アニメ業界を目指すなら業界理解をしよう|職種・向いている人の特徴も紹介
アニメ業界を志望する学生は、業務内容や業界の将来性など気になる点が多いのではないでしょうか。この記事では、アニメ業界での仕事の種類、大手4社の概要、アニメ業界に向いている人について解説します。
ぜひ、これからの就活を考える参考にしてください。
アニメ業界の市場規模・ビジネスモデル
業界を知る上でまず大切なのは、市場規模とビジネスモデルを知ることです。ここでは、市場規模とビジネスモデルについて詳しく解説します。
- 市場の売り上げと規模
- ビジネスモデル
①市場の売り上げと規模
アニメ業界の市場規模は年々拡大しており、2021年には市場規模2兆7,422億円でこれまでの最高記録を更新しました。アニメ業界では特に配信分野が市場規模を拡大しています。配信分野は2017年から成長し続けており、業界内で最も注目されている分野です。
コロナ禍の影響で、2019年から2020年にかけては市場の売り上げは2兆5,145億円から2兆4,199億円へ下降気味ですが、コロナ後は市場規模も元に戻り、再び拡大しています。この流れは今後も続くと予想され、アニメ業界はさらに拡大するでしょう。
②ビジネスモデル
アニメ産業のビジネスモデルは、主に3つの企業が相互に連携して成り立っていますよ。まず、アニメを放送するテレビ局や映画を上映する映画会社が、アニメ制作会社に作品の制作を依頼します。
次に、アニメ制作会社は、BGMや音響効果、背景画などの専門的な作業を高い技術を持つスタジオに外注し、アニメの制作を進めます。
このビジネスモデルではスタジオはアニメ制作会社から、アニメ制作会社はテレビ局や映画会社から制作料を受け取っています。テレビ局はスポンサーからの広告収入を、映画会社は映画館のチケット販売から収益を得ているのです。
アニメ業界の職種6つを紹介
アニメ業界の仕事は他の仕事とはかなり異なりますが、アニメ業界にはどのような業種が存在しているのでしょうか。アニメ業界には主に以下の6つの職種があります。
- アニメーター
- 演出家
- 製作進行
- シリーズ構成
- 背景美術
- CGクリエーター
ここではこれらの業種について詳しく解説していきますね。
①アニメーター
アニメーターの仕事は「作画」です。作画では、アニメーションの基礎となるイラストを制作します。アニメーターの仕事は、動画の基本となる「原画」を描くことと、それらの原画を滑らかにつなげる「動画」の2つがあります。
新入社員は通常、「動画」の作業で基礎を磨き、徐々に「原画」の作業を任されるようになりますよ。
②演出家
演出家は「すべての工程に関わる」業種であり、アニメ制作において不可欠な存在です。
絵コンテの作成、アニメーター、美術、音響スタッフとの綿密な打ち合わせ、さらには声優のアフレコ時の演技指導に至るまで、演出家の業務範囲は広大であり、それに伴う責任も重大ですよ。
アニメの骨組みを構築するだけでなく、作品の世界観を作り完成度を高めるためにも、演出家の役割はとても大切です。
③制作進行
制作進行も、アニメ制作において中心的な役割を担っています。制作進行の仕事は、アニメ制作のスケジュールを管理し、必要な人員を配置することです。
そのため、納期を守るための厳密なスケジュール調整や、適切な人員の確保と管理も行います。さらに、制作進行は完成した原画の品質チェックを行う責任もあるのです。
また制作進行は、内部の仕事の調整だけでなく、クライアントとの重要な打ち合わせの日程調整も行います。このような外部とのコミュニケーションも、アニメ制作に欠かせません。制作進行もアニメ業界において不可欠な存在です。
④シリーズ構成
シリーズ構成は各エピソード間でストーリーの一貫性を保ち、シリーズ全体の物語の流れをスムーズにするために行われます。シリーズ構成は主に脚本家が担当しますよ。
通常、テレビアニメのシリーズでは、異なる脚本家が各エピソードを手掛けるため、全エピソードを一人の脚本家が執筆することはほとんどありません。
シリーズ構成担当者は、全エピソードを通じた物語の大筋を設計し、各話の脚本が他のエピソードとズレないようにします。また、シリーズ構成を務める脚本家が、自ら数話の脚本も手掛けることがありますよ。
⑤背景美術
アニメーションにおける背景技術は、作品の世界観を形作るためにとても大切です。この仕事では、作品のイメージを保ちつつ、精度の高い背景を書く必要があります。デッサン力や構成力はもちろん、色彩に対する洗練された感覚も必要とされますよ。
直接キャラクターを描くわけではありませんが、キャラクターたちの生きる世界を描くのはとても重要な仕事です。アニメの物語に深みと広がりを与える仕事はとてもやりがいがあるでしょう。
⑥3DCGクリエイター
現代のアニメ業界では、伝統的な手描きアニメーションに加えて、コンピュータ生成(CG)アニメーションも一般的になっていますよ。
特に3DCGクリエイターは、CGアニメーションの中でも立体的な3Dアニメーションの制作に特化しており、CGオブジェクトやキャラクターにリアルな動きを与えます。技術の進化と共に、この分野の専門家への需要は今後も確実に増加していくでしょう。
アニメ業界の大手4社を紹介
アニメ業界には主に4社の大手企業があります。
- 東宝株式会社
- 東映株式会社
- 松竹株式会社
- 東映アニメーション株式会社
これらの4つの企業について以下で詳しく解説していきます。
①東宝株式会社
東宝株式会社は、1932年に設立されたエンタテインメント作品を制作する会社です。「健全な娯楽を広く大衆に提供すること」をモットーにし、映画事業、演劇事業、不動産事業を3つの柱にして活動しています。さらに、アニメ事業を4つ目の柱として据えており、今後はアニメ事業にさらに力を入れていくでしょう。
東宝はエンタテインメント事業に力を入れている企業です。国内に多数の映画館を構えており、作品を制作するだけでなく、鑑賞する場も多く作り出しています。
②東映株式会社
東映株式会社は、1951年に映画の制作、映画輸出入、各種興業を追加して新発足した企業です。アニメ事業は基本的に子会社である「東映アニメーション」が担当しており、東映株式会社は映画やテレビ番組の作成にとても力を入れています。
さらに、イベントや興行事業も幅広く展開しているため、「アニメに興味があるけれど、他の事業も捨てがたい」と考えている方にもおすすめですよ。
③松竹株式会社
松竹株式会社は、1895年に創業された企業で、当初は演劇の興行会社として設立されましたが、現在は映画事業にも力を入れています。
同社は歌舞伎をはじめとする演劇事業にも力を入れていますが、近年ではアニメ作品も多く手がけていますよ。ヒット作品としては「アイドルマスター」や「魔法使いの嫁」などがあります。
アニメはもちろんのこと、映像作品に関わる職業を目指す人なら一度は憧れる大手企業です。
④東映アニメーション株式会社
東映アニメーション株式会社は、1948年に「日本動画株式会社」として設立され、その後東映株式会社に買収されました。
1957年からアニメ作品を手がけており、数ある企業の中でも長年アニメ事業に力を入れてきた企業です。
アニメや映画はもちろん、キャラクターショーなどのイベントも開催しており、イベント・プロモーションの実績は業界でもトップのシェアを誇ります。
さらに、学校教育や交通安全などの教育映画の作成にも力を入れており、教育系の事業にも興味がある方には特におすすめの企業です。
アニメ業界に向いている特徴5つを紹介
アニメ業界で働くのは大変とよく言われていますが、アニメ業界で働くのに向いているのはどんな人なのでしょう。ここでは、アニメ業界に向いている人の特徴を5つのポイントに絞って解説していきます。
- アニメ制作への熱意がある人
- コミュニケーション力が高い人
- 忍耐力を備えた人
- アニメに関するスキルを持っている人
- 期限を守れる人
①アニメ制作への熱意がある人
アニメ制作は、熱意がある人に向いています。納期が迫るプロジェクトでは、精神的、体力的にハードな仕事が多く、情熱がなければ乗り越えることはできません。
長くアニメ業界で働いている人は、単に「お金を稼ぐ」以上に仕事にやりがいを感じています。アニメを通じて伝えたいメッセージがある、達成したい目標があるという高いモチベーションを持つ人々は、アニメ制作の現場で非常に重宝されます
②コミュニケーション力が高い人
アニメ業界で働くには、コミュニケーション能力が不可欠です。アニメ制作はチームワークが中心であり、上手くコミュニケーションが取れないとプロジェクトが円滑に進みません。
アニメーションでは、様々な専門技術を持った人が協力して一つの作品を作りあげます。そのため、それぞれのアイデアやビジョンを明確に伝え合うことが大切です。相手の提案を正確に理解し、自分の考えを分かりやすく伝えることが、円滑なプロジェクト進行には欠かせません。
コミュニケーション能力がある人といっても、単に話好きなだけではアニメ業界には向いてないでしょう。意見を言い合い、建設的に話し合える人が、アニメ業界で求められています。
③忍耐力を備えた人
アニメ業界で活躍するためには、忍耐力も必要でしょう。アニメーターの仕事は、一枚一枚の絵を手で描くという、非常に細かく地道な作業です。他の職種でも、細部にまで注意を払い、一つ一つの作業を丁寧にこなしていく必要があるでしょう。
また、アニメ業界では、人手不足が深刻で、アニメーターは雑用を行うことも多くあります。忍耐力がなければ、この仕事には向きません。
しかし、自分の希望する仕事だけではなく、アニメ制作のためにはどんな仕事も重要だと考え、忍耐強く取り組むことができる人なら、アニメ業界でも長く働けます。
④アニメに関するスキルを持っている人
アニメ業界では、様々な職種が存在し、それぞれに専門スキルが必要です。イラストレーションの技術を美術系の大学や専門学校で磨いた人々は、アニメーターや背景美術家として働けます。また、3DCGやCGの知識を持つ人々は、3DCGクリエイターとして働けるでしょう。
アニメ業界への就職について、新卒である必要はありません。異なる分野での経験も大切です。例えば、テレビ局で脚本家としての経験を積んだ人は、アニメのシリーズ構成を手掛けるのに適しています。アニメ業界では様々なバックグラウンドを持つ人が働いています。
⑤期限を守れる人
アニメ制作は、他の企業や外部スタジオとの協力によって成り立っています。そのため、社内で全ての作業を行う他の業種と違い、スケジュールの狂いは許されません。
プロジェクトの進行を監督する制作進行担当者だけでなく、脚本家やアニメーターを含む各担当者も、自らの業務を期限内に責任を持って完成させる必要があります。アニメ制作においては、自分の業務をこなすだけでなく、全体のスケジュールを見据えた行動が大切です。
アニメ業界の今後の動向
せっかく憧れのアニメ業界に就職しても、業界が衰退したら意味がありません。アニメ業界の今後の動きはどうなっているのでしょうか。以下の2つのポイントに絞って解説します。
- 海外取引の増加
- アニメ広告の人気
①海外取引の増加
アニメ産業では海外取引が今後ますます重要になって行くでしょう。日本のアニメは国際的に高い評価を受けており、多くの外国人が「日本=アニメ」というイメージを持っています。
さらに、新型コロナウイルスの影響で、家で過ごす時間が増えたことから、アニメコンテンツへの需要は世界中で拡大しており、海外で人気のあるアニメ作品の著作権や商標権を含むライセンスビジネスは、日本のアニメの重要な収益源となっていますよ。
②アニメ広告の人気
一昔前はアニメに対して「オタク文化」といった偏見も多く、アニメが広告で起用されることは少なかったです。
しかし、世界に誇る日本のアニメ文化は国内でも高い評価を受けており、広告にアニメを起用する企業も増えています。例えば「鬼滅の刃」は、コンビニでコラボ商品を目にしないことの方が少ないほどの人気作品です。アニメ広告はこれからも増えていき、業界を支える鍵となるでしょう。
アニメ業界を目指すなら業界理解を大切に!
今回はアニメ業界について、職種や適性についての情報をお届けしました。
どの分野でも共通して言えることですが、アニメ業界での就職を目指す際には、特に業界について深く理解することが重要です。ぜひ、この記事を業界研究にも役立ててください。
まずは志望動機を作ってみる
この記事を書いた人
編集部
「就活に苦しむ学生を減らしたい」をモットーに、志望動機やES、面接対策など、多種多様な就活の困りごとを解決するための記事を日々発信。700以上の記事で就活生の悩みに対処しつつ、就活の専門家であるキャリアアドバイザーの監修により、最後まで内定を狙える就活の方法を伝授し続けています。