研究職に向いている人の特徴とは?仕事内容や求められるスキルについても徹底解説
研究職は、専門性が高い職種なため、志望するにも「自分が向いているのか」不安になる方もいるでしょう。研究職に向いている人材はどんな特徴があるのか気になりますよね。
本記事では、上記の悩みを抱えている方に向けて、研究職に向いている人の特徴を解説。研究職の仕事内容や待遇、求められるスキルなどあわせて紹介します。
研究職に向いている人の特徴を把握して、自分の進路を決める参考にしましょう。
研究職に向いている人の特徴4選
研究職に向いている人の特徴は、次のとおりです。
研究職を志望する方は、自分が上記の特徴に当てはまるかチェックしておきましょう。
①探求心が強い人
探求心の強い人は、研究職に向いています。
なぜなら、研究職は新しい技術や商品を開発するため、研究を繰り返す仕事だからです。
研究職では「なぜこのような成果になるのか」「目的を達成するためにはどのような改善が必要か」と、常に考えて挑戦する探究心が必要ですよ。
対して、飽き性で興味が他に移りやすい人は、1つの成果を追い求めて試行錯誤する研究職に向いていません。
研究職には、物事にとことん興味を持って成果が出るまで繰り返す探求心と行動力が求められます。
②粘り強く集中して取り組める人
研究職に向いている人の特徴は、粘り強く集中して取り組める人です。
研究職は、地道な作業が多く、成果を求めて長期間にわたって試行錯誤を繰り返します。そのため、集中力のない人は、研究職の仕事を退屈に感じてしまうため向いていません。
対して、物事に粘り強く集中して取り組める人であれば、根気よく研究を進めていけます。
研究職で働くには、途中で飽きることなく、諦めずに成果を追い求められる集中力と責任感が求められますよ。
③失敗をポジティブに切り替えられる人
研究職は、何度もトライアンドエラーを繰り返す仕事なので、失敗をポジティブに切り替えられる人でないと務まりません。
仮説が立証されるまで根気強く研究を続けても、思いどおりの成果を得られないケースがほとんどです。
研究を成功させるには、何度も失敗を繰り返して次の仮説を打ち出す創造性とイノベーションが求められます。
失敗して気持ちが沈んでいては、研究で成果を出す前に挫折してしまうでしょう。研究者には、失敗しても気持ちを切り替えて、研究し続けられるポジティブな性格が必要です。
④コミュニケーション能力が高い人
研究者は、チームで協力して成果を追い求める仕事なので、高いコミュニケーション能力が求められます。
研究職は1人で黙々と作業するイメージを持っている方もいますが、他の研究者とコミュニケーションを取りながらチームで研究を進めなければいけません。
チームメンバーだけでなく、他部署の人材や外部の人々と関わるケースもあり、高いコミュニケーション能力が必要です。
研究を進める過程で意見交換や情報収集が必要となるため、チームや外部の人々と協力が大切ですよ。
また国際的なプロジェクトであれば、多種多様な海外の研究者たちとのコミュニケーションを取る必要があるため、社交性や言語能力が求められるでしょう。
【種類別】研究職の主な仕事内容
研究職の仕事内容は、主に次の3種類に分類されます。
各仕事内容を確認して、就職先や進路選びの参考にしてください。
①基礎研究
基礎研究は、まだ世に発見されていない新たな物質や理論・メカニズムを研究する仕事です。
未知の物質や理論を立証するためには仮説の検証と解明を繰り返して、柔軟な思考力と粘り強さが必要な仕事であり、忍耐力と探求心が求められます。
また研究を何度繰り返しても、未知の物質や理論を見つけ出すのは難しく、必ずしも成果に結びつくとは限りません。
基礎研究の成果が出るまで長期間かかるケースも多いですが、0から1を生み出した時の達成感がやりがいへとつながります。
②応用研究
応用研究は、基礎研究の成果をもとに実用化へ向けて研究する仕事です。
基礎研究で発見した新たな物質や理論・メカニズムなどを、製品化やサービス化へ実用化できるか研究を繰り返します。
医学の分野であれば、新たな治療法や薬剤の開発、工学では新たな製品設計や製造プロセスの立案などを行いますよ。
なお応用研究は、製品化やサービス化など基礎研究の成果を市場へ提供することが目的となるため、市場ニーズを調査するマーケティングスキルが必要です。
③開発研究
開発研究は、実用化できる技術や知識をもとに、製品化やサービス化へ向けて研究を進める仕事です。
基礎研究が0から1を生み出す仕事であるのに対して、開発研究は1を10や100へと大きく成長させます。
既存の技術やアイデアをもとに、市場へ提供する製品・サービスを開発し流通させ、試作品の開発から市場への導入まで行い、製品やサービスの普及を目的とする仕事です。
そのため、創造性や技術力だけでなく、市場ニーズを見極めるマーケティングスキルとプロジェクトを管理するマネジメントスキルが必要ですよ。
研究職に求められる能力や学歴・資格
研究職に求められる能力や学歴・資格は、次のとおりです。
研究職を目指す方は、必要な能力や学歴を取得しておきましょう。
①大学院の修士以上の学位
研究職を目指すなら、大学院の修士課程・博士課程を修了しておきましょう。
高い専門性が求められる研究職は、大学院で修士以上の学位を取得した方を募集するケースがほとんどです。
また大学の研究職を目指す場合は、助教授から准教授・教授へとキャリアアップしていくため、博士号の学位が求められます。
公的機関の研究職では、修士号の学位が求められるため、最低でも大学院の修士課程は修了しておかなければいけません。
研究職を志すなら、大学院へ進学し修士以上の学位を取得しましょう。
②公務員試験の合格実績
国立研究機関や公設試験研究機関など、自治体での研究職を目指す場合は、公務員試験の合格実績が必要です。
国立研究機関へ就職したい場合は国家公務員総合職試験、公設試験研究機関へ就職したいなら地方公務員試験を受検し、合格しましょう。
さらに公務員試験の合格実績だけでなく、研究機関が独自の採用試験を設けているケースがあります。
就活サイトやキャリアセンターなどで採用試験の情報を収集し、対策することで内定確率を向上させられるでしょう。
③TOEICなど語学力に関する資格
研究職は、国際的なプロジェクトに携わる機会もあるため、TOEICなど語学力に関わる資格を取得しておくと就職に有利です。
中でも英語力は、海外の論文を読んだり外国人と共同研究する際にコミュニケーションを取ったりと、研究を進める過程で必要となるスキルですよ。
大学院の修士以上の学位や公務員試験の合格実績とあわせて、TOEICなど語学力に関する資格を取得しておけば、研究職への就職活動を有利に進められます。
研究職の主な就職先
研究職の主な就職先は、次のとおりです。
研究職に就きたい方は、主な就職先を確認して就職活動の参考にしてください。
①大学・大学院
大学・大学院は、代表的な研究職の就職先です。
大学院に進学した後、2年の修士課程を修了し3年の博士課程を修了した上で、ホストドクターを目指します。
ポストドクターとは、大学や大学院で正規のポストに就かず、研究職を続ける期限付きの研究者です。
ポストドクターとしての任期は2〜3年ほどが一般的で、期間中に研究で成果を残せば、助教授へとキャリアアップできます。
研究職を目指すなら、ポストドクターからアカデミックポストを目指し、助教授から准教授・教授とキャリアアップする道も選択肢の1つです。
②公的機関
研究職として働きたいなら、国や地方自治体などの公的機関へ就職する方法があります。
公的機関の主な就職先は、次の3種類です。
就職先 | 運営元 | 事例 |
---|---|---|
国立研究機関 | 中央省庁 | 国立感染症研究所、科学警察研究所など |
国立研究開発法人 | 独立行政法人 | 理化学研究所、産業技術総合研究所など |
公設試験研究機関 | 地方公共団体 | 産業技術センター、健康安全センターなど |
公的機関の研究職へと就職するなら、公務員試験に合格して研究所が設ける採用試験も通過しなければいけません。
国や自治体のためになる研究が主なため、社会に貢献できているやりがいを感じられます。
③製薬会社などの民間企業
製薬会社などの民間企業も、研究職の就職先です。
製薬会社だけでなく食品や化粧品・化学など、さまざまなメーカーが研究部門を設けています。
民間企業の研究職へ就職した場合、メーカーの利益を上げるための製品開発やサービス開発を担当しますよ。
メーカーの利益を左右する重要な仕事となるため、一般的に大学院の修士以上を修了した学歴が必要です。また公的機関より収入が高く、自身の専門性に適した就職先を選びやすいでしょう。
自身の研究が市場に流通し、消費者の手元に届くことをやりがいとして感じられますよ。
研究職の就職難易度が高い理由
研究職は、他の職種に比べて就職難易度が高い傾向にあります。研究職の就職難易度が高い理由は、次のとおりです。
上記の理由から就職難易度が高い傾向にあるため、研究職を志す場合は早めに就職活動を行いましょう。
①求人数が少ない
研究職は、そもそも求人数が少ないため、就職難易度が高い傾向にあります。
自身の研究分野に求人を絞り込むと、募集数はさらに減少して就職先が限られるため、大学や研究機関とのコネクションを活用し、早期から情報収集を行いましょう。
ライバルとなる学生より先に情報を収集し、就職活動を行うことで、合格率を向上できます。
②採用のハードルが高い
研究職の就職難易度が高い理由は、採用のハードルが高いからです。
求人数が限られているだけでなく、応募しても採用要件が厳しいため、簡単には内定を獲得できません。
学歴として大学院の修士以上を求められ、場合によっては学会・学術論文の発表実績やTOEICの高スコアが必要です。
厳しい採用要件を通過するには、数多くの優秀な候補者より自身の能力や実績をアピールしなければなりません。
研究職を志しても、すべての候補者が内定を獲得できないため、ライバルに負けない能力や実績を培っておきましょう。
研究職で働く4つのメリット
研究職で働くメリットは、次の4つです。
各メリットを確認して、研究職で働くべきか検討しましょう。
①社会貢献できる
研究職で働くメリットは、社会貢献できることです。
自身の研究成果が社会に流通し、多くの人々を支える商品やサービスとして普及すれば、大きなやりがいを感じられます。
製薬会社などの研究であれば、自身の研究によって発見・開発された治療法や薬剤によって、人々の健康を守れることに喜びを感じるでしょう。
研究職は、現在の社会的な課題を解決し、市場ニーズに沿った商品・サービスの提供へとつながるやりがいのある仕事です。
研究職に就職すれば、社会へ自身の研究成果が反映されることに、大きな達成感を得られます。
②自分の好きなことを仕事に活かせる
研究職は、自分の好きな学問や分野を徹底的に追及できる仕事です。
自分の好きな学問や分野に特化して研究し続けられる環境は、探求心と好奇心が旺盛な方にとって、理想の仕事となるでしょう。
また個人では、研究が難しい学問や分野でも、研究所の充実した設備と人員・資金を活用すれば、思う存分に研究を進められます。
自分の好きな分野を徹底的に研究できることが、研究職で働くメリットです。
③達成感を得られる
研究職は、トライアンドエラーを繰り返して研究し続ける仕事なので、成果を得た際に大きな達成感を得られます。
仮定の検証を繰り返し、製品への実用化や新たな物質や理論・メカニズムを発見した際には、特別な達成感を得られるでしょう。
研究職で働くメリットは、自身の研究が実用化されると成果が世に認められ、やりがいを感じやすいことです。
④高収入が期待できる
研究職で働くと、高収入が期待できます。国税庁の令和4年度民間給与実態統計調査によると、「学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業」の平均給与は420万円でした。
参照元:令和4年度民間給与実態統計調査|国税庁長官官房企画課
全業種の平均給与が約389万円のため、研究職は高収入であると判断できます。
さらに研究職は、昇給による給与アップが大きく、長く働くほど高収入が期待できるため、需要の高いプロジェクトに参加し、革新的な成果を挙げれば、より高収入を得ることが可能です。
研究職で働く3つのデメリット
研究職を目指すべきか悩んでいる方は、次のデメリットを確認しておきましょう。研究職で働くとさまざまなメリットを得られますが、反面デメリットも存在します。
3つのデメリットを理解した上で、研究職で働くべきか検討してください。
①成果が求められる
研究職は、成果が厳しく求められる成果主義の仕事です。
成果を得られない研究は打ち切られてしまう可能性があるため、研究者はプレッシャーを抱えながら働いています。
また成果を挙げられない状態が続くと、営業職や他の部署へ左遷させられる可能性がありますよ。
なぜなら研究機関や企業からすると、成果を挙げられない研究に資金を費やすと損失が大きくなるため、利益とならない研究や研究者は不要となるからです。
そのため成果を求められるプレッシャーに耐えられない方は、研究者に向いていません。
②労働時間が長い
研究職は、成果を得るために何度も試行錯誤を繰り返すため、労働時間が長い傾向にあります。
特に若い研究者や実績が不十分な研究者は、低い給与で長時間労働を課せられる待遇が、「割に合わない」と感じてしまうでしょう。
就職先を選べば残業が少ないケースもありますが、研究者は成果を得るため長時間労働が必要となることを理解しておかなければ、就職してから後悔してしまいます。
成果主義で労働時間が長い研究職は、そもそも研究が好きでないと務まりません。
③転職に不向き
研究職は、特定の分野を掘り下げて研究するため転職には不向きです。
同分野の研究機関が求人を募集しているとは限らず、研究職自体の就職難易度が高いため、思いどおりの職場に転職できない可能性があります。
また研究職で培った知識や技術は、特定分野でのみ通用する専門的なスキルなので、他の業種や職種への転職は難しいでしょう。
ただし研究職で培った忍耐力や問題解決能力・論理的思考は、他業種や職種でも通用するため、自身の強みをアピールできれば転職活用を有利に進められます。
研究職を目指すならやっておくべき4つの準備
研究職を目指す場合は次の準備をしておきましょう。
上記の研究職を目指すならやっておくべき4つの準備を進めて、就職活動を有利に進めてください。
①専攻する研究分野を決める
就職活動を有利に進めるには、専攻する研究分野を早めに決めておきましょう。
研究職の就職活動では、大学院の修士以上を修了し、学会・学術での論文実績をアピールできる人材が有利です。
早めに専攻する研究分野を決めておけば、情報収集や対策に費やせる時間を確保し、他の候補者より経験を積む機会を増やせます。
研究で成果を挙げるためには、長い時間と豊富な知識が必要となるため、早めに専攻する研究分野を決めて実績をつくりましょう。
②自己分析や業界研究を徹底する
研究職を目指すなら、自己分析や業界研究を徹底しましょう。
就職活動を有利に進めたいなら、ただ研究に没頭するだけでは不十分です。
自己分析によって自身の適性や志向性を理解し、目指すべき分野と就職先を見極める必要があります。
また就職先の将来性を見極めるため、企業分析と業界分析の双方を行っておきましょう。
③大学院の修士・博士号を修了する
研究職に就職するためには、大学院の修士・博士号を修了しておかなければいけません。
多くの研究機関や企業が、研究職の募集要項に「大学院の修士・博士号を修了している」ことを条件として定めています。
どれだけ熱意があっても、募集要項に当てはまらない場合は書類選考で落とされるため、大学院の修士・博士号は修了しておきましょう。
④インターンシップへ参加する
学生のうちにインターンシップへ参加しておくと、就職活動を有利に進められます。
インターンシップでは、研究機関や企業で研究に携わり、大学では得られない経験を積めるでしょう。
また志望業界の探索や人脈形成など、就職活動における有益な情報取得が可能です。
インターンシップは、研究者として成長する経験を培えるため、学生のうちに参加しておきましょう。
研究職に向いている人の特徴を理解しよう
研究職は、成果主義の長時間労働が基本的な職種で離職したい場合にも転職しにくい特徴があります。
成果を挙げるまでに長い年月と労力が必要であり、失敗をポジティブに切り替えられるメンタルがなければ務まりません。またチームで研究を進めるため、高いコミュニケーション能力が求められます。
当記事で紹介した研究職で働くメリット・デメリットを確認した上で、研究者を目指したい方は、学生のうちから早めに準備しておきましょう。
専攻分野の選定や自己分析・業界分析を徹底し、インターンシップへ参加しておくと、就職活動を有利に進められますよ。
まずは志望動機を作ってみる
この記事を書いた人
編集部
「就活に苦しむ学生を減らしたい」をモットーに、志望動機やES、面接対策など、多種多様な就活の困りごとを解決するための記事を日々発信。700以上の記事で就活生の悩みに対処しつつ、就活の専門家であるキャリアアドバイザーの監修により、最後まで内定を狙える就活の方法を伝授し続けています。