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基本給とは?仕組みから影響まで基礎知識を理解するための完全ガイド

基本給とは給与の土台となる要素であり、その仕組みや影響を正しく理解しておくのはとても大切です。

この記事では基本給の定義から仕事給型や属人給型の仕組み、時間外手当やボーナス、退職金への影響まで基本給に関するあらゆる知識を詳しく解説します。

最低賃金との関係や基本給の確認方法、実生活で役立つ情報も提供しているので、この記事を通じて、給与の基礎知識をしっかりと身につけましょう。

基本給とは?定義と重要性

基本給とは、一定以上働くと毎月支給される給与です。雇用契約で定めた金額を受け取ります。

基本給は残業代やボーナス・通勤手当・インセンティブといった各種手当とは別に支払われます。社会保険料・所得税・住民税が引かれる前の給与の基本的な部分です。基本給自体は以下の要素で設定される場合が多いです。

  • 経験
  • 業務内容
  • 業務の遂行能力
  • 1ヶ月に働く時間の合計

さらに、基本給は以下のような項目を計算するときの基礎金額として使用されます。

  • 残業代
  • 賞与(ボーナス)
  • 退職金
  • 社会保険料

基本給は給与全体や生活に大きな影響を与えます。自分の基本給がどのように決まっているのか、範囲を理解し、どのようにすると得になるのかを把握しておくのが重要です。

基本給とは?給与に関する用語一覧

給与の表現として基本給以外に以下の5つがあります。給与として会社から支給されるお金ではありますが、それぞれの用語と基本給には違いがありますよ。

  1. 手取り
  2. 月給
  3. 月収
  4. 固定給
  5. 額面

基本給とは仕組みが異なるため、それぞれどのような仕組みなのかを把握し、違いを理解しておきましょう。それぞれ、詳しく解説をしていきます。

①手取り

手取りとは、基本給や各種手当を含む総支給額から税金や社会保険料の法定控除、さらに会社の規定による控除(健康保険・年金・労働組合費など)を差し引いたあとに、実際に給与として会社から受け取る金額です。

手取りは以下の項目をもとに決定されます。

項目金額
基本給20万円
各種手当(通勤手当・住宅手当など)3万円
控除(所得税・住民税・社会保険料など)-5万円
手取り18万円

基本給が20万円で、通勤手当・住宅手当・残業手当の合計で3万円加算され、総支給額が23万円だとします。ここから、所得税や住民税、社会保険料として合計5万円がかかった場合、これらを差し引いた約18万円が手取りです。

基本給は支給額の基盤となる金額で、手取りは実際に銀行口座に振り込まれる金額です。基本給から控除が行われたあとの最終的な受け取り金額に違いがあります。

②月給

月給とは、基本給に手当が含まれた1ヶ月間に支給される給与額です。具体的な手当としては、以下のような項目があります。

  • 通勤手当
  • 住宅手当
  • 役職手当
  • 残業手当

月給は基本給だけでなく、さまざまな手当や残業代が含まれるため基本給よりも通常高い金額になりますよ。月給は以下の項目をもとに決定されます。

項目金額
基本給20万円
各種手当(通勤手当・住宅手当など)6万円
月給26万円

例えば、基本給が20万円として通勤手当が1万円、住宅手当が2万円、さらに家族手当が3万円が会社から支給された場合、基本給と各種手当を合計した26万円(基本給20万円 + 各種手当6万円)が月給です。

月給は実際に1ヶ月で受け取る「全額」と理解するといいでしょう。

③月収

月収とは、月給(基本給+固定給)に変動手当をプラスした1ヶ月分の収入です。

変動手当は、働き方によって金額が変動する手当です。残業時間は月や人によって違うため、それに応じて金額も変動します。

そのほかにも皆勤手当・家族手当・通勤手当も変動手当に該当します。月収は以下の項目をもとに決定されますよ。

項目金額
月給基本給20万円
各種手当(通勤手当・住宅手当など)6万円
変動手当(残業代)2万円
月収28万円

例えば、先ほど月給で解説をした月給26万円(基本給20万円 + 各種手当6万円)にさらに加えて残業代2万円が追加された28万円(基本給20万円 + 各種手当6万円+残業代2万円)が月収です。

月収は基本給に各種手当や変動手当が加わった1ヶ月の総収入だと理解しておきましょう。

④固定給

固定給とは、毎月支払われる給与のうち、変動しない金額部分を指します。固定給は以下の項目をもとに決定されます。

項目金額
固定給基本給20万円
各種手当(通勤手当・役職手当など)5万円
変動手当(残業代)2万円
月収28万円

働いた時間や業績に関係なく支払われる金額となり、例えば、基本給20万円にたいして固定手当(通勤手当、役職手当)5万円、残業代2万円(変動部分)としますよ。

基本給は20万円、固定給は基本給と通勤手当や役職手当を含めた25万円(基本給20万円 + 固定手当5万円)です。この固定給には残業代の2万円は含まれません。

固定給は、基本給に加えて毎月固定して支給される手当を含む総額です。変動する金額を含みません。

⑤額面

額面(がくめん)とは、基本給や残業手当、家族手当といった諸手当を含めた会社から支給される総額です。

税金や社会保険料の各種控除が差し引かれる前の金額で、給与明細には総支給額と記載されていますよ。額面は以下の項目をもとに決定されます。

項目金額
基本給20万円
各種手当(住宅手当・通勤手当など)5万円
変動手当(残業代)3万円
額面28万円

例えば、基本給20万円、手当(通勤手当、住宅手当)5万円、残業代3万円の場合、基本給は20万円、額面は28万円(20万円 + 5万円 + 3万円)になります。

額面は、基本給に対して役職手当や資格手当、時間外手当、そのほか手当を含めたものです。総支給金額と表現されるケースも多いですよ。

年代別基本給の平均とは?

基本給の平均は厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」の結果をもとに年齢別、性別に分けて紹介をします。

「賃金構造基本統計調査」は雇用形態・就業形態・職種・性別・年齢・学歴等に分けて労働者の賃金の実態を明確にするのを目的として、毎年6月分の賃金について7月に調査が行われていますよ。

年齢男性女性
~19歳19.1万円18.8万円
20~24歳22.9万円21.9万円
25~29歳26.7万円24.5万円
30~34歳30.2万円25.9万円
35~39歳33.7万円27.0万円
40~44歳37.1万円27.6万円
45~49歳39.6万円28.1万円
50~54歳41.7万円28.5万円
55~59歳42.7万円28.1万円
60歳~33.4万円24.6万円
参照元:令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況

調査結果より、年齢が高くなるほど基本給が上がる傾向が見られ、男性では55〜59歳、女性は50~54歳がピークです。

また、20代では男女の賃金に大きな差は見られませんが、30代になると徐々に男女差が大きくなる傾向があり、女性は男性と比べて賃金上昇が緩やかです。

基本給の仕組み

ここからは基本給の仕組みについて解説します。基本給の決め方は企業によって異なりますが、主に以下3つの決め方があります。

  1. 仕事給型
  2. 属人給型
  3. 総合給型

基本給を決定するための方法、属人給型・仕事給型・総合給型について、それぞれ解説をしていきます。

①仕事給型(職務給、職能給)

仕事給型は、業務やプロジェクトごとに業績や成果を考慮して基本給が決まる方式で、一般的な年功序列とは異なり年齢や学歴、勤続年数が考慮されません。

従来の時間給や月給とは異なり、仕事の成果や達成度に応じて基本給が決定されるため、成果主義的な側面が強いのが特徴です。仕事給型は、特に専門職やフリーランスの働き方で多く採用されており、仕事の内容や難易度に応じて金額が変動します。

自身のスキルや経験は反映されやすいですが、一方で安定した収入が得られない、成果の評価が曖昧になりがちな点が課題です。

この制度は実力主義の考え方に基づいており、努力や成果が給与に直結するため、自分のスキルや業務内容に自信がある方には魅力的な制度といえるでしょう。

②属人給型(年功序列)

属人給型とは、従業員の学歴、年齢、勤続年数といった個人的な要素をもとに基本給が決まる給与制度です。

属人給型では、仕事内容や成果が直接基本給に影響しません。属人給型は年功序列型と似ており、年齢や勤続年数が増えると自然に給与が上がる仕組みです。

同じ業務をしていても、経験が豊富で資格を持つ方が若手や新入社員よりも高い給与が受け取れます。長期的なキャリア形成や安定した収入を目指す方にとって安心できる制度です。

ただし、仕事の成果や役割に応じて給与が決まるわけではないため、実力主義や成果主義を重視する企業では採用されにくいです。一方で、どれだけ努力しても基本給が大きく変わるケースは少なく、自身の成長や成果が給与に反映されにくいため、モチベーションを維持するのが難しい課題もあります。

③総合給型

総合給型とは、従業員の能力や職務内容、成果などを総合的に評価して給与を決定する方法です。

従業員の基本給は、以下の項目をもとに決定されます。

  • 年齢
  • 勤続年数
  • 学歴
  • 資格
  • 業績
  • 能力
  • 責任範囲

従業員の個々の実績や経験から基本給が決定します。経験豊富で資格を持ち、責任の大きい役割を担っている従業員には高い基本給が支給されるのです。

総合給型は、従業員の努力や成果を適切に評価され給与に反映させるため、実力を重視する企業で採用されています。また、従業員にとっても、自身のスキルや業績に応じた給与が支給されるため、モチベーションの向上につながりますよ。

基本給を含む給与の仕組みとは?

給与の内訳は、基本給を含め各種手当、控除項目で構成されています。以下に示すのが一般的な給与の内訳です。

【各種手当】

  • 役職手当: 管理職や特定の役割に就いている従業員に支給される手当。
  • 通勤手当: 会社への通勤にかかる交通費を補助するための手当。
  • 住宅手当: 住宅費用を補助するために支給される手当。
  • 家族手当: 扶養家族がいる従業員に支給される手当。
  • 残業手当: 法定労働時間を超えた労働に対して支払われる割増賃金。
  • 深夜手当: 夜間(通常22時以降)に働いた場合に支払われる手当。
  • 休日手当: 法定休日や所定休日に働いた場合に支払われる手当。

【控除項目】

  • 所得税: 給与から天引きされる税金。
  • 住民税: 住んでいる自治体に支払う税金。
  • 社会保険料: 健康保険料、年金保険料、雇用保険料、社会保険に関連する控除。
  • 労働保険料: 労災保険や雇用保険に関連する保険料。

給与明細には、各項目ごとの金額が記載されているので確認してみましょう。

基本給から影響するものとは?

手取りや月収が高ければ、基本給の金額は気にならない方もいるでしょう。しかし、基本給が低いと以下の4項目に影響します。ここでは、基本給が影響を及ぼす内容を紹介します。

  1. 時間外手当が低くなる
  2. 休日手当が低くなる
  3. ボーナスが少なくなる
  4. 退職金が少なくなる

基本給だけでなく、ほかの項目にも影響がある点を理解し、求人情報に記載されている基本給をチェックしてみましょう。

①時間外手当が低くなる

時間外手当とは、法定労働時間である1日8時間、週40時間を超えた場合に支払われる残業代です。

法定労働時間を超えて働く場合、会社との間に「時間外労働・休日労働に関する協定(通称:36(さぶろく)協定)」を締結する必要があります。

労働基準法で定められた時間外手当は賃金から25%増しとなり残業代は基本給を基に計算されるため基本給が低いと残業代も少なくなります。

例えば、基本給が20万円と30万円で比較すると、1時間あたりの残業代が基本給の25%増しなので、基本給が20万円のときは時給が1,250円で、30万円の場合は1,875円です。

結果として、残業時間が同じでも残業手当に1.5倍の差が生まれてしまうため、基本給の低さは、単に月給だけでなく残業代にも影響を与えてしまいます。

②休日手当が低くなる

休日手当は基本給を時間換算して計算されるため、基本給が低ければ休日手当も低くなります。休日手当とは、法定休日や所定休日に働いた場合に支給される賃金で、通常の労働時間外に働くため割増賃金として支給される手当です。

法定休日は労働基準法第35条にある週に1回以上設定されている休暇で、日本では日曜日が該当します。所定休日は企業が独自に設定した休日で週休二日制の場合は土曜日が該当し、法定休日とは別に設けられる休日です。

基本給が月20万円で、これに法定休日に仕事をすると1時間あたり約1,687円(1.35倍)となり、8時間働くと約13,496円が休日手当として支給されます。

基本給30万円であれば、休日手当が約20,250円となるため基本給が低いと休日手当の支給額に差額が生じます

③ボーナスが少なくなる

ボーナス支給額は、基本給に基づいて計算され「給与の2ヶ月分」といった形で支給額が決まるため基本給が低いとボーナスも低くなります

ボーナスとは毎月支給される給与とは別に、社員が日頃から企業に貢献してもらった感謝の意を込めて会社から支給される報酬です。賞与と表現されるときもあります。

ボーナスは、通常、夏(6月~7月)と冬(12月~1月)の年2回支給されることが一般的ですが、企業によっては年1回や年3回以上支給される場合もあります。

例えば、基本給が月15万円と月30万円の方がいてボーナスが基本給の2ヶ月分支給される場合、1回のボーナス支給額は月15万円の方は30万円、月30万円の方は60万円です。そのため、年2回支給されると年間で60万円のボーナスの差額が生じてしまいます。

このように基本給が少ないとボーナスに大きく影響するので、基本給の金額はとても重要です。

④退職金が少なくなる

退職金は多くの場合、基本給をベースにして計算されます。額面給与が高くても基本給の額が低ければ、退職金の額も低くなってしまいます。

退職金とは、従業員が企業を退職する際に受け取る一時金です。退職金は、長年の勤務に対する報酬や感謝の意味を込めて支払われるもので、老後の生活資金や転職までの生活費の一部として利用されるでしょう。

例えば、退職金が「基本給の1ヶ月分×勤続年数」として計算される場合、基本給が20万円で勤続30年の方は600万円(20万円×30年)を受け取りますが、基本給が30万円の場合は900万円(30万円×30年)です。

同じ年数働いても、基本給の違いが退職金に大きく影響するとわかります。基本給が低いと、将来の退職金が少なくなるため、長期的な資金計画にも影響がでます。

最低賃金以上を守る基本給のルールとは?

基本給と最低賃金の関係を正しく理解しておくのは、適正な賃金で働くためにも大切です。ここでは以下の2点について解説をします。

  1. 最低賃金とは?
  2. 基本給が最低賃金以上かを確認する方法

①最低賃金とは?

最低賃金とは、受け取るべき最低限の賃金で政府によって法的に定められています。

労働者が不当に低い賃金で働かされるのを防ぎ、最低限の生活を守るための保障策です。もし、会社から最低賃金を下回る賃金しか支給されていない場合は、法律違反となり、罰則が課せられる場合もあります。

最低賃金は都道府県ごとに設定される最低賃金「地域別最低賃金」と、特定の産業ごとに設定される最低賃金「産業別最低賃金」の2種類です。最低賃金は通常、時間給として設定されます。1時間あたりに支払われるべき最低限の金額が規定されています。

都道府県別の2024年度における最低賃金の目安は以下の通りです。中央最低賃金審議会は47都道府県で一律50円を引き上げ、全国で平均1,054円とする目安を示しました。

地域最低賃金
北海道1,010円
東京1,163円
愛知1,077円
大阪1,114円
京都1,058円
福岡991円
沖縄946円
全国平均1,054円
※2024年度の地域別最低賃金の目安

参照元:厚生労働省 令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について

②基本給が最低賃金以上かを確認する方法

基本給は、最低賃金以上で定める法的義務があります。

東京都の最低賃金は2024年10月に1,163円になると、東京労働局の審議会で発表がありました。これをもとに計算をすると、1日8時間、月22日働いた場合、東京都内で働く方に対して支払われるべき基本給の最低賃金は約204,688円です。

例えば、月給21万円支給されていて、内訳が基本給18万円、職務手当2万円、時間外手当1万円の最低賃金を計算してみましょう。時間外手当は最低賃金の対象とならないので基本給と職務手当を合わせた19万円が計算対象となり、時間換算すると1,079円です。

一見、東京都の最低賃金より支給されていると感じますが、実際に計算すると最低賃金時給(1,163円)を下回っています。

このように基本給が最低賃金を下回っている場合は、まずは会社の上司、もしくは人事部に相談をしてみましょう。もし、会社との話し合いで差額分の支払いや賃上げに応じてもらえない場合は各地域にある労働基準監督署や弁護士に相談すると是正指導をしてくれます。

基本給とは何かの基礎知識は理解しておこう

基本給は給与計算のもとになるため基礎知識を知っておくのはとても大切です。

基本給が低いと、時間外手当や休日手当、ボーナス、退職金といったさまざまな収入に影響を及ぼします。また、最低賃金以上とするのは、法律で定められた義務です。

ご自身の基本給が最低賃金を上回っているかどうかを確認するのは大切です。生活をしっかり安定させるためにも、就活前には基本給をしっかりチェックしてくださいね。

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    「就活に苦しむ学生を減らしたい」をモットーに、志望動機やES、面接対策など、多種多様な就活の困りごとを解決するための記事を日々発信。700以上の記事で就活生の悩みに対処しつつ、就活の専門家であるキャリアアドバイザーの監修により、最後まで内定を狙える就活の方法を伝授し続けています。