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介護業界の今後はどうなる?介護職に将来性がないなんてウソ

「介護業界に将来性はあるのかな?」そのように悩んでいるのではないでしょうか?

日本は超高齢社会に突入しており、今後ますます介護の重要性が高まっていきます。とはいえ、人手不足や離職率の高さなどの課題もあり、自身のキャリアや業界の将来に対して不安を感じるのも無理はありません。

この記事では、介護業界の現状と将来性、給与アップの方法や就職・転職先としての魅力まで、幅広く解説します。

今後のキャリアを考える上で、介護業界という選択肢を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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介護業界は今後も市場規模が大きくなる

日本の介護業界は以下の要因で、今後ますます市場規模を拡大させていくことが予想されます。

  1. 介護職の2025年問題
  2. 要介護者が増えている
  3. 核家族化の影響

①介護職の2025年問題

2025年には団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となり、介護サービスを必要とする人が急増すると言われています。

市場の拡大が予想される一方で、介護の現場を支える労働力は減少が加速すると予測されており、介護職の人手不足はより深刻な状況を迎えるでしょう。

この需要と供給のアンバランスこそが「介護職の2025年問題」です。介護サービスの質の維持にも関わるため、業界全体での対応が急務となっています。

②要介護者が増えている

75歳以上の後期高齢者の増加は、そのまま要介護者の増加に直結します。年齢が上がるにつれて身体機能が低下し、何らかの介護や支援が必要となる可能性が高まるからです。

また、近年は認知症の高齢者数も増加しており、特別なケアや専門的対応が求められる場面も増えています。

結果として、訪問介護や施設介護といった介護サービスの利用拡大につながり、業界全体の市場を押し上げるでしょう。

③核家族化の影響

核家族化や単身高齢者の増加も見逃せない要因です。かつては親の介護を家族が担うことが一般的でしたが、都市部への若年層の集中により、高齢者が一人暮らしをしているケースが増えています。

単身高齢者は、支援が必要になった場合に頼れる家族が身近にいないため、外部の介護サービスを利用せざるを得ません。核家族化も介護需要を大きく押し上げるのです。

これらの要因によって、日本の介護業界は今後も市場規模を拡大していくことが確実視されています。

介護業界の今後の課題

介護業界は、高齢化の進展に伴い需要が拡大する一方で、多くの課題を抱えています

  1. 深刻化する人手不足
  2. 老老介護や認認介護の問題
  3. ヤングケアラーの問題
  4. 高齢者人口がピークを迎える2040年問題

これらの課題に適切に対応していくことが、今後の介護業界に求められていますよ。

①深刻化する人手不足

介護業界最大の課題は人手不足と言われており、2025年には団塊の世代が75歳を超えることで介護需要が急増しますが、それに対応するだけの人材が確保できていないのが現状です。

厚生労働省によると、2022年度の介護職員数は約215万人ですが、2026年度には職員の必要数が約240万人になると言われています。

2040年度には必要数が約272万人に増える見込みで、現状のままだと介護職員が不足してしまうと予想されているのです。

人手不足は、既存の介護職員一人当たりの負担増加につながり、サービスの質の低下を招きかねません。そのため、介護職員の人材確保が急務となっています。

参照:厚生労働省

②老老介護や認認介護の問題

高齢化が進むにつれて、高齢者が高齢者を介護する老老介護や、認知症の人が認知症の人を介護する認認介護といった問題が深刻化しています。

体力や判断力が不安定な中での介護は共倒れを招きやすく、事故に発展するリスクも高まってしまうのです。

現状では十分な支援体制が整っているとはいえないため、地域包括支援センターや訪問介護の役割がますます重要になるでしょう。

③ヤングケアラーの問題

本来は勉強や部活動に専念すべき子どもたちが、家族の介護を担わざるを得ないヤングケアラーも、見過ごせない社会問題です。

ヤングケアラーは、進学・就職・人間関係などに深刻な影響を与えています。疲労や孤立感から精神的な負担を抱え込んだり、進路選択の機会を失ったりするケースが少なくありません。

介護業界だけでなく、教育機関や福祉機関、地域社会全体で連携し、ヤングケアラーが適切な支援を受けられる体制を構築する必要があります。

④高齢者人口がピークを迎える2040年問題

日本の高齢者人口は、2040年頃にピークを迎えると予測されており、介護サービスの需要がさらに増大するでしょう。

また、2040年には現役世代の人口が大幅に減少し、社会保障制度の維持もより困難になるため、介護サービスの提供体制をどのように維持していくのか、抜本的な対策が急務となっています。

テクノロジーの活用による業務効率化、介護職の処遇改善による人材確保、地域包括ケアシステムのさらなる推進など、多角的な視点からの取り組みが必要です。

介護施設が潰れる理由

介護サービスの需要は年々高まっているにもかかわらず、経営が立ち行かず、閉鎖に追い込まれる施設が後を絶ちません

介護施設が潰れてしまう主な理由を6つ解説します。

  1. 人員不足
  2. 設備の不足や老朽化
  3. 物価高騰
  4. 利益が出にくい
  5. 競合の増加
  6. 介護職員等処遇改善加算が未申請

①人員不足

もっとも深刻な問題は人員不足です。介護施設は、法律によって定められた人員配置基準を満たさなければなりせん。

しかし、慢性的な人手不足により、必要な人員を確保できない施設が増えています。

人員が足りないと当然、サービスの質が低下し、入居者の満足度低下や評判が悪化します。その結果、職員の負担増加とともに離職も増加し、悪循環に陥ってしまうのです

結果として経営難に陥り、施設を閉鎖せざるを得ないというケースが少なくありません。

②設備の不足や老朽化

適切な介護サービスを提供するためには、十分な設備と安全な施設環境が不可欠です。しかし、設立から時間が経過し、設備の老朽化が進んでいる施設は少なくありません。

必要な設備が不足している場合、サービスの質が低下し、入居者のニーズに応えられなくなったり、建物や設備が老朽化すると、修繕費用がかさんで経営を圧迫したりします。

結果的に、必要な設備の導入や修繕ができない施設は、運営の継続が困難になるのです。

③物価高騰

近年の物価高騰も、介護施設経営に大きな打撃を与えています。食材費・光熱費・衛生用品など、日常的に必要な物品のコストが上昇しており、経費はかさむ一方です。

余裕のない中小事業者では、支出が増えると収支のバランスが崩れやすくなり、致命的な赤字に直結します。

物価高騰は、介護報酬だけでは吸収しきれない場合が多く、経営を圧迫する要因となるのです。

④利益が出にくい

介護報酬は自由に価格設定ができず、国が定めた介護報酬の範囲内で運営する必要があります

また、介護報酬は数年に一度の改定で厳しく調整されるため、大きな利益を出すのが難しい構造になっているのです。

介護施設は、人件費が高くつく一方で利益率が低いため、利用者が多かったとしても利益が出にくいのが現状です

⑤競合の増加

需要の高まりを受けて、介護業界への新規参入が増加しています。介護事業への参入障壁は比較的低いため、他業種からの参入が増えているのです。

同一エリアに複数の施設が存在している場合もあり、利用者や人材の獲得競争が激化しています。

特に小規模事業者は、限られた資源の中で競争にさらされることが大きな負担となり、競合に押されて閉鎖に至ってしまうのです。

⑥介護職員等処遇改善加算が未申請

介護職員の賃金向上を目的とした「介護職員等処遇改善加算」を活用することで、職員のモチベーション向上や定着に役立ちます。

しかし、加算申請には事務的な手続きが必要なため、知識や人材が不足している中小施設では申請をしていないケースがあるのです。

加算制度を活用しないことで他施設と比較して待遇面で不利になり、職員確保がさらに困難になって経営悪化を招く事態に陥るケースが珍しくありません。

介護業界の現状

介護業界は、高齢化の進展に伴い、社会インフラとしての重要性を増しています。国による施策や業界内の努力により、改善に向けた動きが見られるようになってきました。

現在の介護業界の状況について、処遇改善と離職率の動向に注目して解説します。

  1. 処遇改善が進められている
  2. 離職率は低下傾向にある

①処遇改善が進められている

介護職員の処遇改善は、長らく業界全体の重要な課題とされてきましたが、政府はこれに対して処遇改善加算の一本化を行いました

これまで3つに分かれていた加算制度を1つにまとめて、介護職員等処遇改善加算に統一したのです。煩雑だった事務手続きを簡略化することで、申請をしやすくしています。

加算制度のおかげで、介護職員の賃金水準は上昇傾向にあり、介護業界は給料が安いというかつてのイメージから少しずつ脱却しつつあるといえるでしょう。

②離職率は低下傾向にある

介護業界は、離職率が高いことが課題の1つとなっていました。しかし近年では、離職率は低下傾向にあります。前述の処遇改善の進展が、離職率低下の大きな要因と考えられます。

また、労働時間の見直しや資格取得支援制度の導入など、業界全体として働きやすい環境づくりが進められていることも理由と言えるでしょう。

介護職に対する社会的な理解や評価が高まっていることも、離職率低下に寄与している可能性がありますよ。

介護業界が抱える課題の解決策

介護業界が直面する課題は深刻です。しかし、これらの課題を克服するための解決策も模索されています

介護業界が抱える課題に対する解決策について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

  1. DX化による業務効率の改善
  2. 職員の待遇改善
  3. 外国人労働者の活用

①DX化による業務効率の改善

深刻な人手不足を解消し、質の高い介護サービスを提供し続けるためには、テクノロジーを活用した業務効率化やDXの推進が不可欠です。

DX化により、記録業務の効率化や情報共有の迅速化、見守りシステムの導入などが可能になります。

DX化は初期投資が必要となりますが、長期的な視点で見れば、業務効率の向上・職員の負担軽減・サービスの質の向上に繋がるでしょう。さらに、経営改善にも貢献する可能性を秘めているのです。

②職員の待遇改善

介護業界の人材不足を解消するためには、給与水準の向上はもちろんのこと、労働環境全体の改善が不可欠ですよ。

待遇改善は給与アップだけでなく、労働時間の短縮と休暇取得の促進、キャリアパスの明確化やメンタルヘルスケアの充実も必要です。

これらの待遇改善は、人材の定着と質の高い介護サービスの提供に不可欠な投資であり、介護業界全体の魅力を高めることにもつながります。

③外国人労働者の活用

深刻な人手不足を補うための解決策として、外国人労働者の活用が挙げられます。在留資格の拡充や生活支援の提供、教育・研修体制の整備が必要です。

しかし、言語や文化の壁などの課題もあるため、受け入れ施設側の支援体制強化や多文化共生に向けた取り組みが重要になります。

これらの課題に適切に対応し、外国人労働者が戦力として活躍できる環境を整備することが、今後の介護業界にとって重要な取り組みといえます。

介護業界の将来性や魅力

少子高齢化が急速に進む日本において、介護業界は社会を支える重要な役割を担っていると言えるでしょう。

介護業界の将来性と魅力について詳しく解説します。

  1. 高齢化社会において介護職は不可欠
  2. キャリアを形成しやすい
  3. 女性も活躍しやすい
  4. やりがいと社会貢献感が得られる

①高齢化社会において介護職は不可欠

日本は世界でも有数の高齢化社会です。今後もその傾向は続くと予測されます。高齢者が増加するということは、介護や支援を必要とする人も増えるということです。

介護職は社会にとって必要不可欠な存在であり、その需要がなくなることは考えにくいといえます。

今後も安定的なニーズが見込まれるため、将来性のある職業といえるでしょう。

②キャリアを形成しやすい

介護業界は、未経験や無資格からでもスタートできる門戸の広さを持っていますよ。働きながら資格取得を目指せたり、研修制度が充実していたりする事業所も多くあります。

初任者研修、実務者研修、介護福祉士、ケアマネジャーといった段階的なキャリアアップを目指すことが可能です。

長期的な視点でキャリアを築けるため、介護業界は成長の機会に溢れた魅力的な業界といえるでしょう。

③女性も活躍しやすい

介護の現場では、きめ細やかな気配りやコミュニケーション能力が求められる場面が多く、女性が活躍しやすい環境であると言えます。

時短勤務やフレックスタイム制、事業所内託児所の設置など、働き方を調整しやすい環境が整備されつつありますよ。

多様な働き方を選択できるのは、女性が長期的にキャリアを築いていくうえでも重要なポイントです。

④やりがいと社会貢献感が得られる

介護の仕事は、人の役に立つことができる、非常にやりがいのある仕事です。利用者の笑顔や「ありがとう」の言葉は、喜びと達成感を与えてくれます。

困難な場面もありますが、利用者やそのご家族からの信頼を得られたときの喜びは、介護職ならではのものです。

人の役に立ちたい、社会に貢献したいという想いを実現できる仕事であることも、多くの人が介護業界を選ぶ理由の1つです。

介護業界で給与を増やす方法

介護の仕事は、給与水準が低いというイメージを持たれています。しかし、自身の努力やキャリアプラン次第で、給与アップを目指すことは可能です。

介護業界で収入アップにつながる3つの方法を紹介します。

  1. 資格を取得する
  2. 管理職へのキャリアアップを狙う
  3. 他社へ転職する

①資格を取得する

介護業界において、資格の有無は給与に大きく影響します。無資格や未経験からでもスタートできますが、段階的に資格を取得することで、手当の支給や給与アップが期待できますよ。

まずは、初任者研修と実務者研修の取得を目指しましょう。さらに、介護福祉士やケアマネジャーになれると、月数万円の収入アップも見込めます。

資格取得は、給与面だけでなく業務の幅や信頼性向上にもつながるメリットもあります。取得に時間や費用がかかるものもあるため、計画的に取り組みましょう。

②管理職へのキャリアアップを狙う

介護職員として経験を積み、リーダー・主任・施設長などの管理職へとキャリアアップすることで、給与アップが期待できます。

管理職は、現場の指導や育成、シフト管理など、責任のある業務を担い、介護スキルだけでなく、コミュニケーション能力やリーダーシップ、マネジメント能力なども必要です。

事業所によっては、管理職を目指すための研修制度を設けています。管理職への昇進を目指すことは、給与アップの有効な手段であるため、積極的にキャリアアップに励みましょう。

③他社へ転職する

現在の職場で給与アップが難しいと感じる場合は、より給与水準の高い他社への転職も選択肢の1つです。

転職先としては、経営基盤の安定した大規模な法人や、都市部の事業所が候補になります。処遇改善加算を積極的に取得している事業所も、職員への給与還元に積極的な可能性がありますよ。

転職を検討する際は求人情報を精査し、給与だけでなく、労働条件や福利厚生、キャリアアップの機会など、総合的に比較検討することが重要です。

介護業界は今後需要が高まる将来性のある業界

介護業界は今後も確実に需要が増していく分野です。2025年問題や2040年の高齢者人口のピークなどにより、今後数十年にわたって介護サービスの必要性は高まり続けるでしょう。

人手不足といった課題は依然として存在しますが、DX化による業務効率の改善、職員の待遇改善、外国人労働者の活用といった解決策が模索されています。

介護業界は働きながらスキルアップできる環境が整っており、資格取得やキャリアアップによって給与を増やすことも可能です。

介護職は、人の人生を支える重要な仕事です。社会的ニーズの高まりとともに、将来性のある安定した職業として、就職・転職先として今後さらに注目されていくでしょう。

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    編集部

    「就活に苦しむ学生を減らしたい」をモットーに、志望動機やES、面接対策など、多種多様な就活の困りごとを解決するための記事を日々発信。700以上の記事で就活生の悩みに対処しつつ、就活の専門家であるキャリアアドバイザーの監修により、最後まで内定を狙える就活の方法を伝授し続けています。