公務員の退職金平均額と計算方法|国家・地方別に徹底解説
安定した職業として人気の高い公務員ですが、退職金については意外と知られていないことも多いです。国家公務員と地方公務員で違いはあるのか、民間企業との比較、気になる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、公務員の退職金について、平均額や計算方法、早期退職・定年延長時の影響まで、国家・地方別にわかりやすく徹底解説します。
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公務員の退職金制度とは

公務員の退職金制度は、長年の勤務に対する感謝と報酬として支給される重要な仕組みです。
公務員の退職金は、法律に基づいて運用されており、「退職手当」として定められたルールに従って支給されます。
この退職金制度の大きな特徴は、長期間勤め続けることによって金額が増えるよう設計されている点です。
だからこそ、公務員としてのキャリアを見据えるのであれば、「どれだけ安定して長く働けるか」という視点が重要になります。
人生100年時代といわれる現代において、退職後の生活までを視野に入れた就職選びが、将来の不安を減らすことにつながるでしょう。
国家公務員の退職金の平均額

国家公務員の退職金の平均額は、定年まで勤め上げた場合でおよそ2,000万円から2,500万円程度といわれています。安定した職業としての魅力は、こうした将来の生活保障にもあらわれています。
退職金の金額は、主に「勤続年数」「退職理由」「最終給与額」によって決まります。
定年退職であれば満額に近い金額が支給されますが、自己都合や早期退職では金額が大きく下がるため注意が必要です。また、近年は制度見直しもあり、以前より支給額が抑えられる傾向も見られます。
以下は、国家公務員の退職金について、勤続年数および退職理由別に平均支給額の目安をまとめた一覧です。
勤続年数 | 退職理由 | 平均支給額(万円) |
---|---|---|
35年以上 | 定年退職 | 2,200〜2,500 |
30〜34年 | 定年退職 | 2,000〜2,200 |
20〜29年 | 自己都合退職 | 1,000〜1,600 |
10〜19年 | 自己都合退職 | 500〜1,000 |
5〜9年 | 早期退職(希望退職含む) | 300〜600 |
1〜4年 | 早期退職(自己都合) | 〜200 |
20年以上 | 懲戒免職 | 支給なし |
このように、退職金制度は一律ではなく、働き方や退職の仕方によって大きな違いがあります。
国家公務員という選択が将来にわたる安定につながるかどうかは、制度をきちんと理解してこそ判断できるものといえるでしょう。
将来の安心材料として、国家公務員の退職金制度は非常に魅力的に感じられるかもしれませんが、自己都合退職や早期退職の場合は、想像以上に支給額が下がることもあります。
また、少子高齢化や財政負担の増加を背景に、退職金制度の見直しや縮小が行われる可能性もあります。
公務員として働くことで得られる安定性は大きな魅力ですが、制度や数字の意味を正しく理解したうえで進路を選ぶ姿勢が求められます。
出典:
・人事院「令和4年度 退職手当の支給状況」
・総務省「地方公務員の退職手当制度」
・財務省「国家公務員退職手当制度の概要」
(参照日:2025年7月時点)
地方公務員の退職金の平均額

地方公務員の退職金は、安定した将来設計を描くうえで大きな魅力のひとつです。
定年まで勤め上げた場合、全国的な平均額は約2,000万円前後となっており、民間企業と比べても遜色のない水準にあります。
また、退職金制度は法律や条例によって守られており、大幅な減額が発生しにくい点も安心材料といえるでしょう。
以下の表に示すように、主要な自治体において職種別の退職金額はおおよそ2,000万〜2,400万円で推移しています。
警察官や消防職など危険を伴う職種はやや高めの傾向にあり、教員も比較的安定した水準です。
自治体 | 職種 | 退職金(定年・勤続35年以上の例) |
---|---|---|
東京都 | 一般行政職 | 約2,300万円 |
東京都 | 警察官 | 約2,400万円 |
東京都 | 教員 | 約2,200万円 |
大阪府 | 一般行政職 | 約2,200万円 |
大阪府 | 消防職 | 約2,300万円 |
愛知県 | 一般行政職 | 約2,150万円 |
愛知県 | 教員 | 約2,100万円 |
福岡市 | 一般行政職 | 約2,000万円 |
札幌市 | 一般行政職 | 約2,050万円 |
このように、地方公務員の退職金は将来にわたる経済的安心を支える制度として評価できます。進路を検討する際には、安定した退職後の生活設計の一環として考慮すべき重要な要素でしょう。
出典:
・総務省「地方公務員の退職手当制度の概要」
・各自治体の人事委員会・職員給与条例資料(東京都、大阪府、愛知県など)
・令和4年度 地方公務員給与実態調査結果(総務省統計局)
公務員と民間企業(大企業・中小企業)の退職金の違い

公務員の退職金制度は安定しているとよく言われますが、実際には民間企業とどう違うのでしょうか。特に大企業や中小企業と比較すると、金額や支給制度に違いがあります。
ここでは、それぞれの違いを具体的に解説し、将来設計に役立つ情報をお届けします。
1.大企業との違い:退職金の平均額は同程度でも、制度の安定性で公務員が優位
2.中小企業との違い:退職金の金額に大きな差、支給の確実性でも公務員が有利
①大企業との違い:退職金の平均額は同程度でも、制度の安定性で公務員が優位
公務員の退職金は、大企業とほぼ同程度、もしくはやや下回る場合があります。大企業では退職金の計算方法が企業ごとに異なり、業績や勤続年数、役職などによって金額が大きく変動します。
国家公務員の定年退職時の平均退職金は約2,000万円ですが、大企業の部長クラス以上であれば、2,500万円を超えることもあります。
仮に経済が不安定になっても、制度が急に変更されたり、業績によって支給額が大幅に減ったりする可能性は低いでしょう。
また、大企業は退職金以外にも企業年金制度や確定拠出年金などの上乗せ制度を導入しているケースもあり、その分トータルの退職後資金は手厚いことがあります。
退職金の「額面」だけでなく、「制度の持続性」や「個人に求められる判断力」も比較すべきポイントです。
② 中小企業との違い:退職金の金額に大きな差、支給の確実性でも公務員が有利
公務員の退職金は、中小企業と比べると明らかに高く、制度としても安定性に優れています。
中小企業のなかには、そもそも退職金制度を導入していない会社も多いのが現状です。
平均的な支給額は300万円から500万円程度にとどまり、定年退職時であっても大きな金額は期待しにくいでしょう。
また中小企業では、業績悪化に伴って退職金の削減や不支給が起こる可能性があり、現実にそうした事例も少なくありません。
中小企業を志望する場合には、退職金に過度な期待をせず、自主的に資産形成を行う視点が必要不可欠です。
公務員の退職金の計算方法

公務員の退職金制度は、民間企業と比べて手厚いといわれていますが、具体的な仕組みについては意外と知られていません。
退職後の生活設計に大きく関わるため、就職活動の段階で理解しておくと安心です。
ここでは、退職金の仕組みや代表的な計算パターンを紹介します。
- 退職金の「基本額」の計算方法
- 退職金の「調整額」の計算方法
- 定年退職した場合の計算例
- 自己都合退職の場合の計算例
① 退職金の「基本額」の計算方法
退職金の「基本額」は、「退職時の俸給月額 × 支給率 × 勤続年数」で算出されます。
この支給率は勤続年数が長くなるほど高く設定されています。
例えば、国家公務員が40年間勤務し、最終的な俸給月額が50万円だった場合、「50万円 × 50ヶ月(支給率)=2500万円」が基本額となります。これに調整額が加わることで最終的な退職金が決まります。
勤続5年の場合であると、支給率は2〜3ヶ月程度になることもあり、30万円の俸給月額なら「30万円 × 3ヶ月=90万円」と、定年まで勤めた場合と比べて大きな差が生じます。
退職金は人生後半の資金源として重要な役割を果たすため、将来を見据えてできるだけ長く安定して働くことが望ましいでしょう。
② 退職金の「調整額」の計算方法
「調整額」とは、基本額に加えて支給される加算部分で、主に職務内容、役職、功績などによって異なります。
調整額は「基本額 × 調整率」で計算され、調整率は概ね10〜25%の範囲で設定されることが多いです。
調整率は、役職や職種、勤務地などによって異なります。特に国家公務員の上級職や技術系職種では、専門性が評価され、調整額が高めになる傾向があります。
調整額は「評価される働き方」をしてきたことへの報酬ともいえるので、将来的に退職金を増やしたいなら、自らの役割やポジションにも意識を向けておくとよいでしょう。
③ 定年退職した場合の計算例
定年まで勤め上げた場合の退職金は、最も手厚い支給が受けられます。
例えば、地方公務員として35年勤務し、退職時の俸給月額が40万円だった場合、「40万円 × 45ヶ月(支給率)=1800万円」が基本額となり、ここに調整額として15%が加算されると、「1800万円 × 1.15=2070万円」が最終的な退職金です。
さらに役職についていた場合、例えば課長級で調整率が20%に設定されていたとすれば、支給額は「1800万円 × 1.20=2160万円」となり、さらに高額になります。
定年退職は退職金を最大限に活用できる機会です。受け取る金額が大きいぶん、その使い方や運用についても早めに計画しておくことが安心につながります。
④ 自己都合退職の場合の計算例
自己都合退職は、定年退職と比べて大きく条件が異なり、受け取れる退職金も少なくなります。
勤続10年で俸給月額が30万円だった場合、支給率は6ヶ月程度とされ、「30万円 × 6ヶ月=180万円」が基本額となります。
さらに、支給率は途中退職の理由によっても異なり、たとえば無断欠勤や懲戒処分が絡む退職であれば、退職金が不支給となるケースも存在します。
一方、キャリアチェンジや家庭の事情による退職など、前向きな理由であっても支給額に変わりはありません。
自己都合退職は慎重な判断が必要です。短期的な視点だけでなく、中長期的な生活設計を考えたうえで決断することが求められます。
早期退職・定年延長が退職金に与える影響

退職金の金額は、何歳で退職するかによって大きく変わります。
特に公務員の場合、定年制が明確に決められており、早期退職や定年延長の選択は、将来の退職金に直接影響を及ぼします。
ここでは、そうした選択がどのような金銭的影響をもたらすのかを分かりやすく解説します。
- 早期退職した際の退職金
- 定年延長した際の退職金
① 早期退職した際の退職金
早期退職を選ぶと退職金が減る、とよく耳にしますが、その仕組みや背景をきちんと理解している人は多くありません。
退職金は、「勤続年数」と「最終月給」から算定されるため、60歳定年の国家公務員が55歳で退職した場合、単純な勤続年数の不足だけでなく、昇給が止まる影響もあり、退職金が15〜25%程度減額されることがあります。
さらに一定年数の在職や特定条件を満たすことで加算される「特別加算金」などがあり、早期退職ではそれらが適用外となることもあります。
一見、「早く退職して自由な時間を得たい」と感じるかもしれませんが、退職後の生活費、再就職の可否、年金受給開始までの期間を踏まえて判断する必要があります。
② 定年延長した際の退職金
定年を延長し、勤続年数が長くなるに応じて支給額が上がるため、退職時点の年齢が高いほど退職金は大きくなりやすい傾向にあります。しかし、全てのケースに当てはまるわけではありません。
多くの自治体や官庁では、60歳以降の勤務は「定年前の延長」ではなく、「再任用」として扱われる場合があります。
この再任用制度では、基本給が大幅に引き下げられることが一般的であり、退職金の算定基準にも影響します。結果として、働いた年数の割に支給額が思ったほど増えないこともあるのです。
長く働くほど得をするとは限らないことを念頭に置いて、冷静に判断してください。
退職金の運用方法

公務員として勤務した後に受け取る退職金は、今後の生活や老後の備えとして非常に重要です。ただ、何もせず銀行に預けたままでは、お金はほとんど増えません。
そこで注目したいのが「運用」という選択肢です。ここでは、退職金をどのように使っていけばいいかを、具体的な方法や注意点とあわせて解説していきます。
- 退職金を運用する主な選択肢
- 退職金の運用時に注意すべき税金や年金との関係
- 退職金を活用する安定した資産形成
① 退職金を運用する主な選択肢
退職金を運用する際には、まず自分のリスク許容度を明確にすることが重要です。リスクを抑えたい人にとっては、元本が保証される定期預金や個人向け国債といった金融商品が向いています。
これらは大きな利益を得ることは難しいですが、安定した運用を目指せる点で安心です。一方で、より高い利回りを求めるなら、投資信託や株式、ETFといった商品に目を向ける選択肢もあります。
退職金は一生に一度の大きな資金であるため、焦って利益を得ようとするのではなく、時間をかけて堅実に育てていくという視点が欠かせません。
最初から多額を投資するのではなく、少額から始めて経験を積むことが賢明です。若いうちから金融の知識を身につけておくと、退職後に慌てず準備ができるでしょう。
② 退職金の運用時に注意すべき税金や年金との関係
退職金を受け取り後の運用では、税金や年金制度との関係を理解しておくことが大切です。
まず、退職金そのものには退職所得控除が適用されるため、一定額までは非課税となります。自分の退職金額がどれくらい控除対象になるのかを把握しておきましょう。
さらに、運用で得られた利益については、通常の所得として課税されることがあり、投資信託で得た分配金や株式の譲渡益には、原則として20.315%の税率で税金がかかります。
加えて、退職金を一括で受け取り、その直後に年金の受給が始まると、所得が重なることで住民税や社会保険料の負担が大きくなるケースもあります。
自分だけで判断が難しいと感じた場合には、専門家に相談し、最適な選択肢を選べるように準備しておくと安心です。
③ 退職金を活用する安定した資産形成
退職金を活用して安定した資産形成を実現するには、長期的な視点で計画を立てることが重要です。
日々の生活費や医療費など、すぐに必要になる資金と、10年先、20年先を見据えた運用資金を分けて考えることが資産管理の基本になります。
生活資金として手元に残す部分は、流動性の高い預金などで管理し、運用に回す部分は、長期的に安定した収益が見込める商品に投資するのが賢明です。
目先の利益だけに目を奪われず、ライフプラン全体の中でどう使うかをイメージして準備しておくことで、退職金を最大限に活かすことができるでしょう。
公務員の退職金制度の全体像を把握しよう!

公務員の退職金制度は、国家公務員・地方公務員それぞれに制度が整備されており、民間企業と比較しても安定性が高い点が特徴です。
特に退職金の平均額や計算方法、早期退職・定年延長による影響、さらには退職金の賢い運用方法まで、退職後の生活設計に直結する知識は非常に重要です。
国家公務員・地方公務員ともに一定のルールのもと計算されますが、定年退職と自己都合退職では大きく異なります。また、早期退職や定年延長も支給額に影響するため、事前の理解が不可欠です。
制度を正しく理解し、退職金を賢く運用することで、安心した老後を迎えるための資産形成が可能になります。
まずは志望動機を作ってみる
この記事を書いた人
編集部
「就活に苦しむ学生を減らしたい」をモットーに、志望動機やES、面接対策など、多種多様な就活の困りごとを解決するための記事を日々発信。700以上の記事で就活生の悩みに対処しつつ、就活の専門家であるキャリアアドバイザーの監修により、最後まで内定を狙える就活の方法を伝授し続けています。