【業界研究】コンサル業界の仕組みと選考対策を徹底解説

「コンサル業界って、なんだか難しそう…どこから調べればいいのか分からない」

戦略、IT、シンクタンク…ひとくちに「コンサル」といっても、その種類や仕事内容は実にさまざまです。

さらに、日系と外資では働き方や選考対策にも大きな違いがあります。だからこそ、他の就活生と差をつけるには、徹底した業界研究と対策が欠かせません。

そこで本記事では、各ファームの特徴、求められる人物像、そして具体的な選考対策までを詳しく解説します。

コンサル業界の土台からしっかりと理解していきましょう。

 

【業界研究】コンサルティング業界とは

コンサルティング業界とは、企業や組織が直面する課題に対し、専門的な知見をもとにアドバイスや解決策を提供する業界です。

この業界の特徴は、クライアントである企業の意思決定を支援する立場にあることです。取り扱うテーマは経営戦略やIT導入、人事制度の改革、財務改善など多岐にわたります。

業界に特化したファームもあれば、幅広い分野を扱う総合系ファームも存在します。

いずれの場合も、調査・分析から仮説の構築、提案、そして実行支援までを一貫して行うのが特徴です。

コンサルティングファームの種類

コンサルティング業界に興味を持つ就活生にとって、まず知っておきたいのが「コンサルティングファームの種類」です。一口にコンサルといっても、取り扱うテーマや業務の進め方はさまざま。

自分に合う働き方や志向を見つけるためにも、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

1. 総合系コンサルティングファーム
2. 戦略系コンサルティングファーム
3. IT・デジタル系コンサルティングファーム
4. シンクタンク系コンサルティングファーム
5. 業界・業務特化型コンサルティングファーム

① 総合系コンサルティングファーム

総合系コンサルティングファームは、企業の課題に対して戦略の立案からIT導入、運用支援までを一貫して提供しています。幅広い業務に携われるため、多様な経験を積むことができる点が魅力です。

机上の提案に終わらず、現場に入り込んで支援する姿勢が求められるため、理論と実行のバランス感覚が必要です。

総合系ファームでは若手にも責任ある仕事が任されやすく、早い段階からスキルを伸ばすチャンスがあります。

変化の多い市場で柔軟に対応する力を身につけたい人に向いているといえるでしょう。

② 戦略系コンサルティングファーム

戦略系コンサルティングファームでは、企業の成長戦略や新規事業の立ち上げ、M&A支援など、経営層に近い立場で意思決定をサポートする仕事が中心です。

しかし、実際の仕事は緻密な情報収集や細かな数値分析が中心で、地道な作業が多くを占めます。成果へのプレッシャーも強く、ハードワークに耐える覚悟が必要です。

その分、短期間で圧倒的に成長できる環境が整っているため、自分を限界まで高めたいと考えている方には適したフィールドでしょう。

③ IT・デジタル系コンサルティングファーム

IT・デジタル系コンサルティングファームは、クライアントの業務改革やシステム導入、データ利活用を通じて課題解決を支援します。

AIやクラウド、IoTなどの技術を活用するケースが増えており、今後さらに需要が高まる分野です。

理系出身者の職場というイメージを持たれがちですが、実際には文系出身でも活躍できるポジションが多数あります。

技術とビジネスの両方に興味がある人にとっては、将来性のあるキャリアを築けるチャンスが広がっています。変化の激しい分野だからこそ、スピード感と柔軟性も求められるでしょう。

④ シンクタンク系コンサルティングファーム

シンクタンク系コンサルティングファームは、金融機関や官公庁と関係の深い組織が多く、公共政策や制度設計、経済分析といった社会性の高いテーマに取り組んでいます。

民間企業の業務改革よりも、調査研究や政策提言に軸足を置く点が特徴です。他のコンサルと比べると、報告書の作成やデータ分析といった論理構築の力がより求められます。

地道で誠実な仕事を続けながら、社会全体の構造変革に携わりたい方には適した選択肢といえるかもしれません。

⑤ 業界・業務特化型コンサルティングファーム

業界・業務特化型コンサルティングファームは、特定の産業や業務領域に特化してサービスを提供。

たとえば医療、製造、物流、マーケティングなど、それぞれの分野に精通した深い知見をもとに支援を行っています。

専門性が高いからこそ、転職市場でも重宝されやすく、将来的なキャリアの幅を広げることにもつながるでしょう。

特定の業界に強い関心がある、または自分のテーマを深めたいと考えている人にとっては、非常に魅力的な道といえるのではないでしょうか。

日系コンサルと外資系コンサルの違い

日系と外資系のコンサルティングファームには、働き方や報酬制度、案件の進め方など、さまざまな違いがあります。

どちらが自分に合っているのかを判断するには、特徴を具体的に比較して理解しておくことが大切です。

1. 案件の進め方
2. 担当領域の広さ
3. 評価制度と昇進スピード
4. 報酬制度と年収レンジ
5. 職場の文化と働き方

① 案件の進め方

案件の進め方には、日系と外資系で大きな違いがあります。外資系では短期間で成果を出すことが重視されており、初期段階から明確なゴールと計画を立てて動く傾向が強いです。

一方、日系ではクライアントとの信頼関係を築きながら、柔軟に進めていくスタイルが一般的です。この違いによって求められるスキルも変わってきます。

外資系では自主性とスピード感が重視される一方で、日系では丁寧なコミュニケーションや調整力が必要とされるでしょう。

どちらが自分に合っているかを考えるうえで、進め方の違いを知ることはとても重要です。

② 担当領域の広さ

担当する業務領域についても、両者には特徴の違いがあります。日系ファームでは一人が幅広い分野を担当することが多く、さまざまな業界やテーマを横断的に経験できます。

そのため、ジェネラリスト志向の人には向いているでしょう。外資系ファームは、特定の業界やテーマに特化して深く掘り下げるケースが多いです。

専門性を高めたい人や、明確なキャリアビジョンがある人にとっては魅力的な環境かもしれません。どちらを選ぶかは、自分がどのような力を身につけたいかによって判断してください。

③ 評価制度と昇進スピード

評価制度と昇進のスピードも、企業文化の違いをよく表しています。外資系は成果主義が色濃く、実績を出せば年齢に関係なく昇進することが可能です。

20代でマネージャーやそれ以上のポジションに就く例も少なくありません。日系ファームは、プロセスや周囲との関係性も評価対象になるため、昇進には一定の期間がかかることが一般的です。

じっくりとキャリアを積みたい人にとっては、安定感のある環境といえるでしょう。自分がどう成長したいかを考えて、合う方を選んでください。

④ 報酬制度と年収レンジ

報酬制度にもはっきりとした違いがあります。外資系は高水準の年収が特徴で、成果次第では若いうちからかなりの報酬を得ることが可能です。

ただし、成果に連動する変動要素も多く、安定性には欠ける面があります。一方、日系は報酬の上がり方が緩やかですが、手当や福利厚生が整っており、安心して働ける環境といえます。

単に初任給の金額を見るのではなく、報酬の構造や将来の伸び方も含めて比較することが大切です。

⑤ 職場の文化と働き方

職場の雰囲気や働き方にも違いがあります。外資系は個人の裁量が大きく、成果さえ出せば比較的自由な働き方が認められることが多いです。

フレックスタイムやリモートワークなど、柔軟な制度も整っています。一方で日系ファームは、チームでの連携や企業文化へのフィット感が重視されるでしょう。

丁寧な育成体制があり、相談しやすい風土があるのも特徴です。どちらが心地よく感じるかは人それぞれなので、実際に社員と話したり、職場を見たりする中で判断するとよいでしょう。

コンサルティング業界の現状

コンサルティング業界は現在、成長と変化が同時に進んでいる注目分野です。業種や企業規模に関係なく導入が広がっており、就職先として関心を持つ学生も増えています。

ここでは、いま業界で起きている主な現象を取り上げ、最新の実情を紹介します。

1. コンサル市場の規模は右肩上がりで成長
2. DX・戦略支援などクライアントニーズが多様化
3. 中小企業・官公庁でもコンサル導入が進行
4. 人材需要が高まる中、コンサル未経験者も増加
5. 価格競争が激化、サービス品質にも注目集まる

① コンサル市場の規模は右肩上がりで成長

現在、コンサルティング業界の市場は拡大を続けています。企業が複雑な課題を抱える中で、外部専門家の支援を求める動きが加速しており、コンサルティングの必要性が高まっているのです。

実際に業界全体の売上は右肩上がりの推移を示しており、安定した成長を遂げているのが実情。背景には、グローバル競争や人材不足、DXなど、自社だけで対応が難しいテーマが増えていることがあります。

こうした状況に対応する手段として、コンサルファームが果たす役割が拡大しているのです。就活生にとっても、将来性だけでなく、現在の勢いを実感できる業界といえるでしょう。

② DX・戦略支援などクライアントニーズが多様化

コンサルティング業界では現在、支援内容がかつてないほど多様化しています。

従来中心だった経営戦略だけでなく、DX、サステナビリティ、人的資本経営など、新たなニーズに対応する案件が急増してきました。

企業が抱える課題が細分化し、従来のテンプレート的な提案では対応しきれないケースも増えています。そのため、コンサルタントには幅広い知見や柔軟な対応力が求められるようになりました。

専門分野を持つ人材や、ITと経営を橋渡しできるハイブリッド型の人材が重宝されているのも、今の現場ならではの傾向といえるでしょう。

③ 中小企業・官公庁でもコンサル導入が進行

かつては大手企業が主な顧客層だったコンサルティングですが、現在では中小企業や官公庁にも導入が広がっています。

人手不足や地域経済の課題、行政のデジタル化対応など、多様な理由から支援ニーズが高まっているためです。

この動きによって、コンサルティングの対象範囲が従来よりも広がり、より社会的なテーマにも関わる機会が増えました。

とくに地方自治体や非営利組織との連携プロジェクトでは、政策や地域課題に対する理解も求められます。社会貢献性の高いキャリアを志向する学生にとっては、関心の持てる領域かもしれません。

④ 人材需要が高まる中、コンサル未経験者も増加

業界全体が活発化している今、コンサルティングファームでは人材確保が大きな課題となっています。

そのため、新卒や未経験人材の採用枠を広げる企業が増えており、以前と比べて門戸は広がっている状況です。

これにより、これまでコンサル経験や特定スキルが重視されていた採用基準も、現在はポテンシャル重視へとシフトしています。

実際の選考では、論理的思考力や吸収力、協働姿勢といった基本的な素養が評価される傾向にあるでしょう。業界未経験でも挑戦しやすい土壌が整ってきているのは、現時点での大きな特徴のひとつです。

⑤ 価格競争が激化、サービス品質にも注目集まる

現在のコンサルティング業界では、新規参入の増加と市場拡大に伴い、価格競争が激しさを増しています。その結果、クライアント側は「コストだけでなく品質」への関心を一層強めるようになりました。

信頼されるコンサルタントとして選ばれるには、知識の提供だけでは足りません。提案の実現性やプロジェクトへの関与の深さ、成果への責任感が問われる場面が増えています。

そのため、企業側も社内研修や人材育成を強化しており、質の高いサービス提供を通じた差別化が進められているのが現状です。

コンサルティング業界の今後の動向

コンサルティング業界は今後、技術革新と社会構造の変化を背景に、その役割や提供価値が大きく変わっていくと予想されます。

従来型の戦略提案にとどまらず、実行・運用支援や専門領域への深い知見が求められる時代に突入しつつあるのです。これから業界を目指すうえで、こうした変化の方向性を把握しておくことは重要でしょう。

1. AI・RPAなどデジタル技術の導入が加速へ
2. M&A・海外展開支援のニーズが拡大
3. アジャイル・DX支援など新領域が拡大
4. 実行・運用支援型コンサルへのシフト進行
5. クライアント企業の内製化が進み競争構造に変化

① AI・RPAなどデジタル技術の導入が加速へ

これからのコンサルティング業界では、AIやRPAなどのデジタル技術の導入が一層加速していくと見られています。

多くの企業が業務の自動化やデータ活用を経営の中心課題に据えており、コンサルタントにもテクノロジーを前提とした支援が求められる場面が増えていくでしょう。

従来の戦略策定だけでなく、技術的な実装フェーズまで関わる機会が今後さらに広がるはずです。そのため、ITスキルやデータリテラシーを持つ人材への需要は高まり続けると考えられます。

成果に直結する提案力と技術理解を兼ね備えたプロフェッショナルが重視される傾向が強まっていくでしょう。

② M&A・海外展開支援のニーズが拡大

今後は、国内市場の縮小を背景に、企業が成長機会を海外に求める動きがより活発になると予想されます。

それに伴い、M&Aやクロスボーダー展開を支援する案件が増加し、国際的な業務に対応できるコンサルタントの存在が一層重要になるでしょう。

単なる買収支援にとどまらず、統合後の運営支援や現地文化への適応支援など、多面的な視点が求められます。

語学力や異文化理解といった素養に加え、国際ビジネスの知見を備えた人材は、今後ますます活躍の場が広がるといえます。

③ アジャイル・DX支援など新領域が拡大

ビジネス環境の変化が激しさを増すなかで、今後のコンサルティング業務は「アジャイル型支援」や「DX（デジタルトランスフォーメーション）」が中心となっていくでしょう。

従来のように長期計画を立てて進める手法では変化に対応しきれないため、スピーディーかつ柔軟な支援スタイルが求められるようになります。

こうした新領域では、エンジニアリングやプロダクト開発の現場経験を持つコンサルタントの需要も高まると考えられているのです。

課題解決にとどまらず、プロジェクトの実行を通じて成果を出せる人材が、より一層評価される時代に入っていくでしょう。

④ 実行・運用支援型コンサルへのシフト進行

今後のコンサル業界では、「提案して終わり」ではなく、実行・運用フェーズまでを支援する「伴走型支援」が主流になると見込まれています。

企業が本当に求めているのは、実際に施策を動かし、成果を出すことだからです。この変化により、コンサルタントは計画だけでなく、現場に密着してプロジェクトを推進する力が求められます。

業務改善の現場支援やシステム導入後の定着支援など、より実務的な領域での活躍機会が増えるでしょう。実行力や現場感覚を持った人材が、今後ますます重視されることは間違いありません。

⑤ クライアント企業の内製化が進み競争構造に変化

近い将来、クライアント企業がコンサルティング機能を社内に持つ「内製化」の動きがさらに加速すると予測されています。

とくにデジタル部門や戦略部門を強化する企業が増えており、従来コンサルファームが担ってきた領域の一部が社内化されてきました。

これにより、コンサルタントに求められるのは、一般的なアドバイスではなく、より高付加価値で専門性の高い支援です。

差別化が難しくなる中、個人としてのスキルや知見、思考の深さが評価される構造へと変わっていくでしょう。企業の内製化が進むほど、「選ばれるコンサル」としての資質が問われる時代になっていきます。

コンサルティング業界の主な職種

コンサルティング業界では、キャリアパスが段階ごとに明確に分かれており、役割や責任も着実に変化していきます。

自分がどのような働き方をするのかを想像しやすくするために、主な職種の特徴をあらかじめ理解しておくことが重要です。

1. アナリスト／アソシエイト
2. コンサルタント
3. マネージャー
4. プリンシパル／パートナー

① アナリスト／アソシエイト

アナリストやアソシエイトは、新卒入社後にまず配属される初期ポジションです。主な業務は、情報収集やデータ分析、資料の作成といった調査・準備のサポートになります。

目立ちにくい業務ではありますが、プロジェクトの土台を支える大切な役割です。入社してすぐに経営提案ができると考える方もいますが、最初は地道な作業を積み重ねる必要があります。

その中で、仮説思考や論理構築、資料作成のスキルが自然と磨かれていくのです。はじめは地味に感じるかもしれませんが、この基礎があってこそ、次のステップに進んだときに差が出るでしょう。

② コンサルタント

コンサルタントは、プロジェクトの中核を担う立場で、クライアントの課題に対して解決策を提案しながら施策を実行。

会議への参加や提案書の作成、仮説の検証などを通して、より実践的な仕事が増えていきます。

自分の考えがクライアントに受け入れられ、実際に現場で活かされるという経験は、この職種ならではのやりがいです。一方で、成果への責任や納期のプレッシャーも大きくなります。

考える力と同時に、相手に伝える力が問われる場面も多いため、普段から論理的に話す習慣を意識してみてください。

③ マネージャー

マネージャーは、プロジェクト全体をまとめ上げる責任者です。業務は、クライアントとの交渉、プロジェクトの進行管理、チームメンバーの育成と多岐にわたります。

ここからは、成果を出すだけでなく、チーム全体を成功に導く力が求められるでしょう。業務の比重は、個人の作業からマネジメントへとシフトします。

自分が成果を出すだけでなく、メンバーにどう力を発揮してもらうかを考える必要があるのです。

就活生にとってはあまり馴染みのない業務かもしれませんが、リーダーの言動を注意深く見ることが、自分の成長にもつながります。

④ プリンシパル／パートナー

プリンシパルやパートナーは、コンサルティングファームの経営層に位置づけられるポジションです。

新たな案件を受注したり、重要なクライアントとの関係を築いたりするほか、組織の方向性を決定する役割も担います。

現場での実務からは離れ、ビジネス全体を俯瞰して意思決定を行う立場です。このポジションに到達するには、長年の実績と深い信頼が必要。

就活生にとっては遠く感じるかもしれませんが、最終的なキャリアの到達点を知ることで、今やるべき努力が見えてくるはずです。

コンサルティング業界の主な仕事内容

コンサルティング業界では、企業が直面するさまざまな課題に対して、専門的な知識や経験をもとに支援を行います。

支援内容は領域によって分かれており、自分の適性や興味を見極めるためにも、主な仕事内容を理解しておくことが大切です。

1. 経営戦略策定支援
2. 業務改革・BPR支援
3. IT導入・システム構築支援
4. 人事・組織開発支援
5. 財務・会計・リスク管理支援

① 経営戦略策定支援

経営戦略策定の支援は、企業が中長期的にどう成長していくかを一緒に考える仕事です。市場調査や競合分析を通じて状況を把握し、最適な方針を示します。

この仕事では、論理的な思考や仮説を立てる力が求められるでしょう。加えて、経営陣と直接対話することも多く、伝える力や信頼関係の構築も不可欠です。

経営全体に関わる重要なプロジェクトのため、成果が出たときの達成感は非常に大きいでしょう。

② 業務改革・BPR支援

業務改革・BPR支援とは、企業の業務プロセスを抜本的に見直して、効率化や生産性向上を実現する仕事です。非効率な手順や重複業務を洗い出し、改善案を設計しながら実行までをサポートします。

現場への理解が不可欠であり、関係者との調整や協力が欠かせません。そのため、理論と現場感のバランスが重要です。

変化に抵抗感を持つ社員もいる中で、信頼を得ながら変革を進める力が問われる領域といえるでしょう。

③ IT導入・システム構築支援

IT導入・システム構築支援では、業務のデジタル化を目的として、ITシステムの導入や改善を行います。たとえば、業務の自動化やデータ管理の効率化などが主なテーマです。

この業務では、技術と業務の両面を理解していることが大きな強みになります。単に仕組みを導入するだけではなく、使いこなせる状態に導く支援が必要です。

複数の部署と連携する場面も多く、調整力や段取り力も求められます。

④ 人事・組織開発支援

人事・組織開発支援は、社員の力を最大限に活かせる環境をつくることを目的としています。評価制度の設計や研修体系の整備、組織風土の改善などが主な対象です。

人を相手にする分野のため、単なる数値管理ではなく、信頼関係や共感が重要になります。経営目線だけでなく、現場の感覚や価値観にも配慮しながら進める姿勢が求められるのです。

人と向き合いながら変革を支える仕事といえるでしょう。

⑤ 財務・会計・リスク管理支援

財務・会計・リスク管理の支援は、企業が安定して成長していくための基盤づくりを担います。資金管理やコスト削減、リスク対策などが主な支援内容です。

ここでは、専門的な知識や正確な分析力が不可欠。財務データは企業経営に直結するため、慎重かつ的確な判断が求められます。

公認会計士や税理士資格を持つコンサルタントが多く活躍しており、高い専門性を武器に信頼される役割を果たしているのです。

コンサルティング業界が求める人物像

コンサルティング業界では、知識やスキルだけでなく、人としての姿勢や考え方も重視されます。クライアントやチームと信頼関係を築けるかどうかが、活躍できるかを左右する大きな要素です。

ここでは、業界が特に求める5つの人物像を紹介します。

1. 論理的思考力がある人
2. コミュニケーション能力が高い人
3. ストレス耐性が高い人
4. 学習意欲・成長意欲がある人
5. 多様な価値観を受け入れられる柔軟性がある人

① 論理的思考力がある人

コンサルタントにとって、物事を筋道立てて考え、分かりやすく説明する力は基本です。クライアントの課題を整理し、原因を突き止め、解決策を導くには論理的な考え方が不可欠でしょう。

ただ知識があるだけでは不十分で、それを相手に理解してもらえる形にまとめる必要があります。就活の場面でも、「なぜその判断をしたのか」と問われることがあるのです。

普段から結論と根拠をセットで話す習慣をつけることで、論理的な伝え方が身につきます。論理的思考力はトレーニングで鍛えられる力なので、日常の中でも意識してみてください。

② コミュニケーション能力が高い人

コンサルティングの現場では、さまざまな人とやり取りをするため、高いコミュニケーション能力が求められます。

ここでいう能力は、話す力だけでなく、相手の意図を汲み取る力や丁寧に聞く姿勢も含まれるでしょう。信頼関係の構築には、細かな気配りや言葉選びが欠かせません。

プレゼンのうまさよりも、普段の会話やメールなどの丁寧さが評価されることも多いです。まずは、相手の立場に立って考える姿勢を大切にしてみてください。

③ ストレス耐性が高い人

コンサル業界では、短期間で成果を求められるため、負荷のかかる場面が少なくありません。突発的な変更や長時間の作業もあるため、気持ちの切り替えができるかどうかが重要です。

ストレス耐性とは我慢強さではなく、うまく発散しながら前向きに対応できる力を指します。無理をして抱え込むのではなく、必要なときには周囲に相談したり、冷静に状況を見直す工夫が必要です。

就活中のプレッシャーもよい練習になるでしょう。

④ 学習意欲・成長意欲がある人

変化の激しい業界では、常に学び続ける姿勢が求められます。専門性を高めるだけでなく、新しいテーマや業界知識を短期間で吸収する力が必要です。

コンサルタントは、入ったばかりの業界についても短期間で理解しなければなりません。そのため、「知らないことに前向きでいられるか」が評価されます。

就活でも、フィードバックを活かす姿勢があるかどうかが見られますので、積極的に取り入れてみてください。

⑤ 多様な価値観を受け入れられる柔軟性がある人

コンサルタントは、業界や立場の異なる多くの人と協働します。そのため、自分と違う考えを理解し、受け入れる柔軟性が必要です。

正しさが一つとは限らない場面が多く、他者の意見に耳を傾ける姿勢が求められます。意見が対立する場面では、感情的にならず冷静に対話できる力が重要です。

就活のグループディスカッションなどでも、意見を押し通すよりも、全体の調和を意識できる人が高く評価されます。多様性に前向きであることが、これからの時代の必須スキルといえるでしょう。

コンサルティング業界の主要企業

コンサルティング業界を目指すにあたっては、代表的な企業について知っておくことが重要です。企業ごとの特徴を理解することで、自分の志向や価値観に合ったファームを見つけやすくなるでしょう。

ここでは、知名度と実績のある主要な5社を紹介します。

1. マッキンゼー・アンド・カンパニー
2. ボストン・コンサルティング・グループ
3. アクセンチュア
4. 野村総合研究所（NRI）
5. ベイン・アンド・カンパニー

① マッキンゼー・アンド・カンパニー

マッキンゼーは、世界有数の戦略系コンサルティングファームです。グローバルなネットワークを持ち、日本法人でも多くの大手企業を支援しています。

課題解決力や論理的思考が重視される一方で、働く環境は非常にタフといわれているのです。若手でも裁量の大きい仕事を任され、成長機会に恵まれているでしょう。

ただし、成果主義が徹底されているため、自分を律して結果を出し続ける覚悟が求められます。

② ボストン・コンサルティング・グループ

BCGはマッキンゼーと並ぶ世界的な戦略ファームです。業界やテーマを問わず、幅広い課題に取り組んでおり、実行力のある提案が強みとされています。

社内はフラットで、若手の意見にも耳を傾ける文化が根付いているのです。その分、思考力だけでなく対話力や協調性も評価される傾向があります。

チームワークを大切にしながら、自分の考えをしっかり伝えたい方に合った環境といえるでしょう。

③ アクセンチュア

アクセンチュアは、ITに強みを持つ総合系コンサルティングファームです。戦略から実行、運用まで一貫して支援できる点が大きな特徴。

とくにデジタル領域での実績が豊富で、クラウドやAIを活用した支援も積極的に行われています。多様性や柔軟な働き方にも力を入れており、長く働きやすい環境づくりが進んでいるのです。

幅広い業務に挑戦したい方にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。

④ 野村総合研究所（NRI）

NRIは日本を代表する日系コンサルティングファームで、金融やIT分野に強みを持っています。システム構築も手がけるため、提案から実行までを一社で完結できる点が特徴です。

堅実かつ丁寧な仕事ぶりが評価されており、長期的な関係構築を重視する案件が多い傾向。新卒向けの教育制度も整っており、じっくりと成長していきたい方にとっては安心感のある企業といえるでしょう。

⑤ ベイン・アンド・カンパニー

ベインは、戦略ファームの中でも実行支援に強みを持つ企業です。成果への強いこだわりがあり、クライアントと密に連携しながらプロジェクトを進めていきます。

社員同士のサポート意識も高く、チームで動く風土が根付いています。近年は成長が著しく、ポジションのチャンスも多いでしょう。

結果を出すことに喜びを感じるタイプの方には、非常にやりがいのある環境です。

コンサルティング業界の選考対策

コンサルティング業界の選考は、他の業界と比べて求められる対策の幅が広く、しっかり準備していないと力を発揮しきれません。

論理性や実績の伝え方に加えて、独自の試験や面接形式にも対応が求められます。ここでは、選考を突破するためのポイントを順を追って整理しました。

1. ガクチカで課題解決力と成果をアピールする
2. 志望動機を論理的に構成する
3. 自己PRで強みと成果を伝える
4. SPI・玉手箱に頻出の問題パターンを練習する
5. GDでリーダーシップと協調性を発揮する
6. ケース面接の問題をフレームワークで練習する
7. 逆質問を通じて志望度の高さを示す
8. インターン参加前に業界・企業研究を深める

① ガクチカで課題解決力と成果をアピールする

学生時代に力を入れたこと、いわゆるガクチカでは、どのように課題を捉えて解決し、結果を出したかが問われます。ただの活動紹介では評価されません。

どんな問題があり、それをどう工夫して乗り越えたのかを具体的に説明しましょう。自分の役割や行動を明確に伝え、「なぜそう判断したのか」という思考の過程を見せることが重要です。

成果についても、できれば数値で裏付けると説得力が高まります。個人での取り組みだけでなく、チーム活動の中での貢献を語るのも効果的です。

② 志望動機を論理的に構成する

コンサル業界では、志望動機にも論理的な構成が求められます。「なぜコンサルか」「なぜその会社か」「なぜ自分が合っているか」の3点を、理由と背景をもとに筋道立てて伝えてください。

「成長したい」「スキルを活かしたい」だけでは不十分です。過去の経験と照らし合わせて、自分なりの動機に具体性を持たせることが大切。

企業のプロジェクト事例や価値観に触れながら語ることで、志望度の高さをより明確に示せるでしょう。

③ 自己PRで強みと成果を伝える

自己PRでは、単に自分の性格をアピールするのではなく、「その強みがどんな場面で活かされたか」「どのような成果を生んだか」を具体的に伝えることがポイントです。

たとえば、論理的思考力、行動力、調整力など、コンサルで求められる力とリンクさせて話すと評価されやすくなります。経験に基づいたエピソードがあると、より信頼性が増します。

自分の価値を相手にどう伝えるかを意識して、構成を考えてみてください。

④ SPI・玉手箱に頻出の問題パターンを練習する

コンサルティングファームの多くは、選考の初期段階でSPIや玉手箱といったWebテストを実施します。特に数的処理や論理問題の割合が高いため、事前の準備が欠かせません。

時間内に解き切る力が必要になるので、反復練習でスピードと正確さを磨いておくことが重要です。解き方のコツを押さえながら、過去問や模試で実践感覚を養っておきましょう。

早めに対策を始めておけば、他の選考準備にも余裕が生まれます。

⑤ GDでリーダーシップと協調性を発揮する

グループディスカッション（GD）では、話す量よりもチーム全体にどう貢献したかが評価されます。議論を前に進めたり、他のメンバーの意見をまとめたりする姿勢が重視されるのです。

コンサル業界では、進行管理や論点整理ができる人材が好まれます。自分の意見を押し通すのではなく、議論を整理しながらリードできるよう意識してください。

積極性と協調性のバランスが、評価のポイントです。

⑥ ケース面接の問題をフレームワークで練習する

ケース面接では、ビジネス課題に対する仮説の立て方や解決策の導出プロセスが見られます。内容が特殊に見えるかもしれませんが、基本的なフレームワークを活用することで整理しやすくなります。

たとえば「3C」「4P」「SWOT」などを使い、構造的に考える練習を重ねておくと安心です。正しい答えを出すことよりも、考え方や論理展開のわかりやすさが評価されます。

焦らず落ち着いて、自分の思考を丁寧に言葉にしてください。

⑦ 逆質問を通じて志望度の高さを示す

面接の最後にある逆質問の場面は、企業理解や志望度をアピールするチャンスです。ありきたりな質問では熱意が伝わらないため、事前に準備しておくことが大切。

興味のあるプロジェクトに関することや、若手の働き方、成長支援の制度など、自分のキャリア観と結びついた質問が効果的です。

「説明会で聞いた〇〇について詳しく知りたいです」といった形で、関心の深さを伝えると印象に残りやすくなります。

⑧ インターン参加前に業界・企業研究を深める

インターンシップは、本選考と直結するケースも多いため、事前準備が合否を左右します。特にコンサル業界では、業界全体の構造や企業ごとの強みを理解しておくことが求められるでしょう。

最低限のフレームワークや用語も頭に入れておくと、ワーク中の理解や発言がスムーズになります。

ただ参加するだけでなく、「なぜこのインターンに参加したのか」「どんな価値を発揮したいのか」を明確にしておくと、選考の評価にもつながるでしょう。

コンサル業界の全体像を理解してから選考に進もう！

コンサル業界に進むには、業界全体の構造や種類、仕事内容、今後の動向まで幅広く理解することが欠かせません。

ファームのタイプや日系・外資系の違い、求められる人物像を把握することで、自分に合うキャリアを見つけやすくなります。さらに、業界研究を深めることで、選考対策にも説得力が生まれるでしょう。

コンサルティング業界は変化が激しい分、最新の動向にも注目が必要です。今後もAIやDXといったテーマを中心にニーズが広がる中、未経験からでも活躍できるチャンスは十分あります。

業界の基礎から選考対策まで一通り押さえておくことで、内定への可能性はぐっと高まるでしょう。