入社承諾書の書き方を解説!添え状・封筒に関するポイントも紹介
内定者が企業とやり取りする書類の中には、「入社承諾書」と呼ばれるものがあります。企業から入社承諾書が送られてきた際に何の予備知識もないと対応に困ってしまうのではないでしょうか。
そのため本記事では、入社承諾書の基本や返信にあたっての基本マナーなどを幅広く解説します。
入社承諾書返送のマナーについて知りたい人は、ぜひともチェックしてくださいね。
入社承諾書とは
入社承諾書とは、就活生が内定を承諾し、入社を誓約するために提出する書類のことです。
内定通知は電話やメールなどの手段で行いますが、この時点ではまだ内定者の意思を明確に確認したわけではありません。
そこで入社承諾書を送って内定者から署名捺印を取り付けることで、内定者の意思を確認するのです。
正式に書面を取り交わすことで、企業側からすれば内定辞退を減らす効果を期待でき、内定者側は理不尽な内定取り消しを防止できます。
入社承諾書提出後も辞退は可能?
入社承諾書を提出した後でも、内定を辞退することはできます。入社承諾書はあくまでも企業が独自に発行している書類であり、法的な拘束力がないためです。
入社承諾書提出の時点で労働契約自体は成立しており、退職を申し入れてから2週間経てば労働契約を終了させられますよ。
ただし入社承諾書提出後の辞退は、企業にとっては予定外のできごとで、一定の迷惑がかかることも考えて、慎重に判断するようにしましょう。
入社承諾書と類似書類の違い
ここでは、入社承諾書と類似書類の違いについて、以下の4つに分けて解説します。
就活においてこうした書類への理解は重要です。そのため、ここで一緒にチェックしておきましょう。
①内定承諾書と入社承諾書の違い
内定承諾書と入社承諾書は、基本的に同じものです。いずれの書類も、内定者の入社意思を明確に確認するための書類です。
企業によって呼び方が異なるので、柔軟に使い分けると良いでしょう。また、書類のフォーマットも企業によって少しずつ異なります。
入社承諾書や内定承諾書が送られてきたら、念のため全体に目を通して内容を確認することは忘れないようにしましょう。
②内定通知書(採用通知書)と入社承諾書の違い
内定(採用)通知書とは、内定者に対して内定(採用)を通知するために企業が発送する書類です。
内定通知書と入社承諾書には、以下の違いがあるといえます。
- 内定通知書(採用通知書):返送の必要なし
- 入社承諾書:入社意思を示すために返送の必要あり
内定(採用)通知書はあくまでも内定(採用)を通知するための書類であり、返送の必要がありません。
ただし内定(採用)通知書には入社までの流れやその他重要な内容が書かれていることもあるので、しっかりと目を通すようにしましょう。
③雇用契約書と入社承諾書の違い
雇用契約書とは、企業側と労働者側の双方が労働契約を結んだことを証明する書類です。
雇用契約書と入社承諾書の違いを整理すると、以下の通りだといえます。
- 雇用契約書:企業と労働者双方の契約内容への合意を示す
- 入社承諾書:内定者が入社意思を示す
また、雇用契約書は2部発行されて、企業と労働者が1部ずつ保管することが一般的です。
労働契約自体は書面を取り交わさなくても成立しますが、後々のトラブルを避けるために雇用契約書を取り交わすことが通常だといえます。
④労働条件通知書と入社承諾書の違い
労働条件通知書とは、労働条件について明記して通知する書類です。業務内容や就業時間などの労働条件を、詳細かつ明確に記載します。
労働通知書と入社承諾書の違いは多数ありますが、以下の大きな違いがあるといえるでしょう。
- 労働通知書:返送の必要がない
- 入社承諾書:入社意思を示すには返送の必要がある
労働通知書は、労働基準法に基づいて必ず企業側から労働者へ交付する必要があります。
入社承諾書到着から提出までの流れ
ここでは、入社承諾書到着から提出までの流れを以下の通り解説します。
①書面をしっかりと確認する
入社承諾書が手元に届いたら、まず内容をしっかりと確認します。
内定承諾書には入社日や入社条件などの情報が記載されているため、署名捺印をする前にしっかりと確認することが必要です。
入社承諾書を提出した後でも入社辞退は可能ですが、企業側に必要以上の迷惑をかけることはマナーとして望ましくありません。
入社するかどうかこの時点でよく考えて、納得したうえで署名捺印することが重要です。
②必要項目の記入と捺印をする
書面の内容を確認したうえで入社意思があれば、必要項目の記入と捺印を行います。
入社承諾書の記入内容はケースによって異なりますが基本的には以下のような項目への記入が必要です。
- 住所
- 氏名
- 連絡先
- 書類を作成した日付
- 捺印
記入にあたっては油性ボールペンを使用し、誤字の内容に気を付けましょう。
また、場合によっては保証人欄が設けられていることもあります。保証人の記入が求められる場合は、3親等以内で社会人の親族への依頼が必要です。
③添え状と封筒を準備して返送する
入社承諾書の必要事項を記入したら、添え状と封筒を準備して返送します。添え状とは、添付書類の中身や作成者、送付の日付などを記す書類です。
添え状がなくても、入社承諾書の返送はできますが、ビジネスマナー上は、添え状を添付することが望ましいでしょう。
封筒はA4サイズの書類を折ることなく入れられる角形2号を基本として、カラーは白色を選んでおくことが無難だといえます。
入社承諾書作成・提出のポイント・マナー6つ
ここでは、入社承諾書の作成・提出におけるポイントやマナーとして以下の6点を紹介します。
①「とりあえず提出」は避ける
入社承諾書が送られてきた際に、深く考えずにとりあえず提出することは避けるべきです。
入社承諾書を提出した後でも、入社辞退は可能ですが、その場合、入社するものとして予定を立てていた企業に一定の迷惑はかかってしまいます。
また、一度入社承諾書を提出してしまうと、いくら「後で辞退できる」と言われても辞退しにくくなりますよ。
明確な入社意思がないのにとりあえず提出するようなことは、絶対に避けるべきでしょう。
②返送はできるだけ早く期限は守る
入社承諾書の返送はできるだけ早く行い、どんなに遅くなっても期限を守る必要があります。
企業にとって採用は大きなコストが伴うものであり、ここで返送してもらえないと改めて人材を探す必要も出てくるため、特別な事情がない限り早期に返送することがマナーです。
明確な返送期限を決められていない場合も多いのですが、その場合でも書類が来てから1週間程度で遅くとも返送するようにしましょう。
③添え状を同封する
入社承諾書を返送するにあたっては、添え状の添付が基本です。添え状は以下のような内容を示し、手紙の「表紙」のような役割を果たします。
- 同封の書類の内容
- 書類作成者の住所氏名
- 書類を発送した日付
添え状を同封することで、送り先の相手は内容物の確認が簡単にできます。
また、入社承諾書の添え状にはお礼状の意味もあることから、原則として添付するようにしましょう。
添え状がない状態だと、企業の担当者に乱暴な印象を与えかねません。
④保証人は3親等以内の親族から選ぶ
もし入社承諾書に保証人の記入欄が設けられていたら、基本的には3親等以内の親族から選ぶようにします。
「3親等以内」とは、以下のような親族のことです。
- 父・母
- 祖父・祖母
- 曾祖父・曾祖母
- 叔父・叔母
- 兄弟姉妹
- 子
- 孫
- ひ孫
また、保証人の欄には独立して自ら生計を立てている人を選ぶことも重要です。つまり、「3親等以内の社会人」に記入を依頼すると良いでしょう。
両親や祖父母などを中心として、現在働いている人に依頼することがベストです。
⑤誤字・脱字には十分に注意する
入社承諾書の作成にあたっては、誤字・脱字に十分な注意が必要です。誤字・脱字をしてしまうと、企業担当者に「やる気がない」と思われかねません。
社会人としてのマナーに欠けると、入社前からマイナスの印象を与えてしまうことは避けたいところです。
また、住所や氏名などの情報が誤って伝わってしまうことも、できる限り避けた方が無難だといえます。
手書きの場合はもちろん、パソコンで作成している場合でも打ち間違いや誤変換に注意するようにしてください。
⑥送付は郵送で行う
入社承諾書を返送するにあたっては、郵便を利用することが大切です。
仕事をしていて重要な書類を相手に送る際には、宅配便やその他の手段ではなく郵送で送ることが基本的なマナーだといえます。
返信用封筒が同封されていた場合は、そのまま利用して返送すれば問題ありません。
返信用封筒が同封されていなかった場合は、薄い茶封筒ではなく白くてできるだけ厚みがある封筒を利用して返送しましょう。
入社承諾書返送時の封筒と添え状の書き方
ここでは、入社承諾書を返送する際の封筒と添え状の書き方を、以下の3パターンに分けて解説します。
①封筒の書き方
封筒の表面には送り先の住所と宛名を縦書きで記入し、宛名の最後には「様(個人名の場合)」か「御中(チームや部署の場合)」をつけます。
そして封筒の左下には、赤字で「入社承諾書在中」と縦に書き、定規を使って四角で囲むことも重要です。
返信用封筒がある場合は裏面に住所・氏名・日付を書いて、宛先に「様」もしくは「御中」を書き添えれば良いでしょう。
また入社承諾書の封筒は、A4サイズの書類でも折り曲げずに入れられるサイズの白いものにすることが基本です。
②添え状の書き方
〇年〇月〇日 株式会社○○ 人事部 採用ご担当者様 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 住所 氏名(フルネーム) 電話番号 メールアドレス 入社承諾書送付について 拝啓 時下、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。 このたびは、内定の通知をいただき、誠にありがとうございます。入社後は貴社の一員として活躍できるよう、精進してまいります。何卒、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。 つきましては、ご指示いただきました書類を送付いたします。ご査収の程、よろしくお願い申し上げます。 敬具 記 入社承諾書 1部 以上 |
上記の書き方を参考にすることで、基本的なマナーを押さえた入社承諾書を作成できます。
入社承諾書の添え状には、一般的な添え状の記載項目だけでなく内定をもらったことに対するお礼の言葉を添えることも大切です。
③メールでの送り方
件名:内定承諾書を提出いたします(○○大学○○〇〇(フルネーム)) 〇〇株式会社 人事部 採用ご担当者様 いつも大変お世話になっております。 〇〇大学〇〇学部〇〇学科の〇〇〇〇(フルネーム)です。 この度は内定のご連絡をくださり、誠にありがとうございました。 謹んで、貴社からの内定をお受けいたします。 つきましては内定承諾書を添付いたしましたので、ご査収いただけたら幸いです。 入社後は少しでも早く貴社に貢献できるように、精進してまいります。 今後ともご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 〇〇〇〇(フルネーム) 住所 電話番号 メールアドレス ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー |
メールの場合は手紙の添え状と少し体裁が変わりますが、盛り込むべき内容は基本的に変わりません。
入社の意思表示を明確に行い、お礼の言葉も忘れずに添えるようにしましょう。
入社を保留・辞退する際のポイント・マナー2つ
ここでは、入社を保留・辞退する際のポイントやマナーについて以下の2項目に分けて解説します。
①保留時のポイント・マナー
入社承諾書が送られてきた後すぐに気持ちを決められず保留したい場合は、その旨を企業に申し出ることが重要です。
入社承諾書が来てから1週間以内に決断できない場合は、企業に連絡しましょう。
その際、「〇月〇日まで待っていただけないでしょうか」と具体的な期限をこちらから申し出ることが大切です。
「入社を前向きに検討しているが、少ししっかりと考えたい」などと伝え、間違っても「実は第二志望で」などと言わないようにしましょう。
②辞退時のポイント・マナー
入社を辞退したい場合も、やはりできるだけ早期に企業担当者へ連絡することが重要です。
入社辞退者が出た企業は、新たに採用をやり直したり他の候補者に連絡したりと、次の行動を取らなくてはいけません。
辞退連絡が遅くなるほど企業が取れる選択肢が少なくなってしまい、迷惑がかかってしまいます。
また辞退をする際にはメールではなく、担当者へ電話をかけて行うことがマナーです。あくまでも丁寧に、謝罪も交えた説明を行いましょう。
入社承諾書の書き方と返送方法をしっかりと押さえておきましょう!
入社承諾書は、内定者が入社の意思を企業に示すために返送する書類です。
入社承諾書を返送する際には書き方や返送方法をしっかりと理解し、マナーを守った対応を心がけてくださいね。
まずは志望動機を作ってみる
この記事を書いた人
編集部
「就活に苦しむ学生を減らしたい」をモットーに、志望動機やES、面接対策など、多種多様な就活の困りごとを解決するための記事を日々発信。700以上の記事で就活生の悩みに対処しつつ、就活の専門家であるキャリアアドバイザーの監修により、最後まで内定を狙える就活の方法を伝授し続けています。