事務職の平均年収はいくら？種類別・年代別・性別で徹底比較

安定した働き方ができる職種として人気の高い事務職ですが、その種類や働き方によって年収には大きな差があります。

この記事では、事務職の平均年収を種類別・年代別・性別など多角的に比較しながら、「どんな事務職が高年収を狙えるのか」「年収を上げるためにできること」をわかりやすく解説します。

事務職とは？

事務職とは、企業活動を円滑に進めるために欠かせない「縁の下の力持ち」のような存在です。書類作成やデータ管理、電話や来客対応など、組織を支える幅広い業務を担当します。

事務職は一見すると単調に感じるかもしれませんが、実際には組織全体の流れを理解し、正確で効率的に業務を進める力が求められます。

データ入力や報告書の作成を通して、他の社員がスムーズに仕事を進められるよう支えるため、パソコン操作やコミュニケーション力に加えて、注意力やスケジュール管理能力も大切になります。

企業のデジタル化が進む中で、事務職も従来のサポート役にとどまらず、業務改善やDX推進を担う存在へと進化しています。

安定して長く働ける職種として人気が高い点も、就活生にとって魅力といえるでしょう。

事務職の主な種類とそれぞれの特徴

事務職といっても、その種類や仕事内容はさまざまです。配属先や業界によって求められるスキルが異なるため、自分に合った職種を見極めることが大切でしょう。

ここでは、代表的な事務職の種類ごとに特徴を紹介します。

1. 一般事務
2. 営業事務
3. 経理事務
4. 人事事務
5. 総務事務
6. 医療事務
7. 学校事務
8. 貿易事務
9. 金融事務
10. 秘書・受付
11. 企画・マーケティング事務
12. 法務・知財・広報事務

①一般事務

一般事務は会社全体の業務を円滑に進めるために欠かせない存在です。書類作成やデータ入力、電話対応など、社内の事務作業を幅広く担当します。

基本的なパソコンスキルがあれば始めやすく、特別な資格も必要ありません。そのため、事務職の入門として人気が高い職種です。一方で、ルーティンワークが多く、単調さを感じることもあります。

しかし、正確性やスピードを意識して仕事に取り組むことで、上司や同僚から信頼を得られます。また、部署間の調整や情報共有を担う場面も多く、社内全体の流れを把握できるのが魅力です。

安定した環境でコツコツ働きたい人や、人を支えるのが得意な人にぴったりでしょう。

②営業事務

営業事務は営業担当を支えるサポート役として、顧客との契約をスムーズに進める重要なポジションです。見積書や契約書の作成、発注管理、納期調整など、取引の裏側を支える仕事を行います。

電話やメールでのやり取りが多く、社外の取引先と接する機会も多いでしょう。営業活動の成果を支える仕事のため、責任感と正確さが求められます。

また、急な変更やトラブルにも柔軟に対応する判断力も必要です。営業事務は「人のサポートを通して成果に貢献したい」というタイプに向いています。

社内外の関係を円滑にすることで感謝される場面も多く、達成感を得やすい職種です。忙しさの中でも丁寧さを忘れない人ほど、活躍できるでしょう。

③経理事務

経理事務は企業の「お金の流れ」を管理する専門性の高い仕事です。主に日々の入出金管理や伝票処理、請求書作成、決算サポートなどを担当します。

数字を扱うため慎重さが求められ、ミスを防ぐ注意力が重要です。簿記資格を持っていると即戦力として評価されやすく、キャリアアップにもつながります。

また、会社の経営状態を把握できるため、経営的な視点を身につけたい人にも向いています。単調に見える作業でも、数字を通して企業の動きを理解できる奥深い仕事です。

地道に努力を積み重ねるタイプの人や、ルールに沿って正確に進めることが得意な人に適しています。経験を重ねることで経理のスペシャリストとして専門職への道も開けるでしょう。

④人事事務

人事事務は採用や労務管理、給与計算など、社員に関する業務全般を担当します。新入社員の面接調整や入社手続き、勤怠管理など、人に関わる業務が中心です。

正確な事務処理能力と同時に、相手の立場を考えて対応できる柔軟さが求められます。特に採用業務では、学生や転職希望者など外部の人と接する機会が多く、コミュニケーション能力が欠かせません。

守秘義務を守る姿勢や、社員全体を支える責任感も必要です。社内の雰囲気づくりにも関わるため、人との関わりを大切にする人に向いています。

人事の経験を積めば、将来的に制度設計や採用戦略などにも関われるため、長期的なキャリア形成にもつながるでしょう。

⑤総務事務

総務事務は「会社の何でも屋」とも呼ばれ、組織全体を支える幅広い仕事を担当します。備品管理や社内行事の運営、福利厚生の整備など、社員が快適に働ける環境を整えるのが主な役割です。

社内からの問い合わせ対応やトラブル処理など、臨機応変な対応力が求められます。経営層と現場の橋渡しをすることも多く、社内全体の調和を保つ役割を担います。

どんなときも冷静に対応し、全体のバランスを見られる人に向いています。業務範囲が広いため大変に感じることもありますが、会社の中心的存在として信頼を得やすいポジションです。

裏方で支えることに喜びを感じる人にとって、やりがいの大きい職種といえるでしょう。

⑥医療事務

医療事務は病院やクリニックで、受付対応や会計業務、レセプト作成などを行う職種です。患者さんと接する機会が多く、優しさや丁寧な対応が欠かせません。

医療保険制度や診療報酬の仕組みを理解する必要があり、専門知識を身につけることで安定したキャリアを築けます。

資格を持っていると採用で有利になり、結婚や出産後も働きやすい仕事として人気があります。また、医師や看護師との連携も多く、チームワークを重視する姿勢が求められます。

医療現場の円滑な運営を支えるため、正確で迅速な処理能力も必要です。人の役に立ちたい気持ちが強い人や、安定した職に就きたい人におすすめです。

⑦学校事務

学校事務は教育機関で学生や教職員を支える仕事で、入学関連の手続きや経理補助、学生相談の受付など多岐にわたります。

書類処理の正確さはもちろん、学生や保護者と接する機会も多いため、思いやりのある対応が大切です。教育現場という落ち着いた環境で働ける点が魅力で、事務職の中でも安定性が高い分野です。

繁忙期と閑散期がはっきりしており、年間スケジュールに沿って働けるため、計画的に業務を進めたい人に向いています。学生の成長を間近で感じられるため、社会貢献度の高い仕事といえるでしょう。

教育に関心があり、人を支える仕事がしたい人に最適です。

⑧貿易事務

貿易事務は海外との取引を支える専門職で、輸出入に関する書類作成やスケジュール管理、通関手続きを行います。正確な書類作成能力と、英語でのメール対応スキルが必要です。

貿易に関する知識を身につけることで、グローバルなキャリアを築けます。扱う取引金額が大きいため責任も重いですが、その分やりがいも感じられるでしょう。

外国企業や物流会社と連携するため、文化や商習慣の違いを理解する柔軟さも欠かせません。英語が得意な人や、国際的な環境で働きたい人にとって魅力的な仕事です。

経験を積めば海外支店勤務や専門職への転身も可能で、スキルを磨くほど成長できる分野です。

⑨金融事務

金融事務は銀行・証券・保険会社などで、顧客の契約書類や口座情報を正確に管理する仕事です。金融商品や制度に関する知識が必要で、日々の業務を通して専門スキルが身につきます。

細かい確認作業が多く、数字やルールに強い人に向いているでしょう。正確さが求められる一方で、お客様対応の機会も多く、人との関わりを大切にする姿勢も必要です。

安定した業界で働きたい人や、専門知識を積み重ねたい人におすすめです。経験を重ねることで、金融アドバイザーや融資担当などへのキャリアアップも見込めます。

真面目にコツコツ取り組む人ほど、長く活躍できる職種といえるでしょう。

⑩秘書・受付

秘書・受付は来客対応やスケジュール調整、上司の業務サポートを行う仕事です。企業の印象を左右する立場であり、清潔感や礼儀正しさが何より大切です。

上司の予定管理や会議準備など、先回りして動く配慮力が求められます。受付業務では、訪問者に安心感を与える柔らかな対応が重要です。

表に立つ仕事のためプレッシャーもありますが、対応力を磨けばビジネスマナーのプロとして信頼される存在になれます。

人とのコミュニケーションが好きで、気配りができる人にぴったりです。上質な接客スキルを身につけたい人にもおすすめです。

⑪企画・マーケティング事務

企画・マーケティング事務は、商品の販売戦略やキャンペーンの企画を支援する仕事です。データ分析や資料作成、広告効果の集計などを担当し、マーケティング担当者の意思決定を支えます。

事務職でありながらクリエイティブな要素も多く、分析力と発想力の両方を活かせるのが特徴です。市場動向を学びながら業務を進めるため、ビジネス全体の流れを理解できます。

ExcelやPowerPointなどのスキルが活かせる環境で、経験を積めば企画担当へのキャリアアップも可能です。

数字に強く、論理的に考えるのが得意な人に向いています。アイデアを形にする仕事に興味がある人にも最適です。

⑫法務・知財・広報事務

法務・知財・広報事務は企業の信頼とブランドを守る重要なポジションです。契約書の確認や特許出願、広報資料の作成など、専門的な業務を幅広く担当します。

法務や知的財産の知識が求められますが、未経験でも丁寧に学べば成長できます。法令遵守や情報管理が中心となるため、正確性と慎重さが必要です。

また、広報業務では社外への情報発信を行うため、文章力や企画力も活かせます。専門性を高めたい人や、企業を支える裏方として働きたい人にぴったりです。

経験を積めば法務担当や広報責任者など、キャリアの幅を広げることもできるでしょう。

事務職の平均年収はいくら？

事務職は多くの業種で必要とされる人気の働き方ですが、実際の年収はイメージと異なることもあります。

ここでは「全体平均」「男女差」「年代別」「企業規模・地域別」「雇用形態別」の5つの視点から、信頼できる統計データや口コミをもとに年収事情を解説します。

1. 事務職全体の平均年収
2. 男女別の平均年収
3. 年代別に見る年収推移
4. 企業規模別・地域別の平均年収
5. 正社員・派遣・契約社員の雇用形態別年収

①事務職全体の平均年収

事務職全体の平均年収は約449万円といわれています。日本全体の平均と比べるとやや低い水準ですが、安定性やワークライフバランスを重視する人にとって魅力的な職種です。

成果報酬よりも固定給が中心であるため、営業職のように年収が大きく変動しにくい点も特徴です。

上場企業や外資系企業では400万円を超えることもあり、職場選びによって収入差が生まれる傾向があります。安定した収入を得ながら長く働きたい人には、バランスの取れた働き方といえるでしょう。

②男女別の平均年収

男女別に見ると、男性事務職の平均年収は約543万円、女性は約383万円です。

男女でおよそ160万円の差がありますが、近年はキャリアアップ支援やリモートワーク制度など、性別に関係なく成果を出せる環境が整いつつあります。

経理や人事、法務などの専門職では、性別による差が小さい傾向です。自分のスキルを磨き、評価される職場を選ぶことで、年収アップの可能性を高められるでしょう。

③年代別に見る年収推移

事務職の年収は年齢とともにゆるやかに上昇します。20代では平均約428万円、30代で約483万円、40代で511万円、50代では約597万円程度まで上がる傾向があります。

昇給幅は大きくありませんが、安定した収入が得やすい点がメリットです。年収をさらに上げたい場合は、簿記や社会保険労務士などの資格を取得して、専門性を高めることが有効です。

若いうちからスキルを積み重ねておくことが、将来の収入とキャリアの安定につながります。

④企業規模別・地域別の平均年収

企業規模が大きいほど事務職の年収は高くなる傾向があります。大企業では平均380万円前後、中小企業では約300万円程度が目安です。

地域による差もあり、東京都や大阪府などの都市部は地方より50万円以上高いケースも見られます。物価や業務の専門性、採用競争の激しさが影響していると考えられます。

地方企業は残業が少なく、生活コストも抑えられるため、実質的な生活満足度は都市部と大きく変わらないこともあります。年収だけでなく、働き方全体で比較することが大切です。

⑤正社員・派遣・契約社員の雇用形態別年収

雇用形態によっても年収に差があります。正社員は平均約466万円、契約社員は約303万円、派遣社員は約270万円ほどです。

正社員は賞与や昇給制度がある一方で、派遣や契約社員は時給制で安定性がやや低い傾向があります。

ただし、専門スキルを持つ人は高時給で働けるケースも多く、エクセルや英語力、データ分析の経験などが強みになります。

自分のライフスタイルに合った働き方を選び、スキルを磨き続けることで、長期的に安定したキャリアを築くことができるでしょう。

引用：

• 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」 … 事務従事者の平均年収 4,493,200 円（令和4年）
• 厚生労働省「令和3年 賃金構造基本統計調査」
• OpenWork「事務職年収・口コミ情報」

事務職の種類別に見る年収の違い

事務職といっても、業務内容や必要なスキルで年収が変わります。ここでは主要な職種ごとの平均年収の目安と特徴を、ひと目で比較できるように整理しました。

志望先を考える際の出発点として活用してください。

職種	年収目安	特徴
営業事務	300万～350万円	・書類作成やデータ入力など基礎業務が中心 ・ワークライフバランスを重視しやすい傾向
営業事務	320万～360万円	・見積、受発注、顧客調整が中心 ・繁忙期は忙しい傾向 ・成果連動の評価に結びつく場面も
経理事務	350万～420万円	・仕訳、請求、決算補助など数値管理が中心 ・簿記などの資格が武器になり、経験で着実に伸ばしやすい
人事事務	340万～410万円	・採用、労務、給与計算を広く担当 ・法令知識や調整力が強みになり、制度運用まで担うと評価が上がりやすい
総務事務	330万～400万円	・備品、契約、社内行事など会社運営の基盤づくりを担う ・仕組み化や改善提案で存在感が出せる
医療事務	280万～330万円	・受付、会計、レセプト処理が中心 ・専門知識が必要だが、資格で未経験から入りやすく、安定需要が見込める
学校事務	300万～360万円	・学生対応、会計、行事運営を担当 ・公立・私立や大学規模で待遇差が出やすく、安定性を重視する人向け
貿易事務	350万～430万円	・輸出入書類や通関手配、納期調整を担当 ・英語力や国際実務の知識で評価が上がりやすく、成長余地が大きい分野
金融事務	380万～450万円	・口座、与信、商品事務などを担当 ・ミスが許されない環境で信頼が資産になり、資格取得で役割が広がる
秘書・受付	320万～380万円	・来客応対やスケジュール管理、社内外連絡を担う ・所作や言葉づかいが評価に直結 ・役員秘書は待遇改善の余地あり
企画・マーケティング事務	380万～450万円	・データ分析や資料化で意思決定を支援する ・数理感覚と仮説思考が活き、将来的に企画職への転身もしやすい領域
法務・知財・広報事務	400万～480万円	・契約管理や特許補助、情報発信を担当 ・専門性が評価に直結し、経験を重ねるほど待遇の底上げが見込める

上記の金額は新卒～20代後半を想定した目安です。実際の年収は年齢・企業規模・地域・雇用形態・業務範囲で変わります。

資格や業務改善の実績、語学力などの加点要素で評価が上がるため、狙う職種に合わせてスキルを組み合わせてください。

求人票では基本給・固定残業・賞与算定基準の内訳を確認し、面接では担当範囲と評価基準を具体的に質問すると納得度が高まります。

引用：
– 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」 … 事務従事者の平均年収 4,493,200 円（令和4年）
– OpenWork「事務の平均年収」 … 事務職平均 489 万円（2024年データ）

事務職の年収が低いと言われる理由

事務職は安定して働ける一方で、「年収が低い」と感じる人が多い職種です。なぜそう言われるのかを正しく理解すれば、今後のキャリアを考える上で大きなヒントになるでしょう。

ここでは、事務職の給与が低く見られがちな主な6つの理由を紹介します。

1. 利益を直接生み出す職種ではないため
2. 残業時間が少なく、固定給が中心であるため
3. ルーティン業務が多く評価基準が曖昧なため
4. 求人数が多く競争が激しいため
5. スキルの差が給与に反映されにくいため
6. 女性比率が高く非正規雇用も多いため

①利益を直接生み出す職種ではないため

事務職の年収が営業職などに比べて低くなる大きな理由は、「会社の利益に直接つながりにくい」点にあります。

企業は利益を生み出す部門に対して高い報酬を与える傾向が強く、売上や契約といった目に見える成果が出しづらい事務職は、どうしても評価が後回しになりやすいのです。

しかし、事務職の存在は組織の運営を安定させるうえで不可欠です。

経理、総務、人事などは、どれも会社の土台を支える仕事であり、ミスが少なくスムーズな業務運営を実現しているからこそ、他の部門が成果を出せています。

裏方であっても、業務効率の改善や新しいシステム導入など、組織全体の生産性を高める工夫を積極的に行えば評価される場面は増えるでしょう。

②残業時間が少なく、固定給が中心であるため

事務職の給与が比較的低くなるもう一つの要因は、残業や歩合給といった変動要素が少ないことです。営業職では成果報酬制を採用している企業も多く、努力や結果が直接給与に反映されます。

一方、事務職は時間内にタスクを正確にこなすことが重視され、成果が数字で示されることが少ないため、固定給中心の給与体系になっています。

また、事務職は勤務時間が安定しており、残業時間が短い傾向にあります。これは働きやすさという点では大きな魅力ですが、給与面では伸びづらい仕組みでもあります。

安定した働き方を求める人にとっては、金銭的な報酬だけでなく、時間の自由や精神的な余裕といった価値も重視すべきポイントでしょう。

③ルーティン業務が多く評価基準が曖昧なため

事務職の多くは定型的な業務が中心であり、毎日同じようなタスクを繰り返すケースが少なくありません。そのため、成果を数値で表すことが難しく、評価の基準が曖昧になりやすい傾向があります。

たとえば、書類を正確に処理したり、トラブルを未然に防いだりしても、それが「当たり前」とされることが多く、特別な評価につながりにくいのです。

しかし、評価されにくい職種だからこそ、業務の工夫を積み重ねることが大切です。

また、定量的な成果を報告することも有効です。業務時間を20％短縮した、ミス率を半減させたなどのデータを明確に示すことで、周囲の理解を得やすくなります。

事務職は「成果が見えにくい仕事」だからこそ、自分で見える形にして伝える力が重要です。

④求人数が多く競争が激しいため

事務職は他の職種と比べて求人が多く、未経験者でも挑戦しやすい点が特徴です。そのため、採用市場では競争が激しく、企業が比較的低い給与でも人材を確保しやすい構造が生まれています。

特に一般事務や営業事務では、全国的に需要が高い一方で、給与水準は大きく変わらない傾向が見られます。

ただし、これは裏を返せば「スキル次第で差をつけやすい職種」ともいえます。英語力や会計スキル、ITツールの操作力などを身につけることで、専門事務や外資系企業への転職も可能になります。

事務職は「誰でもできる仕事」ではなく、「工夫次第で大きく差が出る仕事」だといえるでしょう。

⑤スキルの差が給与に反映されにくいため

事務職は業務内容が標準化されており、個人のスキルの差が目に見える成果として現れにくい構造になっています。

どれほど効率的に仕事をしても、評価制度が年功序列や固定給中心であれば、報酬への反映は難しいのが現実です。

そのため、優秀な人ほど「努力が報われにくい」と感じやすく、モチベーションを保つのが難しいといえるでしょう。ただし、最近ではスキル評価を導入する企業も増えています。

また、資格取得を通じて専門性を証明すれば、転職市場でも高く評価されやすくなります。

つまり、事務職は「スキルが給与に反映されにくい職種」ではありますが、「スキルを活かす工夫をすれば報われる職種」でもあります。見せ方次第でキャリアの幅は大きく広がるのです。

⑥女性比率が高く非正規雇用も多いため

事務職は女性の割合が高く、パートや派遣といった非正規雇用が多いことが平均年収を下げる要因になっています。

結婚や出産などのライフイベントを機に働き方を変える人も多く、短時間勤務や扶養内で働くケースが一般的です。そのため、正社員比率が低く、賞与や昇給の機会が限られてしまう現状があります。

一方で、柔軟に働けるという点では大きな魅力です。最近では在宅勤務を前提とした正社員求人や、産休・育休から復帰しやすい制度を整える企業も増えています。

事務職は働き方の自由度が高い分、自分のライフスタイルに合わせてキャリアを設計しやすい職種です。

安定と柔軟性のバランスを見極め、自分に合った働き方を選ぶことが、年収だけでなく人生全体の満足度を高める鍵になるでしょう。

事務職が年収を上げるための具体的な方法

事務職は安定した働き方ができる一方で、年収が伸びにくいと感じる学生も多いでしょう。ここでは、事務職として収入を上げるための具体的な方法を紹介します。

キャリア選択やスキルアップの方向性を考える際に、ぜひ参考にしてください。

1. 給与水準が高い業界を選ぶ
2. 専門性の高い事務職を目指す
3. 長期的に働き管理職・リーダー職を目指す
4. 資格を取得してスキルを可視化する
5. 都市部・大企業での就職を検討する
6. 転職エージェントや求人サイトを活用する
7. 副業・在宅ワークで収入源を増やす

①給与水準が高い業界を選ぶ

就活で年収を上げたいと考えるなら、まずは「業界選び」が重要です。結論から言うと、同じ事務職でも業界によって給与水準は大きく異なります。

金融業界やIT業界、メーカー系の企業は平均給与が高く、事務職でも専門的な知識やスピードが求められるため、報酬水準も上がる傾向があります。

反対に、教育・福祉など社会貢献度が高い業界では、利益率が低いため給与も抑えられがちです。収入アップを狙うなら、まず自分が興味を持てる分野の中で、利益構造が安定している業界を選ぶことが大切です。

早い段階から情報を集め、自分に合った「稼げる業界」でキャリアをスタートさせましょう。

②専門性の高い事務職を目指す

事務職には一般事務、営業事務、経理、人事、貿易事務など多くの種類があります。専門性が高い職種ほど、仕事の付加価値が上がり、結果として年収アップにつながります。

たとえば経理職なら簿記知識を活かして経営分析を担えるようになりますし、人事なら労務管理や採用戦略など組織の中核を支える役割を果たせます。

こうしたスキルを持つ人材は市場価値が高く、転職や昇給のチャンスも広がります。

一方で、一般事務のようにルーティン業務が中心の職種は、AI化の影響も受けやすく、給与面で伸びにくい傾向があります。

だからこそ、興味を持てる専門分野を見つけ、知識を積み重ねていくことが重要です。自分が得意とする分野を深め、企業にとって「必要不可欠な人材」になることで、年収の壁を越えることができるでしょう。

③長期的に働き管理職・リーダー職を目指す

事務職で年収を上げたいなら、昇進・昇格を見据えた働き方が欠かせません。短期的な転職を繰り返すよりも、1つの会社で信頼を積み重ね、リーダーや管理職を目指すほうが安定して収入を高めやすいです。

特にチームをまとめたり、他部署と連携を取ったりする経験は、上位職へのステップアップに直結します。

管理職になると基本給に加えて役職手当や賞与も増え、年収が数十万円から100万円以上上がるケースもあります。

上司や同僚との信頼関係を築き、社内での影響力を高めることが、結果的に評価と収入を同時に高める近道になるでしょう。

④資格を取得してスキルを可視化する

資格は自分の能力を客観的に証明できる強力なツールです。事務職では、簿記、MOS、TOEIC、社会保険労務士、秘書検定などの資格が特に評価されやすく、昇給や転職の際に有利に働きます。

資格取得によって得た知識は業務効率の向上にも役立ち、仕事の正確さやスピードが上がるため、上司からの信頼も得やすくなります。

また、資格の勉強を通じて得た専門知識は、他の社員との差別化にもつながります。特に簿記や社労士などは、実務で即戦力として活かせる資格として人気が高く、実際に手当が支給される企業もあります。

長期的にキャリアを築くうえで、学び続ける姿勢を持ち、資格をキャリアアップの手段として取り入れることで、年収アップのチャンスを確実に広げられるでしょう。

⑤都市部・大企業での就職を検討する

同じ事務職でも、勤務地や企業規模によって給与には大きな差があります。都市部や大企業ほど給与が高い傾向があり、その理由は業務範囲が広く、責任の重い仕事を任されるからです。

東京や大阪などの都市部では、生活コストが高い分、企業も手当や給与を高めに設定しているケースが多いです。

ただし、競争が激しく求められるスキルも高いことから、事前の準備が重要です。地方で実務経験を積み、一定のスキルを磨いてから都市部の企業へステップアップするのも賢い選択でしょう。

勤務地による給与差を理解し、キャリアアップを見据えた地域選びを意識することで、効率的に年収を上げることができます。

自分のライフスタイルや将来像を踏まえ、働く場所の選び方にも戦略を持ちましょう。

⑥転職エージェントや求人サイトを活用する

転職エージェントや求人サイトを上手に活用すれば、自分では出会えないような高待遇の仕事を見つけられる可能性があります。

転職エージェントは、非公開求人の紹介や、履歴書・面接対策などのサポートを通じて、希望条件に合う企業を紹介してくれます。

市場動向や給与相場も教えてもらえるため、今の自分の価値を把握しやすくなるでしょう。

また、求人サイトを定期的にチェックすることで、同年代の給与相場や必要スキルの変化を把握できます。情報を収集することは、将来のキャリアを設計するうえで非常に重要です。

特に就活生や若手社員のうちから転職市場を意識しておくと、数年後のキャリアアップがスムーズになります。情報を活かして行動に移すことが、収入向上への第一歩です。

⑦副業・在宅ワークで収入源を増やす

事務職は勤務時間が比較的安定しているため、副業との両立がしやすい職種です。データ入力やライティング、オンライン秘書、事務代行など、自宅でできる在宅ワークを取り入れる人も増えています。

本業の知識やスキルを活かせば、短時間でも効率よく収入を得ることができるでしょう。

副業によって得た経験は、本業にも良い影響を与えます。たとえば、タイピング速度や資料作成力が向上し、職場での評価が上がることもあります。

ただし、副業を始める際は、会社の就業規則を確認し、勤務時間や報酬のバランスを考えることが大切です。

継続的に収入を増やすためには、無理のない範囲で始め、得意分野を広げていく姿勢が欠かせません。

事務職に求められるスキル

事務職は、会社の運営を支える大切な存在です。採用担当者は、正確さや協調性、効率性を兼ね備えた人材を求める傾向があります。

ここでは、就活で高く評価される主要なスキルをわかりやすく紹介します。

1. PCスキル（Word・Excel・PowerPointなど）
2. ビジネスマナー・コミュニケーション力
3. 事務処理能力・正確性
4. 情報管理・セキュリティ意識
5. 簿記や経理などの基本的な会計知識
6. 報連相の徹底とチームワーク力
7. 効率的に業務を進めるタイムマネジメント力

①PCスキル（Word・Excel・PowerPointなど）

事務職においてPCスキルは欠かせない力です。なぜなら、ほとんどの業務がパソコン上で行われるからです。

文書作成やデータ集計、会議資料の作成など、どれもWord・Excel・PowerPointを使いこなすことが前提になります。

特にExcelでは、関数やグラフを自在に扱えることで業務効率が格段に上がります。Wordでは正しい文書構成や書式設定、PowerPointでは視覚的にわかりやすい資料作成が求められます。

入社後は新しいシステムやソフトを使う場面もあるため、学び続ける姿勢を持つことが長く活躍する秘訣です。

②ビジネスマナー・コミュニケーション力

事務職は社内外の人と関わることが多く、ビジネスマナーやコミュニケーション力が業務の質を大きく左右します。

丁寧な言葉遣いや正しい敬語、清潔感のある服装、落ち着いた立ち居振る舞いは、どの職場でも基本中の基本です。

さらに、報告や連絡をこまめに行う姿勢も信頼を得るポイントになります。たとえば、依頼された内容を正確に把握し、完了後には感謝の言葉を添えると印象が良くなります。

相手の話をしっかり聞くことで理解が深まり、誤解のない関係づくりができます。学生のうちから挨拶や連絡の習慣を意識しておくと、社会人になってからも自然に実践できるようになります。

③事務処理能力・正確性

事務職の本質は、スピードと正確さを両立させることにあります。単純作業に見えても、入力ミスや書類の誤送付など、小さなミスが大きなトラブルにつながることも少なくありません。

そのため、常に注意を払いながら、落ち着いて作業する姿勢が必要です。事務処理能力を高めるには、まず自分の作業手順を明確にし、同じ方法で再現できるようにすることが有効です。

チェックリストを使って確認を習慣化すれば、ミスを減らせます。また、Excelでの自動化やショートカット操作を学ぶことで、時間の短縮にもつながります。

正確な仕事を続けることで上司や同僚からの信頼が厚くなり、より重要な業務を任される機会も増えるでしょう。

④情報管理・セキュリティ意識

事務職は、個人情報や社外秘のデータなど重要な情報を日常的に扱います。そのため、情報管理に関する意識の高さが求められます。

たとえば、パスワードを他人と共有しない、USBメモリでデータを持ち出さないなど、基本的なルールを守ることが重要です。

また、印刷物を机に放置しない、外部メールへの添付ファイルは暗号化するなどの配慮も欠かせません。情報漏えいは企業にとって致命的なリスクになりかねないため、常に慎重な姿勢を持つ必要があります。

セキュリティ意識を高く保てる人は、会社に安心して任せられる存在といえるでしょう。

⑤簿記や経理などの基本的な会計知識

経理や総務の事務職を目指すなら、簿記などの会計知識は大きな強みになります。数字を正しく扱える人は、経営を支える事務職として重宝されます。

簿記3級程度の知識でも、仕訳や貸借の流れを理解していれば、請求書処理や経費管理の際に役立ちます。

会計の基本を知ることで、業務全体の仕組みが見えやすくなり、上司の意図も理解しやすくなります。また、予算と実績の差を見て原因を考える力は、事務の枠を超えて貢献できるスキルです。

数字を味方につけることが、キャリアの広がりにつながるでしょう。

⑥報連相の徹底とチームワーク力

事務職はチームでの連携が欠かせません。円滑に業務を進めるためには、「報連相（報告・連絡・相談）」の徹底が必要です。

たとえば、進捗状況をこまめに共有することで上司が的確な判断を下せますし、問題が起きたときも早期に対応できます。連絡が遅れると、他の部署にも影響が出ることがあります。

相談をためらわず行うことで、経験豊富な先輩の助言を受けられ、結果として自分の成長にもつながります。また、チームワーク力は単なる「仲の良さ」ではなく、互いの強みを理解し助け合う力です。

自分の仕事だけでなく、周囲をサポートする意識を持つことで、信頼される存在になれます。

⑦効率的に業務を進めるタイムマネジメント力

事務職では、限られた時間の中で複数のタスクを処理する力が求められます。タイムマネジメント力を身につけることで、ミスを減らしつつ質の高い成果を出せるようになります。

まずは仕事の優先順位を明確にし、重要なものから順に取り組むことが大切です。ToDoリストを作成したり、スケジュール管理ツールを活用したりすることで、効率的に動けるようになります。

さらに、突発的な業務が発生しても柔軟に対応できるよう、余裕を持った計画を立てておくと安心です。時間の使い方が上手な人は、周囲から信頼されるだけでなく、自分のストレスも軽減できます。

日々の行動を見直し、限られた時間をどう活かすかを意識することが、社会人としての成長につながるでしょう。

事務職に向いている人の特徴

事務職は会社の運営を支える欠かせない存在です。正確さや調整力が求められるため、自分の性格や強みを理解しておくことが大切です。ここでは、事務職に向いている人の特徴を6つ紹介します。

1. コツコツと丁寧に仕事を進められる人
2. サポート業務にやりがいを感じる人
3. 人の役に立つことが好きな人
4. 細かい作業や数字の管理が得意な人
5. コミュニケーション力が高く調整ができる人
6. 安定志向で長く働きたい人

①コツコツと丁寧に仕事を進められる人

事務職は、日々の業務を正確にこなす姿勢が求められる仕事です。

データ入力や資料整理、スケジュール管理など、一つひとつの作業は地味に見えるかもしれませんが、どれも会社全体の基盤を支える重要な業務です。

特に、数字や書類を扱う仕事では、少しのミスが大きなトラブルに発展する可能性があります。そのため、丁寧に確認しながら仕事を進められる人が評価されやすいです。

また、淡々とした作業でも集中力を維持できる人や、長期的に継続して努力できるタイプは、職場で信頼を得やすいでしょう。

日々の積み重ねを苦にせず、自分のペースで正確に取り組める人こそ、事務職に向いています。

②サポート業務にやりがいを感じる人

事務職は、他の社員や部署がスムーズに業務を進められるよう支える役割を担っています。自分が主役になるよりも、裏方としてチーム全体を支えることに喜びを感じられる人が向いています。

資料の準備やスケジュール調整、来客対応など、表に出ない業務が多いものの、誰かの助けになっている実感を得やすいのが特徴です。

また、目立たない部分での気配りや配慮が求められるため、相手の立場を考えて行動できる人ほど頼りにされます。サポートにやりがいを感じられる人は、長く安心して働けるでしょう。

③人の役に立つことが好きな人

人を支えることにやりがいを感じる人は、事務職に非常に適しています。電話対応や社内調整、取引先とのやり取りなど、人と関わる場面が多く、感謝される機会も少なくありません。

「ありがとう」と言われることでやる気を高められるタイプは、日々の業務を前向きにこなせます。

また、相手の状況を理解し、求められるサポートを先回りして提供できる人は、職場で欠かせない存在になります。

一方で、人のために動くことを負担に感じる人は、業務の多さにストレスを感じることもあるでしょう。思いやりと気配りが自然にできる人に最適な仕事です。

④細かい作業や数字の管理が得意な人

事務職は、正確な数字の取り扱いやデータの整理が日常業務の中心です。経費精算、請求書処理、売上管理など、数字に強い人や几帳面な性格の人が活躍しやすい環境といえます。

作業中に「少しの誤差だから大丈夫」と考えてしまうと、後で大きな問題につながることもあるため、常に慎重な姿勢が求められます。

また、単に細かい作業ができるだけでなく、効率を考えながら業務を改善できる人は特に重宝されます。

たとえば、表計算ソフトの関数を活用して業務を自動化したり、ファイル管理のルールを整備したりする力があれば、仕事の質をさらに高められるでしょう。

正確さと改善意識の両方を持つ人こそ、事務職で長く評価され続けます。

⑤コミュニケーション力が高く調整ができる人

事務職には、社内外の多様な関係者と関わる機会が多くあります。営業や経理、総務などの部署間をつなぐ「調整役」として動くことも多いため、円滑なコミュニケーション力が欠かせません。

単に話すことが得意というだけでなく、相手の意図を正しくくみ取り、必要な情報を整理して伝えられる人が向いています。

ときには、意見が食い違う相手との間に立って調整する場面もあり、冷静に対応する柔軟さが必要です。また、報告・連絡・相談を丁寧に行うことで、信頼関係を築けます。

周囲と協力しながら、物事をスムーズに進める力を持つ人は、どんな職場でも頼られる存在になれるでしょう。人との関わりを通して組織を支える力が問われる職種です。

⑥安定志向で長く働きたい人

事務職は、ワークライフバランスを取りやすく、安定した働き方を望む人に最適です。残業が少ない企業も多く、仕事と私生活を両立しやすい点が魅力でしょう。

業務を通じて会社全体の流れを理解できるため、経験を積むほど仕事の幅が広がり、スキルアップにもつながります。

また、長く働くことで専門的な知識が身につき、会社にとって欠かせない人材として評価されやすくなります。

安定した環境で腰を据えて働きたい人、日々の業務に責任感を持って取り組める人にぴったりの職種です。

目立つ派手さはないものの、地に足をつけてキャリアを築きたい人にとって、事務職は理想的な選択といえるでしょう。

事務職に向いていない人の特徴

事務職は安定していて人気の高い職種ですが、誰にでも向いているわけではありません。自分の性格や価値観と合わないまま選んでしまうと、入社後にミスマッチを感じることもあります。

ここでは「事務職に向いていない人」の特徴を6つ紹介します。自分に当てはまる点がないか、確認してみてください。

1. 成果を数値で出したい・評価されたい人
2. ルーティンワークが苦手な人
3. 変化や新しいことに常に挑戦したい人
4. 人と関わるのが苦手な人
5. スピード感を重視しすぎる人
6. 飽きっぽく集中力が続かない人

①成果を数値で出したい・評価されたい人

事務職は、営業職やエンジニア職のように成果を明確な数字で表す機会がほとんどありません。

売上や契約数などの数値指標がないため、自分の成果が目に見えづらく、やりがいを感じにくいと感じる人も多いです。

事務職では「正確に処理する」「ミスを出さない」「サポートを円滑に行う」など、定性的な貢献が中心になります。つまり、チーム全体を支える縁の下の力持ちとしての役割が重視されるのです。

裏方として周囲の成果を支えることに喜びを感じられる人は、長期的にやりがいを見つけやすい職種です。

自分の存在がチームの安定を作っていると意識できれば、事務職ならではの誇りを持って働けるでしょう。

②ルーティンワークが苦手な人

事務職の大きな特徴は、毎日似たような作業を繰り返す点にあります。データ入力や書類整理、請求処理など、正確性が求められる細かい仕事が多く、集中力を長く維持する力が欠かせません。

新しい刺激や変化を求めるタイプの人にとっては、単調な作業が続くことでモチベーションを保つのが難しくなるでしょう。

しかし、ルーティンワークは効率化や改善の工夫を重ねることで自分の成長を感じられる分野でもあります。

仕事の中に小さな達成目標を設定すれば、同じ作業でも充実感を得られるでしょう。安定したペースで働くことが好きな人にとっては、非常に向いている環境です。

③変化や新しいことに常に挑戦したい人

常に新しいアイデアを形にしたい人や、変化の多い環境で力を発揮したい人にとって、事務職はやや物足りないかもしれません。

多くの業務は既に仕組み化されており、手順やルールに沿って進めることが基本だからです。

もちろん、業務改善や新システム導入の提案を行う機会もありますが、それは日常的な業務の中でごく一部にすぎません。

そのため、常に新しい挑戦を求める人は、スピード感や創造性を発揮しづらいと感じるでしょう。ただし、変化が少ない分だけ安定してスキルを磨ける環境でもあります。

事務職で得られる「段取り力」「整理力」「計画性」は、将来ほかの職種に転職する際にも役立ちます。挑戦心を仕事の改善や効率化に向けることで、自分らしく働く道が見つかるかもしれません。

④人と関わるのが苦手な人

事務職は人とあまり関わらない仕事だと思われがちですが、実際には社内外の多くの人と連携して進める場面が多くあります。

上司や同僚への報告、電話対応、取引先とのやり取りなど、円滑なコミュニケーションが欠かせません。

人と話すのが苦手な人にとっては、こうした日々のやり取りが大きなストレスになることもあるでしょう。

ただし、事務職で求められるのは営業のような高度な会話スキルではなく、「丁寧に伝える力」と「正確に聞く力」です。相手の話を整理して理解し、誤解のないように伝える姿勢が大切です。

会話の多さよりも「誠実さ」や「信頼感」を積み重ねていくことで、人間関係を良好に保ちながら働けるでしょう。

⑤スピード感を重視しすぎる人

事務職では、スピードよりも「正確さ」と「確認力」が重視されます。急いで仕事を進めると小さなミスが増え、全体の信頼を損なう恐れがあります。

スピード感を大切にするタイプの人は、テンポの遅さにストレスを感じやすく、効率を優先するあまり焦ってしまうこともあるでしょう。

しかし、事務職の真価は「正確かつ効率的に進める」ことにあります。早く処理するだけではなく、間違いなく完了させるバランスが求められます。

慣れてくれば、ミスを防ぎながらスピードを上げるコツもつかめるようになるでしょう。また、仕事の流れを整理し、優先順位を意識すれば、自分なりのペースで成果を出せます。

スピード感と丁寧さを両立できる人は、チームからの信頼を得やすいでしょう。

⑥飽きっぽく集中力が続かない人

事務職は、細かい作業をコツコツ続ける力が必要な仕事です。入力や確認作業など、正確さを求められるタスクが多く、途中で集中力が途切れるとミスにつながってしまいます。

飽きっぽい人や集中力が長く続かない人にとっては、同じ作業を繰り返す日々が苦痛に感じられることもあるでしょう。

とはいえ、工夫次第で集中力を保つことは可能です。タスクを細かく区切ってこまめに達成感を得たり、作業の中に小さな改善を取り入れたりすることで、仕事への意欲を維持できます。

単調な作業の中にも小さな成長を見つけることで、飽きずに続ける力が身につくでしょう。

事務職の年収とキャリアの全体像を捉えよう！

事務職は企業を支える重要なポジションであり、安定した働き方が魅力です。一方で、年収は業界や職種、雇用形態によって大きく差があります。

特に一般事務や営業事務よりも、経理・貿易・法務など専門性の高い事務職の方が高年収の傾向にあります。

このような違いが生まれる背景には、「利益を直接生み出す職種ではない」「評価基準が曖昧」といった構造的な要因があります。

しかし、資格取得やスキルの向上、都市部・大企業での勤務を意識することで、年収アップのチャンスを広げることは十分可能です。

自分の強みや志向を見極め、「向いている事務職」を選ぶことがキャリア成功への第一歩となるでしょう。