解説します。

1. 高齢化社会の進行により需要は今後も安定
2. 美容・予防分野への展開が拡大傾向
3. デジタル化・オンライン診療の導入による業務効率化

①高齢化社会の進行により需要は今後も安定

日本では、65歳以上の高齢者が人口の約3割を占めており、今後も増加すると予測されています。高齢化が進むことで、慢性的な腰痛や膝痛、関節の可動制限など、体の不調を抱える人がさらに増えるでしょう。

こうした中、整骨院は医療機関と連携しながら、地域に密着した健康サポート拠点としての役割を果たすようになっています。

特に、医師の診療を受けるほどではないが、日常生活に支障をきたす症状を改善したいという高齢者が多く、整骨院はその受け皿となる存在です。

また、介護予防や転倒防止を目的とした運動指導を導入する院も増えており、健康寿命の延伸に貢献しています。地域包括ケアシステムの中で、整骨院が果たす役割はますます大きくなるでしょう。

施術に加え、健康講座やリハビリ指導を行うなど、社会的な機能を強化することで、整骨院の存在価値はより高まるはずです。

②美容・予防分野への展開が拡大傾向

整骨院業界では、これまでの「治療中心型」から「美容・予防型」へとシフトする動きが顕著になっています。

骨盤矯正や小顔矯正、美容整体、猫背矯正などの自費メニューを導入する院が増え、健康と美容の両面を意識した利用者が多くなっているのが現状です。

特に、デスクワークやスマホの使用で姿勢不良に悩む20〜40代の層を中心に、整骨院を美容・ボディメンテナンスの場として選ぶ傾向が強まっています。

さらに、健康維持を目的とした予防施術も注目されており、痛みが出る前から通う「未病ケア」が広がりを見せています。

こうした分野を強化することで、整骨院は単なる治療施設ではなく、ライフスタイルに寄り添う総合健康サロンとしての価値を高めてきているのです。

③デジタル化・オンライン診療の導入による業務効率化

整骨院におけるデジタル化は、業務の効率化とサービス品質の両立を可能にしています。

予約管理システムや電子カルテの導入により、煩雑な手作業を削減し、患者対応や施術に集中できる時間が増えているのがメリットです。

さらに、LINEなどのアプリを使った予約・リマインド機能を導入することで、ドタキャンや予約忘れを防ぎ、来院率を高める工夫も進んでいます。

近年では、オンラインでのカウンセリングやストレッチ指導、姿勢チェックを提供する整骨院も増え、遠方の顧客や多忙な人にも対応できるようになりました。

これにより、リアル施術とデジタル支援を組み合わせた「ハイブリッド整骨院」という新しい形も登場しています。

整骨院の年収を高めるために必要な視点

整骨院の年収は、働き方や経営方針によって大きく差が出ます。厚生労働省の統計によると、平均年収は約400万円前後ですが、開業や自費診療の導入によって年収1,000万円を実現している院長も存在しています。

重要なのは、どのように価値を提供し、選ばれる整骨院になるかという点です。自費メニューの導入やSNSを活用した集客、スタッフ教育の強化などは、収益を安定化させる効果的な手段といえます。

整骨院で安定した年収を得るには、専門技術だけでなく、経営力と柔軟な発想が成功のカギとなるでしょう。