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金融業界とは?仕事内容・向いている人・年収・将来性までまるごと解説

「金融業界って人気だけど、そもそもどんな業界なの?」と疑問に思っている就活生は多いのではないでしょうか。

一口に「金融業界の仕事」と言ってもその種類は多岐にわたり、選択する職種によって仕事内容は大きく異なります。

この記事では、具体的な職種や金融業界の基礎知識はもちろん、向いている人や求められる人材、将来性や就活でのポイントまで余すことなく紹介しています。

金融業界について知識を深めるための入門編として、ぜひ参考にしてみてください。

目次

就活時に知っておきたい金融業界の基礎知識

まずは、「そもそも金融業界とは」というところから解説していきましょう。

  1. 金融商品や貸付などでお金を融通する仕事
  2. 「間接金融」と「直接金融」
  3. 市場規模が大きく安定している
  4. 就活の難易度は高め

①金融商品や貸付などでお金を融通する仕事

そもそも「金融」とは、「資金に余裕のある人が、資金を必要としている人に対して融通する」ことを指す言葉です。

そして、金融業界とは、家の購入費用や事業資金の融資、事故にあった際の損害金の補填や資産運用のサポートなど、お金にまつわる様々な事業を行う企業を大きくまとめて表したもの

たとえば、代表的な金融機関である銀行は、「お金を預けるところ」であると同時に「預かったお金を貸し出す」機能も持ち、必要とする人に資金を融通しています。

②「間接金融」と「直接金融」

資金を必要とする者と融通する者の間で資金を循環させる仕組みには、「間接金融」と「直接金融」の2つのモデルがあります。

モデル間接金融直接金融
方法企業がお金を集めて必要な人に貸し出す資金に困った人が株式や債券を
発行して投資家に買ってもらう
特徴・リスクは企業が負う
・出資者は出資を目的としておらず
出資先も選択できない
・リスクは個人が負うが
第三者を挟まない分リターンも大きい
・自分で出資先や金額を決定できる
該当する
金融業種
銀行
預金者から預金として集めた資金を貸し出す
保険会社
集めた資金を会社の責任で運用して増やし
保険金や給付金が必要な人に支払う
証券会社
株式を発行した企業と
購入したい投資家を仲介する

間接金融では、出資者(預金者)は自分の預金が誰に貸し出されるのかわからない一方で、直接金融ではどの企業にいくら融資するか自分で決められます。

また直接金融では、間に第三者をはさまない分、返ってくる利益が増える可能性を期待できますが、利益を回収できない場合のリスクも出資者個人が負うことになるのが特徴です。

③市場規模が大きく安定している

金融業界は、からだで例えると血液と言われるほど、社会において重要な役割を果たしており、市場規模も大きく比較的安定しています。

とはいえ、2016年から続くマイナス金利政策や新型コロナ流行の影響により、銀行の業績が悪化傾向にあるのは事実です。

そんな中、Fintech分野ではLINEや楽天などの異業種も参入してきており、競争が活発化しています。Fintech(フィンテック)=金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語

AI化の波も受け、大きな変革期にある金融業界において、新たな成長産業を生み出している・今後成長の見込みがある企業を見極めるのが就活成功のカギとなるでしょう。

④就活の難易度は高め

令和5年度に内閣府が発表した調査によると、大学4年生時点の志望業界・就職予定企業の業界では通信業や製造業に次いで金融業・保険業が第3位にあがっています。
参考:内閣府「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査 調査結果報告書(2023年12月8日)【第九章 就職予定の企業の業界別の集計】」

しかし人気の一方で、金融企業ではAI化できる一般職の採用枠を減らしたり廃止したりしている企業が少なくありません。

以前は採用枠が多いと言われていた金融業界ですが、AI化やマイナス金利政策の煽りを受けて年々採用人数を絞っているのが現状です。

金融業界の動向|AIによって今後金融の仕事はなくなるのか

マイナス金利政策により利益は縮小し、AI化によって仕事がなくなることはないものの一部の業務はすでにAIに置き換えられ、金融業界は現在大きな変革期を迎えています。

そんななか、新たな売上拡大が狙えるのが海外やFintechの分野です。
Fintech(フィンテック)=金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語

これにより、ビジネス英語が扱える・ITスキルがある人の需要は高まると考えられますので、学生のうちに学んでおくと強みになります。

海外進出や新たな技術の導入に積極的に取り組んでいる企業は、今後も成長していくでしょう。

金融業界で働く3つの魅力

社会人として過ごす時間は学生までの20数年よりも遥かに長く、働く魅力やメリットを感じられる職業を選ぶのは大変重要なことです。

ここでは、就活生にとって魅力的な、金融業界で働くメリットを3つご紹介します。

  1. 収入・福利厚生が高水準
  2. 金融の専門知識が身に付く
  3. 社会への貢献度が高い

①収入・福利厚生が高水準

金融・保険業の平均給与は656万円と、他の業種に比べて収入が高いのが魅力です。

業種平均給与・手当平均賞与合計(平均給与)
金融業・保険業500万円156万円656万円
情報通信業511万円122万円632万円
製造業427万円106万円533万円
建設業451万円78万円529万円
全体平均386万円72万円458万円
1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与/大学4年生時点の志望業界・就職予定の業界から人気の業種を抜粋
参考:内閣府「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査(2023年12月8日)【第九章 就職予定の企業の業界別の集計】」国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査(令和5年9月)【業種別の平均給与】」より

さらに、企業によっては家賃補助が手厚い・きっちりと残業代が付くなど、待遇が良く福利厚生も充実している場合も。

特に法令順守という職業柄、土日祝日は休み・有給休暇はきっちり消化・育休や産休が取りやすいなど、休暇制度が整っているのも特徴でしょう。

②金融の専門知識が身に付く

金融業界では、誰もが扱う「お金」に関して専門的な知識を身に付けられます。

お金は人々の生活に密着しているもの。その知識が日々の生活を豊かにすることはもちろん、企業や独立を考えている方にとっても大いに役立ちます。

資格取得のサポートを行う会社は多く、学ぶ意欲がある方にとっては、とても良い環境と言えるでしょう。

③社会への貢献度が高い

金融業界は、社会に貢献していることを業務の中で直接感じられるのが魅力の1つ。

たとえば病気や事故の際のサポート、車や家の購入資金の貸付、ライフプランの提案など、金融業界では顧客の人生における大事な場面に深く関わる仕事をします。

また、融資や投資をしたビジネスが成長すれば、経済の発展に繋がる仕事をしたと感じられるでしょう。

このように、人々の生活とは切っても切れない関係にある金融業界では、様々な場面で大きなやりがいを感じられます。

金融業界にはどんな種類がある?選択できる業態や職種

ここからは、金融業界で選択できる具体的な業種について紹介していきます。

就職後のミスマッチを防ぐために、業務内容について理解しておいてくださいね。

以下を参考に、興味を持てる業種があるかチェックしてみましょう。

  1. 銀行
  2. 政府系金融機関
  3. 証券会社
  4. 資産運用会社
  5. 保険会社
  6. リース
  7. 不動産金融
  8. カード会社
  9. PEファンド
  10. ベンチャーキャピタル
  11. 消費者金融

①銀行

銀行は、近年では業績が悪化傾向にあるものの、人々の暮らしに大きくかかわっているため、需要がなくなることはまずありません。

AI化できる窓口業務などは、すでに採用が縮小されてきていますが、金融系エンジニアや海外で活躍できる人材の重要度は高まっています。

銀行で行う業務は、主に「預金業務」「貸付(融資)業務」「為替業務」の3つです。

業務業務内容
預金個人や企業から資金を預かり、管理する
預けられたお金に対して利子を支払う
(例:普通預金や定期預金)
貸付預金業務で預かったお金を、個人や企業に貸付・融資する
貸し付けた個人や企業から利子を受け取る
(例:企業の設備投資の貸付・住宅ローンなど)
為替顧客からの依頼で振り込みや送金を行う
輸出入企業や外国人顧客の国外への送金や外貨の取引も行う
振り込み・送金の手数料を得る
(例:電気・ガス・水道や電話料金などの公共料金の口座振替など)

預金に対して支払う利子と、貸付で得る利子との差額が主な収益で、これを「利ざや」と言います。

また、自らが投資・運用して得た利益や、資産運用商品の販売や不動産の仲介をして得る手数料も収益源となっています。

営業活動や融資資金回収のための経営サポートなどから学べることが多いのが魅力で、大きな金額を動かせるのが醍醐味です。

日本銀行(中央銀行)

日本銀行は、金融政策の運営や政府との取引に関する業務、景気の調整など、日本経済の安定化と発展においてとても重要な役割を担っています。

そのほか、紙幣の発行・税金の管理・異なる銀行間での振込/送金を円滑にするなどの役割も持ちます。

日本銀行の応募資格・条件には大学・短大・専門学校などを卒業していれば応募は可能、全国から広く採用するとの記載はありますが、やはり学歴は重視される傾向にあります。

日本経済の根幹を担う機関であり、人々の暮らしに広く貢献できる仕事ですが、それゆえに就活難易度は高いと言えるでしょう。

メガバンク

規模が大きく巨額の収益を持つのがメガバンクで、大企業や上場企業を多く顧客に持ちます。

明確な定義付けはないものの、一般的に三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行の大手3行を指す言葉として定着しています。

主な収益源はやはり利ざやですが、マイナス金利政策によって利ざやで収益を上げるのが難しくなっており、現在は海外展開やデジタルサービスの拡充に取り組み収益向上を目指すのがトレンドです。

地方銀行

メガバンクが大企業や上場企業を顧客に持つのに対して、地方の有力企業や中小企業、個人に対してサービスを提供するのが地方銀行です。

地方経済を支えたい、地元地域の経済の活性化に貢献したいといった方にとって、魅力的な選択肢の1つと言えます。

信用金庫・信用組合

信用金庫・信用組合は、地域に根差した中小企業や個人事業主などを会員に持つ共同組織です。

会員同士が助け合うことと、地域経済の発展を目的に運営されている非営利の金融機関で、企業の利益よりも会員・地域社会の利益が優先されます。

業務は銀行とほぼ同様ですが銀行ではなく、信用金庫は地方銀行よりもさらに地域密着型、信用組合は信用金庫よりもさらに小さく地域に根差して運営を行っています。

預かった資金は地域の発展のために活用し、営業地域内の企業の支援にも大手銀行に比べて柔軟に対応できるため、地域に貢献したいという思いが強い方はやりがいを持って働けるでしょう。

信託銀行

信託銀行は「投資信託商品を扱う銀行」と思われがちですがこれは誤りで、正確には顧客から預かった資産を管理・運用して手数料をもらう「信託業務」を行う銀行を指します。

通常の銀行業務に加え、信託業務、不動産の管理・運用・売買の仲介や、遺言の保管・執行なども行います。遺言や不動産のように、お金に限らず顧客の資産を預かるのが信託銀行の特徴です。

銀行業務預金・貸付・為替の3つの業務を指す
信託業務顧客から預かった資金や不動産などを管理・運用する
併営業務遺言・年金などの管理・運用、株式の売買や保険商品の販売などを行う
(例:遺言の保管・執行・作成のアドバイスや相続財産の調査、分配手続きなど)

資産運用に関して多様な経験を積め、幅広い知識を得られるでしょう。

ネット銀行

店舗を持たず、インターネット上でサービスを提供するのがネット銀行です。例えば、楽天銀行や住信SBIネット銀行、auじぶん銀行などが挙げられます。

ネット銀行は、既存のシステムを用いた銀行に比べて新しい技術を取り入れやすく、今後デジタルネイティブ世代に利用者数が増えることが見越せます。したがって、業績が悪化傾向にある銀行の中でも成長が期待できると言えるでしょう。

②政府系金融機関

政府系金融機関は、日本経済を発展させることを目的に国によって設立された銀行で、民間でカバーしきれない融資を補完する役割を担っています。

政策に基づく大規模なプロジェクトに関わったり、民間では対応できない専門性の高い分野に触れられるほか、企業によってはメガバンクにも勝る収入が得られるのが魅力です。

現在国によって指定されている政府金融機関は5つで、それぞれの目的・業務は以下の通りです。

名称主な業務内容
株式会社
日本政策金融公庫
(JFC)
「国民生活事業」「中小企業事業」「農林水産事業」を主として行い、地域経済の活性化や中小企業のグローバル化を支援する
例:事業資金融資、創業支援、海外展開支援、コンサルティングやビジネスマッチング、教育ローン等を担保する融資など
株式会社
国際協力銀行
(JBIC)
日本企業の国際競争力強化のための海外展開の支援などを主とし、持続可能な開発や環境保護も行う
例:日本企業の海外展開支援、国際インフラプロジェクトの融資、環境保全プロジェクトの支援、国際貿易金融など
沖縄振興開発
金融公庫
沖縄県の特色を生かした観光産業の振興や農林水産業の支援を重視し、地域の経済成長を促進させる役割を担う
例:中小企業向け融資、観光産業・農林水産業支援、インフラ整備資金提供、離島・過疎化地域の活性化支援など
株式会社
日本政策投資銀行
(DBJ)
国内外の大規模プロジェクトや企業の成長を支援するための長期資金の提供を主とし、環境保護やエネルギー効率改善など持続可能な開発にも注力
例:企業向け長期融資、インフラプロジェクト・環境・エネルギープロジェクト融資、地域開発支援、企業再生支援など
株式会社商工組合中央金庫
(商工中金)
地域経済活性化のため中小企業の経営を支援することを主とし、融資だけではなく預金の受け入れや債券の発行など幅広く業務を行う
例:中小企業への長期・短期融資、財務改善、事業再生、地域振興プロジェクトの資金提供、災害復興支援など

③証券会社

証券会社は、個人や企業に株式・債券・金融商品などを提供して顧客の利益を最大化するのが主な仕事です。

証券会社と言えば、営業のイメージが強くありますが、そのほかM&A(企業の合併・買収)などのアドバイスや仲介など幅広く業務を行っています。

リテール業務個人顧客向けに営業を行う、証券会社の中でも比重が大きい役職
多くの株式・債権・投資信託商品などから顧客にとって最適なものを提案し、資産の増やし方についてアドバイスする
ホールセール業務法人(大企業)向けに営業を行う
リテール営業よりもさらに大きな額を扱う
ファンドマネージャー個人や企業から集めた資金を運用し、利益を最大化する
経済や市場の動向を的確に分析する力が求められる
ディーラー証券会社の中で実際に株や債券の売買を担う
市場の動きを読み、より良いタイミングで売買を行う
アナリスト企業の業績や市場の動きを分析し、良い投資先を見極める業務を行う
顧客への提案は、アナリストが分析した情報を元に行われる
インベストメント・バンキングM&A(企業の合併・買収)や、企業が新しい株を発行するときのサポートを行う

証券会社は、投資家と投資家の間に立って売買の取次ぎを行い、その取引手数料を得ることで利益を得ています。

④資産運用会社

資産運用会社は顧客の資産を預かり、運用して資産を増やすのが仕事です。

先に紹介した証券会社は「顧客の利益を最大化するためのアドバイスやサポート、取り次ぎを行う」のが仕事で、資産運用会社は「顧客の資産を預かり運用して資産を増やす」ことに重点を置いています。

多くの金融商品の中から顧客に合ったものを提案する証券会社の営業とは異なり、資産運用会社の営業部門では自社のファンドを売り込む活動をします。

※ファンド=個人や企業から集めたお金をひとまとめの大きな資金として運用する商品

以下に、資産運用会社での業務についてまとめましたので参考にしてください。

営業部門自社が運営するファンドに投資してもらうため・販売会社に取り扱ってもらうための営業活動を行う
例:セミナーの開催など
運用部門集めた資金を実際に運用する部門で、ファンドマネージャー・ディーラー・アナリストのほか、ポートフォリオマネージャーやリサーチアナリストなどの役職がある

ポートフォリオマネージャー:リスク分散のため、どの資産に何%投資するかなどのバランスを考えてファンド全体を管理する

リサーチアナリスト:特定の業界や地域について調査・分析する
ミドル・バック部門ミドルオフィス:運用情報の開示やリスク管理を行い、取引が適切か確認する

バックオフィス:資金の流れや取引情報を会計システムに入力し、運用情報を管理する

⑤保険会社

保険会社には「生命保険」「損害保険」の大きく2種類があり、将来の不安やもしものリスクに備えるためのサービスを提供しています。

死亡や病気などの「人」に関わる損失を補償するのが生命保険、自動車事故や火事などで生じる「物」の損害を補償するのが損害保険。

顧客から得た保険料と支払う保険金の差額が主な収益となりますが、保険料の運用もして支払う保険金を用意したり、さらなる利益を得たりもしています。

保険にはほとんどの国民が加入しているため保有資産は莫大で、機関投資家としての一面を併せ持ちます。※機関投資家=顧客から得た資金を運用する法人の大口投資家。市場での発言力が大きく取引の規制において特例が適用される

生命保険

生命保険では、死亡保険や医療保険、介護保険やがん保険などの商品を企画・開発し販売しています。
※このうち医療保険・介護保険・がん保険などは「第三分野保険」と呼ばれ、生命保険会社(第一分野)と損害保険会社(第二分野)のどちらともで取り扱いが可能

生命保険会社での主な業務は以下の通りです。

営業個人・法人・代理店などに商品の提案・販売を行う
高いヒアリング能力やニーズに合わせて提案する力、わかりやすく説明する力が求められる
事務契約の承認や書類作成、アフターフォローなどを行う
商品開発社会での需要やトレンドなどを調査し、新しい商品の開発や既存商品の改良を行う
アクチュアリー医療や経済などの様々なデータを元に保険料や支払う保険金の額を適切に設定するほか、リスク管理を行って経営をサポートする
資産運用部門市場の動向などを分析して投資先を見極め運用する

保険会社ではFP(ファイナンシャルプランナー)としての知識が必要になるため、学生時代に学んでおく・あるいは取得しておくのもおすすめです。

損害保険

自動車保険や火災保険、地震保険や旅行保険などを企画・開発し販売するのが損害保険会社です。

営業や事務、アクチュアリーなどの職種は生命保険会社と同様ですが、損害保険会社では事故相手との交渉のサポートなども業務に含まれます。

事故・怪我・災害などで困難な状況に陥った人を支え、安心を提供する損害保険の仕事では、大きなやりがいを感じられるでしょう。

⑥リース

様々な「物」を購入し、それを貸し出すことで利益を得ているのがリース会社です。

たとえば「航空機」は様々な企業が集まって資金を調達・購入し、航空会社に貸し出しています。

その他にも「社用車」や飲食店で利用されている「コンロ」、「オフィス家具」など、リースのサービスは身近なところで広く活用されています。

サブスクリプションが浸透してきたこともあり、今後の成長が見込める業種と言えるでしょう。

⑦不動産金融

不動産金融は不動産と金融の分野を融合した業界で、土地や建物を担保に融資を行ったり、不動産を証券化・運用して資金を調達したりします。

不動産を所有して貸し出すことで得られる家賃(キャピタルゲイン)や、購入時よりも高く売却して得られる売買の差額(インカムゲイン)などが不動産金融の主な収益源です。

現在では「不動産投資信託証券(REIT/リート)」が登場したことや海外不動産が活発化していることもあり、今後市場規模の拡大が期待できるでしょう。

経験者が採用されやすい傾向にあるため、転職向けの業種とも言えます。

アクイジョン投資対象となる物件の情報収集・分析・評価・契約書の作成や契約の締結などを行う
アレンジャー不動産を証券化する際、不動産の保有者と投資者の間に立って調整を行う
双方の利害を調整するため、法務・税務の知識や高いコミュニケーション能力が求められる
アセットマネージャー投資した不動産の管理・運用を行うため、資産運用や経理の知識が求められる
投資したマンションをリノベーションして資産価値を上げるなどの戦略を考える
機関投資家ノンリコースローンや出資先を開拓するなどして資金調達を行う
※ノンリコースローン=資産を所有することで生じる収益のみをもとに行われる融資。返済が不能となっても不動産を強制的に取り上げられることはない
投資アナリスト不動産の市場価値や動向を調査・分析し、投資先を決定するための情報を集める

⑧カード会社

クレジットカードやデビットカードなど、現金に代わって支払いができるカードを提供するのがカード会社です。

現在キャッシュレス化が進んでおり、注目が高まると予想されますが、昨今は電子マネーが広がりを見せており、その存在はカード会社にとって脅威となっています。

とはいえ、やはりキャッシュレス決済市場は成長が見込まれる分野。今後は事業を新しく展開していくことが予想され、業界の新しい形を作れる面白さややりがいが期待できるでしょう。

クレジットカード会社

クレジットカード会社は、カードの利用者から会員費や分割払いなどの手数料を、クレジットカード決済を導入している加盟店からは決済ごとに手数料を得ています。

主な職種は以下の通りです。

営業加盟店を増やすための営業を行う
プロモーションクレジットカードのキャンペーンなどを宣伝し、利用者を増やすための活動を行う
カスタマーサービス利用者からの問い合わせやクレームなどに対応する
与信管理カードを発行できるかの判断・利用限度額の決定・支払いが問題なく行われているかのチェックなどをする
商品開発他社との差別化を図るための調査や分析をし、キャンペーンの企画やカードに関連する便利なアプリの考案などを行う
システム開発より便利に利用できるシステムや不正利用を感知するシステムなどを開発・運用する
ITエンジニアのスキルが求められる

信販会社

信販会社では、「返済能力がある」と判断できる相手のローンを引き受けたり、商品代金の立て替えなど行って手数料で利益を得ています。

私たちがクレジットカード・分割払い・ローンを利用して商品を購入できるのは、信販会社が支払いを立て替えてくれているからです。

業務内容は営業・システム運用・与信管理・回収業務などでクレジットカード会社と似ており、クレジットカード会社や銀行が信販業務を行っていることも。

キャッシュレス化が進み、大幅な収益のアップが狙えることから、現在信販業界ではメガバンクを中心とした再編が続いており、今後も成長が期待できる分野です。

⑨PEファンド

PEファンドは、株式市場に上場していない「未公開企業」に投資し、企業の価値が高まったところで売却して利益を得ています。

資金を提供する代わりに投資先企業の経営権を得られることが多く、様々な会社の経営に積極的に関われるのが魅力です。

ただし、PEファンドはあくまでも「ファンドを運用して売却益を得る」ことが目的で、投資先企業の価値向上を図る施策やサポートについては外注する企業もあります。※ファンド=個人や企業から集めたお金をひとまとめの大きな資金として運用する商品

1つのファンドの運用期間は5年~10年と長いため、忍耐力があって粘り強く、長期で働ける人が向いていると言えるでしょう。

⑩ベンチャーキャピタル

ある程度成熟した未公開企業に投資をするPEファンドに対し、ベンチャーキャピタルではスタートアップ企業に資金提供をして成長をサポートします。

ベンチャーキャピタルは投資した企業がIPO(新規株式公開)する、もしくはある程度企業が成熟したところでPEファンドに売却することで利益を得ています。

多くのスタートアップ企業の成長を応援できる面白さのある仕事ではありますが、残念ながら新卒採用を行う企業は多くありません。

⑪消費者金融

消費者金融は、個人向けに短期的な小口の貸付を行い、利息や手数料で利益を得ています。

消費者金というと悪いイメージを持つ方もいるかもしれませんが、近年では銀行グループの傘下に入る消費者金融も多く、金融庁からも認可を受け運営を行うクリーンな業界です。

主な業務には、利用を促す営業・返済の回収・新しいサービスの企画・システム管理など。近年では、アプリでの借入も可能になるなど利便性に優れたサービスを提供しており、今後もさらなる成長が見込めるでしょう。

金融業界で求められるスキル

ここからは、金融業界で求められるスキルについてご紹介します。

  1. 一般的な金融知識
  2. 誠実さや倫理観
  3. 営業力や交渉力
  4. 課題解決力
  5. 向上心
  6. ITスキル

金融業界を受けようと思っている方は、以下のようなスキルを身に着けておくと、就活時に役立つでしょう。

①一般的な金融知識

金融業界を志望するのであれば、金融市場の仕組みや経済の基本について学んでおくことが重要です。

金融系企業に就職すると、FP(ファイナンシャルプランナー)や日商簿記などの資格は必ず取得することになるため、学生時代に挑戦しておくのも良いでしょう。

また、就活生が企業研究でも行うことのある財務分析は、企業の現状や問題点を把握するのに有効で就職後にも大変役立ちます。

普段から金融・経済に関するニュースをチェックしておくのが重要なことはもちろん、資格について勉強することは「志望の本気度」を示すのにも効果的ですので、取り組んでおいて損はありません。

②誠実さや倫理観

顧客の資産を扱うことを仕事とする、金融業界では、顧客との信頼関係を築くことがとても重要です。

顧客の信頼を得るためには、もちろん誠実な対応が求められます。不誠実な対応や倫理観に欠ける行動は、信頼を得られないばかりか会社の評判をも落とすことに繋がり、厳しく処罰されます。

金融業界でキャリアを長続きさせるためには、誠実であることや高い倫理観を持っていることが重要だと言えるでしょう。

③営業力や交渉力

金融業界では、顧客のニーズに対して最適な提案をする営業力や、利害が一致していない相手とも折り合いを付けられる交渉力が求められます。

営業力や交渉力は、顧客と接する機会がない部署でも、他部署との連携などの場面で必要となるスキルです。

顧客や取引先、社内において良好な関係を築くため、また成果を上げるために必要な力ですので、接客のアルバイトをしたりインターンシップに参加するなどしてスキルを磨いておくと良いでしょう。

④課題解決力

金融業界では、顧客が持つ課題に対して効果的な解決策を提案する力が必要です。

例えば、経営難に陥っている企業の立て直しに携わる場合、ただ資金を援助するだけでなく根本的な原因を探し出して解決策を提案するのが仕事です。

また、現在はAI化の流れの中で金融企業自体も課題を抱えています。金融業界で活躍するためには、思考力が必要

生活の中にある小さな課題の解決に日々取り組んだり、様々な意見を持つ人たちとのディスカッションに参加するなど、鍛えておくと良いでしょう。

⑤向上心

金融業界では、常に学び続ける意欲が求められます。

仮想通貨の登場やAI化の流れにより、現在金融業界は大きな変革期にあります。また、金融政策や法律の改変等に伴って商品やトレンドが目まぐるしく変化するのが金融業界の特徴です。

常に新しい情報をキャッチし、向上心を持って取り組める人は企業にとって魅力的だと言えるでしょう。

⑥ITスキル

近年、金融にAI技術を活用するFintechの動きが加速しています。
Fintech(フィンテック)=金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語

これによって一部の業務は縮小され人員が削減されているものの、ITスキルのある人材の需要は高まっています。

オンラインシステムやデータ分析など、これからの金融業界では高いITリテラシーが間違いなく必要になるでしょう。

金融業界に向いているのはどんな人?

ここからは、金融業界に向いている人の特徴を紹介します。

どのような人が向いているのかをしっかりと理解し、自分に適性があるのか見極めることで就職後のミスマッチを防げます。

以下の特徴に自分が当てはまるか、しっかりと自己分析して考えてみましょう。

  1. コミュニケーション能力が高い
  2. 分析力が高く論理的思考ができる
  3. 忍耐力がある
  4. 異動・転勤にポジティブに対応できる

①コミュニケーション能力が高い

先述の通り、金融業界では顧客のニーズを引き出すために高いコミュニケーションスキルが求められます。

また顧客だけではなく、プロジェクトを推し進める際には仲間たちと円滑なコミュニケーションがとれるかが成功のカギを握ります。

相手の話をしっかりと聞いて話の本質が捉えられる人、またそれに対して適切な答えをわかりやすく言える人や、場の空気をうまく作れる人は金融業界に向いていると言えるでしょう。

②分析力が高く論理的思考ができる

分析力が高い人、論理的思考が身に付いている人は、金融業界に向いていると言えます。

融資額を決定する際も、株価や金利について説明する際も、「なぜその額なのか」という根拠を説明する力が必要です。

企業の経営状況や市場のトレンドなどを多角的に分析できなければ、これらの数字の根拠を明確に示せません。

課題を多角的に分析できる人や、最も効果的な解決策を論理的思考で導き出せる人は、金融業界で活躍できるでしょう。

③忍耐力がある

金融業界は比較的ハードであることが多いため、忍耐力がない方は向いていません。

金融業界では億単位のお金を動かすことも多く、金額の大きさの分その責任やプレッシャーも大きなものになります。

さらに営業職ではノルマが課せられることが多かったり、企業や職種によっては仕事が早朝から深夜にまで及ぶこともあります。こうしたハードワークに粘り強く耐えられる忍耐力があることが、金融業界で活躍するために重要な要素です。

④異動・転勤にポジティブに対応できる

金融業界は異動や転勤が非常に多いという特徴があるため、「転勤したくない」「同じ部署で長く働きたい」という方にはおすすめしません。

異動や転勤が多いのは、多くの部署を経験させて将来的に上に立つ人材を育てることや、顧客との癒着を防いで不正を防止することが目的です。

また、部署が変われば業務内容もガラッと変わるのも金融業界の特徴です。こうした変化にストレスを感じにくくポジティブに対応できる人は、金融業界に向いていると言えます。

金融業界についてよくある質問

最後に、金融業界について就活時に疑問を持ちがちなことをまとめました

  1. 働き方に男女差はありますか?
  2. 金融の業界研究におすすめの本や業界紙(業界誌)はありますか?
  3. 業界地図を無料で見れる方法はありますか?
  4. 年収ランキング上位の金融企業はどこですか?
  5. 就活のときに業界用語を知っておく必要はありますか?
  6. 評価されやすい志望理由が知りたいです。

以下を参考に疑問を解消し、業界への知識を深めて就活に取り組みましょう。

①働き方に男女差はありますか?

金融業界は他業種に比べて女性管理職が多い一方で、現状は給与の男女格差が残っていると言えます。

働き方や給与の差は、就職時のコース選択の際、給与が高く異動なども頻繁に行われる「総合職」よりも、転勤などのない「一般職」を選ぶ女性が多いことから生じるものです。

男性と同等の活躍を望む女性は、就活時のコース選択が重要であると言えるでしょう。

②金融の業界研究におすすめの本や業界紙(業界誌)はありますか?

「図解即戦力」シリーズは、レビューの評価も高く入門編としておすすめです。

金融業界の仕組みについて理解したら、各企業の基本情報や順位・業績・提携関係などを知れる「業界地図」を見てみましょう。

また、本を選ぶ際は著者の主観によるバイアスのかかっていない、「根拠のあるデータを客観的に示した本」「掲載されている情報に信頼性がある本」を選ぶことが重要です。自身で情報を読み解く練習をしておくと、入社後にも役立つでしょう。

③業界地図を無料で見れる方法はありますか?

業界地図には、インターネット上で無料で公開しているものもあります。

また、会社四季報の業界地図は、デジタル版の一部を無料で閲覧できる体験版を用意しています。この「業界地図デジタル」では最新の業界・企業ニュースも確認でき、就職後にも有効活用できるでしょう。

料金はかかりますが、登録しておいて損はありませんよ。

④年収ランキング上位の金融企業はどこですか?

平均年収が高いのは、外資系金融企業です。

外資系金融企業を除いては三菱UFJ銀行などのメガバンク、それに並んで日本政策金融公庫などの政府系金融機関の年収が高くなっています。

⑤就活のときに業界用語を知っておく必要はありますか?

「直接金融」や「間接金融」、そのほか「債権」「株式」「金利」といった基礎的な用語は知っておく必要があるでしょう。

そもそも、これらの基礎的な専門用語を知らなければ業界について深く理解できません。企業研究をする中でよく目にする用語については、最低限学んでおきましょう。

より深い領域の業界用語については、就職後自然と身に付くはずです。

⑥評価されやすい志望理由が知りたいです。

当記事で紹介した「求められるスキル」「向いている人の特徴」を参考に、自身に当てはまるものをアピールしましょう。

また、どの業種にも当てはまるような理由よりも「なぜ金融業界なのか」、さらに金融業界の中でも「なぜこの企業なのか」を言えるようにしておくのがおすすめです。

例えば、インターンシップに参加して実際に社員に話を聞き、このような部分に魅力を感じたなどのエピソードを盛り込めると効果的です。

金融業界への理解を深めて就活に備えよう

大きな変革期を迎えている現在の金融業界には新たな挑戦ができるチャンスが溢れており、そうした環境で経験を積み成長したい就活生にとって魅力的な就職先と言えるでしょう。

しかし、金融業界は就活生からの人気が高く倍率も高いことに加え、近年では採用枠が減少しており就活の難易度は上がっています。

金融業界で活躍するためには、コミュニケーション能力や論理的思考力が求められますが、これらのスキルは磨き鍛えられます。

本記事を読んで興味がわいた仕事があれば、ぜひさらに詳しく研究して理解を深め、学生のうちからできることに取り組み、就活に備えましょう

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    編集部

    この記事を書いた人

    編集部

    「就活に苦しむ学生を減らしたい」をモットーに、志望動機やES、面接対策など、多種多様な就活の困りごとを解決するための記事を日々発信。700以上の記事で就活生の悩みに対処しつつ、就活の専門家であるキャリアアドバイザーの監修により、最後まで内定を狙える就活の方法を伝授し続けています。