監査法人の志望動機の書き方｜手順・事前準備・注意点も紹介

「監査法人の志望動機って、どうやって書けばいいの？」

そんな疑問を抱えている就活生は少なくありません。専門性が高く、社会的責任も大きい監査法人への就職を目指すには、業務理解や将来像をしっかりと表現された説得力のある志望動機が不可欠です。

そこで本記事では、監査法人における志望動機の書き方を、事前準備から構成、例文までわかりやすく解説します。

監査法人の業務や、志望動機の注意点まで解説しているのでぜひ最後まで見てくださいね。

監査法人とは？

監査法人とは、企業や団体の財務情報が正確であるかどうかを、第三者の立場から公正に確認する組織です。

監査法人は、企業が作成した財務諸表が法律や会計基準に合っているかどうかをチェックする「会計監査」を主な業務としています。

上場企業などにとって、この監査は法律で義務づけられており、社会的にも重要な役割を担っています。この監査を行う場合、公認会計士資格が必要であり、高い専門性を持つ企業と言えるでしょう。

また、最近では監査業務にとどまらず、コンサルティングや内部統制のアドバイザリーなど、提供するサービスの幅も広がっています。

そのため、企業経営に対してさまざまな角度から貢献できる点が、就活生にとって魅力的に映るかもしれません。

監査法人の志望動機を書く手順

監査法人の志望動機を書くには、順序を意識した構成が重要です。最初に結論を述べ、次にその理由となる体験や考えを示し、最後に入社後の目標を伝えると、読み手に納得感が生まれます。

ここでは、わかりやすく効果的な3つのステップを紹介し、それぞれの書き方のポイントを解説します。

1. 結論ファーストで志望理由を書く
2. 志望理由の根拠となるエピソードを書く
3. 入社後にどのように活躍できるかを書く

①結論ファーストで志望理由を書く

志望動機は、最初に結論を伝えることがとても大切です。採用担当者は多くのエントリーシートに目を通しており、最初の一文で引き込めるかどうかが大きな分かれ目。

たとえば「私は、社会的信頼の基盤を支える監査業務に魅力を感じ、貴社を志望しました」といったように、簡潔で明確な動機を冒頭に書きましょう。

ここでは、監査法人を志望する理由が「なんとなく」ではなく、自分の考えや価値観に根差していることが伝わる表現を意識してください。

結論を先に提示することで、その後に続く説明への興味を引きやすくなります。「なぜそう思ったのか？」と読み手が自然に感じる流れを作ることができるでしょう。

②志望理由の根拠となるエピソードを書く

結論の次には、その考えに至った背景や経験を示しましょう。自分の興味や価値観を裏づける具体的なエピソードを挙げることで、説得力のある志望動機になります。

たとえば、大学での会計学の学びや、インターンシップでの体験、ゼミや部活動を通じて得た視点などが挙げられます。

また、こういった経験が直接的に監査業務と結びつかなくても、そこから得た気づきや学びをうまく結びつけることで効果的に伝えられるでしょう。

ただし、話が長くなりすぎないよう注意してください。要点を絞りつつ、自分と監査業務との関係が伝わるように心がけましょう。

③入社後にどのように活躍できるかを書く

最後に、入社意欲と将来性をアピールするため、監査法人に入社したあと、どのように働きたいのかを伝えることが重要です。

たとえば「会計知識と論理的思考を活かして、クライアントの信頼に応える監査人として成長したい」といったように、自分がどのように会社に貢献できるかを具体的に示してください。

また、「継続して学び続け、将来的には後輩を導く立場を目指したい」など、長期的な視点を加えると、より前向きな印象を与えられるでしょう。

読み手が「この人と一緒に働くイメージが持てる」と感じることが、最終的な評価につながります。

監査法人を志望する理由を考えるための事前準備

監査法人の志望動機を明確にするには、いきなり文章を書き始めるのではなく、丁寧な事前準備が欠かせません。

自分の強みや目指す将来像を整理し、応募先ごとの特徴や求められる人物像を理解しておくことで、説得力のある志望動機が書けるようになります。

1. 自己分析をする
2. 各監査法人の特徴や強みを把握する
3. 応募先が求める人物像やスキルを理解する

① 自己分析をする

志望動機に説得力を持たせるには、自分自身を深く理解することが必要です。なぜ監査法人を目指すのかを明確に説明できなければ、どんなにきれいな言葉を並べても相手には響きません。

まずは、自分の性格や価値観、得意なことや経験を振り返ってみてください。それが監査の仕事にどう活かせるのかを考えることで、軸のある志望理由が見えてくるはずです。

また、将来どのように成長したいかを描いておくと、法人側もあなたの将来性をイメージしやすくなるでしょう。

こうした準備が整えば、採用担当者にも「この人なら活躍してくれそうだ」と思ってもらえるようになるはずです。

② 各監査法人の特徴や強みを把握する

どの監査法人に応募するかを考える際は、それぞれの法人が持つ特色や方針を理解しておくことが重要です。すべての法人が同じではなく、求める人材像や扱う業務領域にも違いがあります。

たとえば、BIG4のような大手法人では国際案件が多く、語学力や海外志向が重視されることがあります。一方で中堅法人の場合、地域密着型の支援や中小企業の監査に強みを持つことが特徴です。

それぞれの違いをきちんと調べ、自分の志向や経験と重ね合わせることで、「なぜこの法人なのか」が自然に伝わる志望動機が書けるでしょう。

③ 応募先が求める人物像やスキルを理解する

応募先がどのような人物を求めているのかを理解することも、志望動機をつくるうえで欠かせません。そのヒントは、説明会や採用ページなどに数多く含まれています。

たとえば、「挑戦心がある人」を重視している法人なら、自分が困難に挑んだエピソードを具体的に伝えるとよいでしょう。

一方で「チームワーク」を強調している場合は、グループで取り組んだ経験や周囲と協力した話が効果的です。

相手が求める人物像を意識しながら、自分の経験を当てはめて伝えることで、より魅力的で納得感のある志望動機になります。

監査法人の志望動機を作成する際のポイント

監査法人の志望動機を説得力のあるものにするには、単に「興味がある」と書くだけでは不十分です。

自分の経験や考えと監査業務とのつながりを明確にし、その法人でなければならない理由を伝えることが大切です。ここでは、そうした動機を具体的に仕上げるために押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

1. 監査法人を志望する理由を明確にする
2. 他ではなくなぜその法人を志望するのかを明確にする
3. 監査法人と親和性の高い自身の強みをアピールする

①監査法人を志望する理由を明確にする

まずは「なぜ監査法人なのか」をはっきりさせることが必要です。理由が曖昧なままだと、熱意が伝わりにくくなります。

たとえば「会計を通じて社会に貢献したい」「企業の信頼を支える仕事に魅力を感じた」など、自分の価値観に基づいた言葉を使ってみてください。

単なる興味ではなく、学んだことや経験との関係性を意識すると、読み手に納得してもらいやすくなります。

動機は「憧れ」だけで終わらせず、自分の考えや行動とどう結びついているのかを明確にすることが重要です。

②他ではなくなぜその法人を志望するのかを明確にする

複数ある監査法人の中で、なぜその法人を選んだのかを示せると、他の志望者との差がつきます。法人ごとの特徴に触れながら、自分の考えや将来像とどのように合っているのかを説明しましょう。

たとえば「若手でも積極的に挑戦できる環境にひかれた」「グローバル案件に力を入れている点に共感した」など、具体的な理由を挙げることが効果的です。

法人の理念や制度、得意とする分野なども確認して、自分との接点を見つけてください。このように個別の情報を織り交ぜると、「よく調べている」「本気で志望している」という印象を与えられるはずです。

③監査法人と親和性の高い自身の強みをアピールする

志望動機では、自分の強みが監査業務とどう結びつくかを伝えることが大切です。ただ得意なことを並べるのではなく、その力が実務でどう役立つのかを説明してください。

たとえば「細かい部分まで丁寧に確認する性格を、部活の会計係として発揮してきた」といった具体的な経験があると、より伝わりやすくなります。

監査業務には正確さや粘り強さが求められるため、それに通じる特性を選ぶとよいでしょう。

また、自分の強みを活かしてどのように成長したいかという将来像まで伝えられると、読み手に好印象を与えられます。

監査法人の志望動機の例文

志望動機を書く際、「何を書けばよいのか分からない」と悩む人は少なくありません。ここでは、実際の例文を通じて表現の参考になるポイントを紹介します。

自身の経験や考えに近いものを見つけて、文章作成に役立ててください。

1. 例文①：資格が活かせる専門性の高い仕事だから
2. 例文②：幅広い業種に携わることができるから

例文①：資格が活かせる専門性の高い仕事だから

監査法人を志望する理由として、「資格を活かした専門性のある仕事がしたい」という動機は多くの就活生にとって共感しやすいテーマです。

ここでは、会計に関する資格を学ぶ中で生まれた関心や気づきをベースにした例文を紹介します。

《例文》

大学で簿記の授業を受けたことをきっかけに、数字を使って企業の実態を分析する面白さに魅力を感じ、日商簿記2級の資格を取得しました。 学習を進めるなかで、会計の知識が企業経営の基盤を支えていることに気づき、より実践的な場でその知識を活かしたいと考えるようになったのです。 中でも監査法人は、専門性を深めながら社会全体の信頼を守るという使命を果たせる点に強く惹かれてました。 将来的には公認会計士の資格取得を目指し、貴法人での業務を通じて着実にスキルを磨いていきたいと考えています。

《解説》
資格を取得した背景や学びのプロセスを具体的に書くと説得力が増します。単に資格があるという事実だけでなく、「なぜその道に興味を持ったのか」までしっかり伝えましょう。

例文②：幅広い業種に携わることができるから

ここでは、さまざまな業界の企業と関わることができる点に魅力を感じた志望動機の例文を紹介　します。多様な業種に触れることで視野を広げたいという学生の気持ちを反映しています。

《例文》

学生時代、経済学部で学びながら複数の業界研究に取り組む中で、業種ごとの特徴や経営課題の違いに強い関心を抱くようになりました。 特定の業界に限定せず、さまざまな分野に関わる仕事を志すようになり、その中で監査法人の業務に魅力を感じるようになりました。 監査業務を通じて、多くの企業の経営実態を深く理解し、それぞれの課題に向き合える点に大きなやりがいを見いだしました。 知識や経験を重ねながら自分の視野を広げ、将来的には企業の成長支援にも貢献できる人材を目指しています。

《解説》
幅広い業種に関心がある理由と、監査業務との接点を明確にすることで説得力が高まります。原体験と志望動機を結びつけて書くことがポイントです。

監査法人の志望動機の注意点

監査法人への志望動機を書くときは、内容の深さだけでなく、採用担当者に「本気度」や「理解の深さ」が伝わるかも大切です。

伝え方を誤ると、評価を下げてしまう場合もあるため、避けるべきポイントを押さえておきましょう。

1. 待遇を軸にした志望動機は避ける
2. 監査法人以外にも当てはまる志望理由は避ける
3. 自己成長を中心とした志望理由は避ける

① 待遇を軸にした志望動機は避ける

監査法人の待遇が比較的良いことは事実ですが、それだけを理由にするのはおすすめできません。なぜなら、待遇を軸にした動機は「長く働いてもらえなさそう」と思われる可能性があるからです。

たとえば、「安定しているから」「給与が高いから」という理由は、他の業界でも言えてしまいます。そのため、自分の経験や考え方と業務内容がどのようにつながるのかを具体的に伝えることが重要です。

待遇の良さはあくまで結果であり、主な理由にはふさわしくありません。動機として語るなら、自分がどう関わりたいかに焦点を当てるようにしてください。

② 監査法人以外にも当てはまる志望理由は避ける

「人の役に立ちたい」「社会に貢献したい」といった動機は前向きに聞こえますが、業界を問わず通用してしまうため、説得力に欠けます。

なぜ監査法人でなければいけないのか、そこが明確でなければ意味がありません。

自分の性格やスキルと監査業務との接点を見つけてください。たとえば、数字への関心が強く、細かい確認作業が得意というような特性は、監査法人に適していると言えるでしょう。

動機に個性や具体性があると、企業に「きちんと考えているな」と感じてもらいやすくなります。

③ 自己成長を中心とした志望理由は避ける

「成長したいから」という動機は悪くありませんが、それだけを前面に出すと、自己中心的に見えてしまうことがあります。

企業は「どんな貢献をしてくれるか」に注目しているため、成長を理由にするだけでは物足りません。

たとえば、「スキルを伸ばしたい」だけの志望動機よりも、「監査のスキルを伸ばして、企業の信頼性向上に貢献したい」まで伝えると、前向きな印象を与えるでしょう。

自己成長は目標にしてかまいませんが、それをどう会社に還元できるのかまで考えることが大切です。

BIG4監査法人の特徴

BIG4と呼ばれる4つの監査法人は、いずれも国際的なネットワークと高い専門性を有し、国内外のさまざまな企業に対して幅広い監査業務を提供しています。

しかし、法人ごとに文化や強み、育成制度、業務領域の特色は異なるため、就職先を検討するうえで押さえておきたい、それぞれの特徴を詳しく紹介します。

1. EY新日本有限責任監査法人
2. 有限責任監査法人トーマツ（Deloitte）
3. 有限責任あずさ監査法人（KPMG）
4. PwC Japan有限責任監査法人

① EY新日本有限責任監査法人

EY新日本有限責任監査法人は、「より良い社会の構築を支える」というビジョンのもと、業務にテクノロジーと人間性の両面から革新を取り入れている点が大きな特徴です。

特にAIやデータアナリティクスの活用が進んでおり、監査業務の効率化と質の向上を実現しています。

また、若手でも手を挙げれば挑戦のチャンスが得られる環境が整っており、多様な業界や規模のクライアントに携わることで、短期間で幅広い経験を積むことができます。

社内にはダイバーシティを重視する風土が根づいており、自分の価値観を尊重されながらキャリア形成ができる点も魅力でしょう。

② 有限責任監査法人トーマツ（Deloitte）

有限責任監査法人トーマツは、日本最大級の規模と実績を誇り、業種別の専門チームによる対応力が強みです。

たとえば、金融、製造、エネルギー、医療など業界ごとの知見を深く蓄積しており、その専門性をもとに高品質な監査サービスを提供しています。実務で専門性を活かしたい学生には特に魅力的な環境でしょう。

キャリア支援制度も充実しており、入社数年後の海外研修や社内異動制度などを活用することで、個々の志向やスキルに合わせた柔軟なキャリア設計が可能です。

③ 有限責任あずさ監査法人（KPMG）

有限責任あずさ監査法人は、KPMGインターナショナルの一員として、国際業務に強みを持つ監査法人です。グローバル企業との連携が日常的にあり、特にIFRS（国際会計基準）への対応力には定評があります。

海外とのやり取りや英文会計に関心がある学生にとっては、実力を発揮できるチャンスに恵まれた職場と言えるでしょう。

また、社風としては落ち着いた雰囲気があり、穏やかで誠実な人が多く在籍しています。新入社員に対するOJTやフォロー体制も整っており、段階的に実務スキルを習得できる環境が用意されています。

さらに、ワークライフバランスを重視する傾向が強く、資格取得支援制度やリモートワークの導入など、働きやすさを重視した制度も充実しています。

安定した環境でじっくり成長したい人にとって、あずさ監査法人は魅力的な選択肢と言えるでしょう。

④ PwC Japan有限責任監査法人

PwC Japan有限責任監査法人は、監査業務にとどまらず、コンサルティングやリスクマネジメント、サステナビリティ分野まで幅広いサービスを展開している点が際立ちます。

グループ内にはさまざまな専門部門が存在し、クロスボーダーでの連携も活発です。そのため、監査だけでなく、将来的に他分野へキャリアの幅を広げたいと考える学生にとっても可能性のある環境といえます。

企業の経営課題に向き合う場面が多く、分析力や提案力を求められる場面も豊富です。また、柔軟な働き方を推進しており、リモートワーク制度やフレックス制度も積極的に導入されています。

女性の活躍推進にも力を入れており、性別やライフステージにかかわらず、自分らしいキャリアを築きやすい法人です。

監査法人の志望動機を納得感のある内容に仕上げよう！

監査法人を志望する際は、ただ興味を示すだけでなく、自分の経験や考えとどう結びついているのかを明確に伝える必要があります。

そのためには、まず監査法人とは何かを理解し、志望動機の書き方を押さえたうえで、事前準備を丁寧に行うことが重要です。

その上で、各法人の特徴や求められる人物像、自分自身の強みを照らし合わせながら志望理由を整理すれば、より具体的で説得力のある動機につながります。

しっかり準備をして、意欲の伝わる志望動機を作成して、自信を持って選考に臨めるようにしましょう。。