面接で短所を「優柔不断」と伝える方法｜ポイントや実際の回答例も紹介

この記事では、面接で「優柔不断」を短所として伝える方法について解説しています。

短所を質問する企業側の意図をふまえた答え方や差別化できる回答例、言い換えテクニックまで網羅的に紹介しています。最後まで確認して面接で好印象を獲得し、選考通過を目指しましょう。

 

面接で短所に「優柔不断」と答えても問題はない？

面接で短所として「優柔不断」と答えるのは、不安だと感じる方は多いのではないでしょうか。しかし、伝え方を工夫すれば評価を下げることはありません。

企業が短所を尋ねるのは、自己理解や改善への姿勢を確認するためです。

「選択肢が多いと迷いやすい面がありますが、判断基準を事前に決めておくことで、迷いを減らすよう意識しています」といった具体的な工夫を伝えると、前向きな印象を与えられます。

大切なのは、短所そのものではなく、それにどう向き合っているかという点です。

自分の課題を正しく把握し、行動に移していることが伝われば、誠実さや成長意欲として評価されるでしょう。「優柔不断」と答えても問題はありませが、伝え方にはコツがあります。

次の章では、その具体的な伝え方や工夫のポイントについて、詳しく解説していきます。

企業が面接で短所を聞く理由とは？

そもそも企業が短所を尋ねるのは、応募者が自分自身をどのように理解し、課題にどう向き合っているかを知るためです。まずは面接で、なぜ短所を伝えるのかということを正しく理解しておきましょう。

ここでは、企業が短所を聞く理由を詳しく解説します。

1. 企業とマッチする人材かを確認するため
2. 客観的に自己分析ができているかを見るため
3. 短所とどう向き合っているかを評価するため

企業とマッチする人材かを確認するため

企業が短所を尋ねるのは、応募者が自社の文化やチームに適応できるかを見極めるためです。

変化が多くスピードを求められる職場では、決断に時間がかかる性格が懸念されることもあるでしょう。ただし、丁寧に考える慎重な姿勢として評価されることもあります。

自分の短所が職場にどのような影響を与えるかを理解し、正直に伝えることが大切です。

客観的に自己分析ができているかを見るため

企業は、短所に関する質問を通じて、応募者が自分を客観的に理解しているかを見ています。自分の弱みを把握し、それに気づいたうえで改善しようとしている姿勢があるかが問われます。

たとえば、「選択肢が多いと迷ってしまいますが、それに気づいて判断基準を整理するようにしています」と説明すれば、行動力もアピールできます。

抽象的な説明ではなく、具体的なエピソードを交えて伝えてください。

短所とどう向き合っているかを評価するため

企業が最も注目しているのは、短所への向き合い方です。誰にでも課題はありますが、それを克服しようとする姿勢にその人の本質が表れます。

「優柔不断な面があるため、事前に判断基準を設けて素早く決断できるようにしています」といった工夫を伝えれば、前向きな印象を持たれやすくなります。

改善に取り組んでいない様子が見えると、意欲が低いと受け取られるおそれがあります。具体的な対策を伝えてください。

「優柔不断」な人から連想されるイメージとは？

短所を「優柔不断」だと伝える場合には、企業がどのような印象を持つかには注意が必要です。伝え方を誤ると、ネガティブな評価につながることがあります。

ここでは、優柔不断がどのようなイメージを持たれているのかを解説します。

1. 仕事が遅いのではないか
2. 責任を避けるのではないか
3. 自己主張が弱いのではないか

仕事が遅いのではないか

「優柔不断」と聞くと、どうしても意思決定が遅く、行動に時間がかかるイメージを持たれがちです。

特にスピード感が重視される業界や職場（例：IT、広告、営業など）では、迅速な意思決定が信頼の指標となるため、優柔不断さは「非効率」「もたつき」といったマイナスの評価につながる可能性があります。

責任を避けるのではないか

優柔不断な態度は、時に「自分で判断しない＝責任を取りたくないのでは？」という疑念を招きます。これは特に、プロジェクトの進行役やマネジメント職など、主体的な判断力と責任感が求められるポジションで問題視されやすい傾向があるでしょう。

「上司の判断を仰ぎたい」「誰かが決めたことに従いたい」というスタンスを繰り返すと、「この人はリーダーシップを取る気がない」「失敗の責任を負いたくないのでは」と見られることがあります。

自己主張が弱いのではないか

判断に時間がかかる性格は、「自信がない」「流されやすい」といった印象を与えることもあります。特に、積極性やプレゼン力が重視される職場では、こうした印象がキャリアに影響を与えることもあります。

自己主張の弱さは「意欲のなさ」と受け取られることもあり、積極性が評価される職場では、頼りなく見られるおそれもあるでしょう。

短所として「優柔不断」を伝える際の効果的な構成

「優柔不断」を短所として伝えるときは、順序立てて話すことで好印象を与えられます。以下の3ステップを意識してください。

1. 最初に結論を簡潔に述べる
2. 短所が表れた具体的なエピソードを紹介する
3. 改善の取り組みや工夫を説明する

最初に結論を簡潔に述べる

前置きが長いと要点が伝わりづらくなるため、最初に短所を端的に述べてください。「私は判断に時間がかかる傾向があります」と明確に伝えることで、相手が内容を理解しやすくなります。

実体験で説得力を加える

「大学でゼミを選ぶ際に複数の選択肢で迷い、締切直前まで決められなかった」といった具体的な経験を交えて話すと、状況がより伝わりやすくなります。

リアルな体験は、聞き手に強い印象を残すでしょう。

改善の取り組みを示す

短所を話すだけではなく、改善のために何をしているかも伝えてください。「最近は判断基準を事前に整理するようにしています」といった具体的な行動を加えることで、前向きな姿勢が伝わります。

「優柔不断」な短所を印象よく伝える5つのポイント

伝え方を工夫すれば、「優柔不断」という短所も前向きに伝えることができます。次の5つのポイントを意識してください。

1. ネガティブに終わらせず伝える
2. 改善の努力を見せる
3. 自分で決断していることを示す
4. 自分だけのエピソードで印象づける
5. 長所と組み合わせて個性を伝える

ネガティブに終わらせず伝える

「優柔不断です」とだけ伝えるとマイナスの印象で終わってしまいます。そこで大切なのは、単なる欠点としてではなく、「その性格がどのように役立つことがあるか」にも触れることです。

たとえば、「選択肢を丁寧に比較し、慎重に判断する性格です」と言い換えれば、細部に気を配れる慎重な人、リスクを事前に見極められる人としての印象を与えることができます。

改善の努力を見せる

「優柔不断」という短所をそのままにしておくのではなく、「それに気づいて、改善しようとしている姿勢」を見せることが重要です。

過去に選択に時間がかかって困った経験があるなら、それを振り返り、「以前は迷って決断が遅れることがありましたが、今は判断基準を事前に整理するようにしています」といったように、自分の変化や工夫を具体的に伝えてください。小さな取り組みでも構いません。

自分で決断していることを示す

優柔不断な性格は、ともすれば「決断を他人に任せている」「自分の意志がない」と受け取られることがあります。これを避けるには、「最終的な判断は自分でしている」という点をしっかり伝えることが大切です。

たとえば、「情報を集めて整理し、最終的には自分で判断を下しています」と明言すれば、「考えすぎるけれど、責任は持っている」という印象になります。

さらに、「○○という場面では、××の判断を自分で下しました」と具体例を交えると、主体性や行動力が伝わりやすくなります。

自分だけのエピソードで印象づける

他の応募者と差をつけるためには、あなた自身の具体的なエピソードと結びつけて伝えることが効果的です

「過去の経験から、必要なときは決断を下す勇気も重要だと学んだ」といった学びままで語ると、成長ストーリーとして説得力が増すでしょう。

長所と組み合わせて個性を伝える

「優柔不断」という短所単体ではなく、他の強みと組み合わせて話すことで、あなただけの魅力を印象づけることが可能です。

たとえば、「じっくり考える分、文章や資料作成では細部まで配慮できる」「判断に時間がかかる一方で、周囲の意見を丁寧にくみ取る力がある」など、ポジティブな資質と掛け合わせることで、ただの短所にとどまらない印象を残せます。

短所に「優柔不断」を使用した例文

面接で短所を聞かれたとき、「優柔不断」と答えるべきか迷う方は多いでしょう。ここでは、同じ短所でも伝え方を工夫することで、好印象につながった具体例を紹介します。

1. 例文①：決断に時間がかかるが、慎重さを評価されたケース
2. 例文②：優先順位付けが苦手だったが、ツール活用で改善したケース
3. 例文③：他人の意見に流されがちだったが、自己判断を強化したケース
4. 例文④：情報を集めすぎて決断が遅れるが、選別力を養ったケース
5. 例文⑤：多数決に頼りがちだったが、自分の意見を主張するようになったケース

例文①：決断に時間がかかるが、慎重さを評価されたケース

優柔不断という短所を伝える際には、それが改善に向かっていることや、逆に長所として評価されたエピソードを添えることで、前向きな印象を与えることも可能です。

以下では、大学生活での経験を踏まえた例文を紹介します。

《例文》

私の短所は、決断に時間がかかってしまうところです。私はもともと決断に時間がかかる性格で、複数の選択肢があると深く考えすぎてしまうことがあります。 大学のゼミ活動でも、ディスカッションで意見を求められる際、即答できずに戸惑う場面が何度かありました。 しかし、あるプロジェクトでは、全員で調査内容を選定する場面で、私が多角的に調べ、様々な視点からリスクや可能性を提示したことで、最終的に納得感のある方針に決まり、ゼミ内でも「慎重な分析が助かった」と評価を受けることができたのです。 この経験を通じて、単に迷うのではなく、必要な情報を整理して自信を持って判断できるよう意識するようになり、今では少しずつ即断即決も意識できるようになりました。

《解説》
この例文では、優柔不断という短所を、慎重さという形で長所に転換しています。短所を述べるだけでなく、具体的な場面や周囲の反応を入れることで説得力が増します。

体験談に客観的評価を含めるのがポイントです。

例文②：優先順位付けが苦手だったが、ツール活用で改善したケース

ここでは、優柔不断な性格によって優先順位をつけるのが苦手だったものの、工夫によって改善した具体的なエピソードを紹介します。

自分の課題と向き合い、成長した過程を描くことで、ポジティブな印象を与えられるでしょう。

《例文》

私の短所は、優先順位付けが苦手なところです。複数の課題があると、どれから手をつけるべきか迷ってしまい、時間を無駄にしてしまうことがありました。 大学2年時にはレポートやアルバイト、サークル活動が重なり、効率的に動けず苦労した経験があります。そこで、ToDoアプリを使って重要度や締め切り順にタスクを整理するようにしました。 最初は使い慣れませんでしたが、次第に「今やるべきこと」が明確になり、優先順位を意識して行動できるように。 結果として、無駄な迷いが減り、限られた時間でも落ち着いて行動できるようになったと実感しています。

《解説》
この例文では、優先順位付けの苦手さを「ツール活用」という具体策で乗り越えた点が評価されます。改善に向けた行動と変化の結果をしっかり伝えることが説得力アップのポイントです。

例文③：他人の意見に流されがちだったが、自己判断を強化したケース

優柔不断な人にありがちな「他人の意見に流されてしまう」という短所について、大学生活の中で自己判断力を養ったエピソードを交えて紹介しましょう。

自分の考えを持つ姿勢を見せることで、成長意欲のある印象を与えられます。

《例文》

私の短所は、他人の意見に流されがちなところです。私はこれまで、周囲の意見に影響されやすく、自分の意見を主張することに苦手意識がありました。 大学のゼミでグループ発表のテーマを決める際も、他のメンバーの意見に従い、自分の考えを言えずに後悔したことがあります。 その経験をきっかけに、まずは自分の考えを整理することから始めました。 授業のディスカッションや日常の会話でも、必ず一度自分の意見を言ってみることを意識し、少しずつ自信が持てるようになりました。 最近では「あなたの視点が新鮮だった」と評価されることもあり、自分の意見を持つ大切さを実感しています。

《解説》
他人に流される弱みを、主体性を育てた経験として語ることがコツです。改善のきっかけや変化の過程を具体的に書くことで、信頼感のある自己PRになります。

例文④：情報を集めすぎて決断が遅れるが、選別力を養ったケース

ここでは、優柔不断な性格から情報を集めすぎてしまう傾向があり、決断が遅れるという課題に直面したものの、選別力を身につけることで改善した事例を紹介します。

情報との向き合い方に工夫を加えた成長を伝えるケースです。

《例文》

私の短所は、情報を集めすぎて決断が遅れてしまうところです。何かを決める際、失敗を避けたい思いから必要以上に情報を集めてしまい、なかなか決断ができないことがありました。 ゼミの研究テーマを決める際も、資料や先行研究を集めすぎてしまい、提出期限ギリギリまで迷い続けてしまったことがあります。 そこで、情報は多ければよいわけではないと気づき、「3つの信頼できる情報源に絞る」というルールを自分に設けるように。 結果として、今ではよりスムーズに判断ができるようになり、必要な情報を効率よく選べるようになりました。この経験は、今後の仕事においても役立つと考えています。

《解説》
情報過多による優柔不断は、選別力を強調することで前向きに変換できます。自ら設定したルールや工夫を具体的に書くと、説得力のある内容です。

例文⑤：多数決に頼りがちだったが、自分の意見を主張するようになったケース

ここでは、優柔不断な性格から多数派に合わせがちだったものの、少しずつ自分の意見を言えるようになった経験を紹介します。周囲に流されず行動する力をアピールできる内容です。

《例文》

私の短所は、多数決に頼ってしまうことが多いところです。私はもともと自分の意見に自信が持てず、グループで何かを決める際には、多数決に従うことが多くありました。 大学の授業でのグループワークでも、内心では別のアイデアを持っていても、「みんながそう言うなら…」と流されてしまうことも。 しかし一度、全員がなんとなく賛成していた案に疑問を感じ、勇気を出して自分の意見を伝えたところ、「確かにそれも一理ある」と議論が深まり、より良い案にまとめることができました。 それ以降は、自分の考えがあればきちんと伝えるよう意識しています。今では「冷静に判断して発言できる」と言ってもらえることも増え、自信につながりました。

《解説》
多数決に頼る癖は、協調性の裏返しとして伝えつつ、自己主張力を身につけた点を強調しましょう。変化のきっかけや周囲の反応を交えると、具体性と説得力が高まります。

短所として「優柔不断」を伝えるときの注意点

優柔不断な性格を短所として伝える際は、ただ正直に話すだけでは不十分です。伝え方次第で印象は大きく変わりますし、状況によっては評価を下げるリスクもあるでしょう。

ここでは、「優柔不断」を伝えるときに気をつけたいポイントを3つに絞って紹介します。

1. 長所や自己PRと矛盾しないようにする
2. スピードが求められる仕事には避ける
3. 責任あるポジションでは控える

長所や自己PRと矛盾しないようにする

面接では、話の一貫性が重要です。もし、「主体性があります」と自己PRしておきながら、「優柔不断で迷いやすい性格です」と伝えてしまうと、矛盾を感じさせてしまいます。

そのような場合には、「決断には少し時間がかかるものの、自分の考えを整理しながら周囲の意見も取り入れて判断しています」といった形で補足してください。

短所そのものよりも、それをどう捉えて行動しているかが評価につながります。話に整合性があれば、信頼感も得られやすくなるでしょう。

スピードが求められる仕事には避ける

業務の特徴を理解し、自分の性格との向き合い方を説明することが大切です。ただ短所を述べるだけでなく、仕事への適応力や工夫を伝えてください。

営業や接客など、迅速な判断が求められる仕事では、「優柔不断」という言葉が不安材料になる可能性があります。

そうした職種を志望する場合は、「準備をしっかり行うことで、迷う時間を減らせるようにしています」といった改善の姿勢を加えて伝えるとよいでしょう。

責任あるポジションでは控える

面接官は職務との相性も見ています。志望するポジションの求める人物像に合うよう、伝え方には細心の注意を払いましょう。

管理職やリーダーなど、判断力が求められる役割を目指す場合、「優柔不断」という短所は避けた方が無難です。

やむを得ず伝える場合は、「意見を聞いたうえで冷静に判断するよう心がけています」「情報を整理してから決めることでミスを防いでいます」など、決断力を補う工夫を明確に示してください。

短所「優柔不断」を長所に言い換え例一覧

面接で「優柔不断」と伝えることに迷いを感じたときは、言い換えを工夫することで前向きな印象に変えることができます。

「優柔不断」は、次のような長所に言い換えが可能です。

言い換え例	解説
慎重に物事を判断できる	すぐに決断せず、リスクを丁寧に検討する姿勢は、確実性を重視する業務に向いています。
多角的に物事を考えられる	一つの視点に偏らず、多方面から検討するため、バランスの取れた判断ができます。
人の意見を大切にできる	独断で判断せず、周囲の意見を尊重するため、協調性の高い人物として受け取られます。
バランス感覚に優れている	一方に偏らず、公平で中立的な視点を持っているため、調整役としての適性も示せます。
調整力がある	対立する意見の間で最適解を見つける力は、チームで働く際に特に重宝される能力です。
思慮深い	行動や発言に慎重で、先を見通した判断ができるため、信頼感を持たれやすくなります。
状況に応じて柔軟に対応できる	状況の変化に応じて判断を見直せる柔軟性は、変化の多い業務において強みになります。
判断に責任を持とうとしている	安易に決断しない姿勢は、責任感の裏返しとして捉えられ、誠実な印象を与えることができます。

これらの表現に置き換えることで、短所のイメージをやわらげられるでしょう。

企業が知りたいのは短所そのものではなく、それをどう受け止め、行動に生かしているかです。もし、優柔不断な一面を「慎重さ」や「調整力」として説明できれば、信頼感を与えることにもつながります。

大切なのは、短所をただ隠すのではなく、自分の言葉で意味づけをして、前向きに伝える姿勢です。工夫次第で、弱みは十分に強みに変えられるはずです。

面接で短所の「優柔不断」は工夫して伝えよう

面接で「優柔不断」と答えても、伝え方を工夫すれば十分に好印象を与えられます。企業は短所そのものよりも、自己理解や成長の意欲を重視しています。

そのため、優柔不断を単なる欠点として終わらせるのではなく、慎重さや調整力といった長所に言い換え、具体的なエピソードや改善の工夫を添えて伝えることが大切です。

自己PRや職種との相性に矛盾がないよう注意しながら、説得力のある構成で話せば、自分らしさを評価につなげることができるでしょう。

面接では「優柔不断＝マイナス」と決めつけず、前向きに捉えて伝えてください。