航海士の年収はいくら?仕事内容や資格・将来性を徹底解説
「航海士の仕事ってどんな内容?年収はどのくらいもらえるの?」
海の最前線で船の安全運航を支える「航海士」は、専門知識と判断力が求められる重要な職業です。外航船で世界中を巡る働き方もあれば、内航船で日本の物流を支える道もあり、その働き方によって年収やキャリアの幅も変わります。
そこで本記事では、航海士の仕事内容から資格の取り方、将来性やキャリアパスまでをわかりやすく解説します。これから航海士を目指す方や、海運業界の仕事に興味がある方はぜひ参考にしてください。
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航海士とは?

海の安全を守る「航海士」は、船の運航に欠かせない専門職です。
ここでは、航海士の定義や役割、ほかの船員職種との違い、そして階級構成について解説します。就職を考えている学生が「航海士の仕事」をより具体的にイメージできるよう、わかりやすくまとめました。
- 航海士の定義と役割
- 航海士と他の船員職種の違い
- 航海士の階級構成
①航海士の定義と役割
航海士とは、船の安全な運航を担う専門職で、船長の指示のもとで航海計画を立て、操船や見張りを行う仕事です。航海士の役割は「安全かつ正確に目的地へ船を導くこと」にあります。
その理由は、船が一度出港すると外部との通信が限られるため、航海士が現場の判断と指揮を担う必要があるからです。
具体的には、天候や潮流、航路の状況を把握して航海計画を作成し、航海中は24時間体制で当直勤務に入り、他船との衝突を防ぐための見張りや位置確認を行います。
このように、航海士は「海のパイロット」として、船と乗組員の安全を守る責任と誇りを持つ仕事といえるでしょう。
②航海士と他の船員職種の違い
航海士は、船の運航管理を担当するのに対し、機関士はエンジンの運転や整備、甲板員は甲板作業や荷役補助を行います。
航海士は船の進路や速度、運航スケジュールを判断し、チームを統率する役割を担うのです。たとえば、悪天候時には安全なルートを選定し、機関士と連携して推進出力を調整します。
航海士の判断ひとつで船の安全が左右されるため、技術力だけでなく冷静な判断力も必要です。このように、航海士は他の職種とは異なり、船の運航を統括する中心的なポジションを担っています。
③航海士の階級構成
航海士には明確な階級制度があり、経験と資格によって段階的に昇進します。「三等航海士」から始まり、「二等航海士」「一等航海士」を経て「船長」へと進むのが一般的な流れです。
このような階級制度があるのは、船の運航に高度な判断力と経験が求められるためです。三等航海士は航海当直や機器操作を担当し、二等航海士は航路計画や気象観測を行います。
一等航海士になると、貨物管理や乗員の指揮といったより、重要な任務を任されるのが一般的です。最終的に船長となれば、すべての航行と乗組員の統括を担うことになります。
階級を重ねながら専門性を高めることで、信頼される航海士として成長していけるでしょう。
航海士の仕事内容

航海士は、船の安全な運航を支えるプロフェッショナルです。ここでは、航海計画の立案から船の操船、気象観測、通信管理、安全対策まで、航海士が日々どのような仕事を行っているのかを紹介します。
海上での生活を具体的にイメージしたい就活生にとって、実際の業務内容を知ることは大きな一歩になるでしょう。
- 航海計画の立案と航路の設定
- 船の操船と航行中の見張り業務
- 気象・海象の観測と航行判断
- 通信・航海日誌の記録業務
- 入出港時の操船補助と係留作業の指揮
- 航海機器・装備の点検と保守管理
- 安全管理と緊急時対応業務
①航海計画の立案と航路の設定
航海士の最初の仕事は、船を安全に目的地まで導くための航海計画を立てることです。計画では、出港地と目的地の位置、海図の確認、潮流や風向き、海流、波の高さなどの自然条件を詳細に分析します。
さらに、他船の航行ルートや航路上の障害物、浅瀬、航行禁止区域なども考慮して最適なルートを設定するのです。
現在は、電子海図システム(ECDIS)やGPSを活用し、過去データと照らし合わせながら高精度の航路を作成します。
こうした慎重な計画づくりが、燃料効率の向上や到着時刻の正確さにもつながるのです。航海士にとって、出航前のこの準備こそがすべての航海の基盤といえるでしょう。
②船の操船と航行中の見張り業務
航海士は、航海中に船の進行方向や速度を調整する操船を担当すると同時に、周囲の船や障害物を常に監視して、事故を防ぐ重要な役割も担っています。
昼夜を問わず航行が続くため、見張り業務は24時間体制で交代しながら行われるのです。
特に、夜間や霧の中など視界が悪いときは、レーダーやAIS(自動船舶識別装置)を駆使して周囲の状況を正確に把握し、最適な判断を下します。
海上では、一瞬の油断が衝突や座礁など重大事故につながるため、集中力と冷静さが不可欠です。波の高さや風の強さを読み取りながら、最適な舵角や速力を判断する技術も求められます。
まさに、航海士は「船を導く操縦士」であり、安全な運航を支える中心的存在です。
③気象・海象の観測と航行判断
航海士は、航海中の天気や海の状態を常に観測し、そのデータをもとに航行の可否や航路の変更を判断します。
たとえば、台風や強風、波の高さ、潮の流れ、霧の発生状況などを観測し、危険が予想される場合には航路を変更したり速度を落としたりして安全を確保するのです。
こうした判断は船の安全に直結するため、気象学や海象学の知識が欠かせません。
また、気象庁や国際海事機関(IMO)から提供される最新の気象データや衛星情報を確認し、予測と照合することも重要です。
熟練した航海士は、雲の形や風の変化といった小さなサインから、天候の急変を察知することができます。まさに「海の天気予報士」としての感覚と経験が求められる業務といえるでしょう。
④通信・航海日誌の記録業務
航海士は、航行中の通信管理と航海日誌の記録を担当しています。港湾当局や他船との無線通信を通じて、安全な入出港や航行情報の共有を行うのです。
通信内容は正確さが求められるため、国際的な通信規則に沿って英語でやり取りすることもあるでしょう。また、航海日誌には日時や位置、天候、船速、進路、船内での出来事などを詳細に記録します。
これらの記録は、トラブル発生時の原因究明や安全運航の検証資料として欠かせません。地味に見える作業ですが、航海日誌は「船の行動記録」として法的にも重要な文書です。
正確な記録を日々積み重ねることが、信頼される航海士として成長する第一歩といえるでしょう。
⑤入出港時の操船補助と係留作業の指揮
港に出入りする際、航海士は船長を補助して操船を行います。港湾内は狭く、他の船や岸壁との距離が近いため、わずかな判断ミスが大事故につながる危険があるでしょう。
そのため、航海士は風向きや潮流を細かく観察し、速力や舵の角度を調整して安全な進入をサポートします。
港に到着した後は、ロープで船を岸壁に固定する「係留作業」をチームで行い、航海士が現場の指揮をとります。時には、タグボート(補助船)と連携しながら、スムーズな接岸を目指ることもあるでしょう。
入出港の瞬間は航海の中でも最も緊張感が高く、全乗組員が一体となって集中する時間です。航海士の冷静な判断と的確な指示が、船と人命を守る大切な要となります。
⑥航海機器・装備の点検と保守管理
航海士は、船の運航に欠かせない航海機器を日常的に点検します。
レーダー、GPS、コンパス、ジャイロ、オートパイロットなどの航行機器が正確に作動しているかを確認し、異常があればすぐに修理・報告を行います。
これらの機器の不具合は、航行ミスや通信障害など重大なトラブルにつながるおそれがあるため、点検は慎重さと専門知識が求められるでしょう。
また、装備品の校正やソフトウェアの更新なども業務の一環です。航海士は機械操作にも長けており、技術者としての側面を併せ持っています。
こうした日々の点検と保守が、安心して航海を続けられる環境を支えているのです。航海士は「海上のエンジニア」として、見えないところで船の安全を守っています。
⑦安全管理と緊急時対応業務
航海士は、安全管理の中心的な役割を担い、乗組員全員の安全を守る責任を負っています。
火災、浸水、機関トラブル、人命救助など、緊急時には迅速に指揮を執り、冷静に対処することが求められるのです。
そのため、日常的に避難訓練や救命ボートの点検、消火訓練などを実施して、非常時に備えています。また、救命胴衣や救難信号装置などの安全装備も定期的に確認し、いつでも使用できる状態を保ちます。
安全管理は「何も起こさないための努力」が求められる分野であり、航海士の責任感と判断力が大きく問われる部分です。
どんな状況でも冷静に対応し、仲間の命を守ることが航海士という職業の誇りであり、使命といえるでしょう。
航海士の平均年収

航海士の年収は、勤務先や経験年数、資格の等級によって大きく変わります。ここでは、厚生労働省の統計データをもとに、最新の年収水準や月収の目安、経験・勤務先による違いをわかりやすく解説しましょう。
就職を考える学生にとって、将来の収入イメージを持つことは大切です。
- 最新統計で見る航海士の年収(給与構造含む)
- 平均月収・時給水準の目安
- 年齢・経験年数別の年収推移
- 船種・勤務先別の年収のばらつき
- 手当・賞与・その他収入要素の影響
- 就業形態・契約形態と年収への影響
①最新統計で見る航海士の年収(給与構造含む)
厚生労働省「職業情報提供サイト」によると、航海士の平均年収は約467.3万円とされています。全国平均よりやや高く、安定した収入が見込める職業です。
この数値には基本給に加えて、定期手当や賞与、残業代などが含まれています。
航海士は国家資格が必要であり、船舶の運航を安全に導く責任を持つため、高い専門性と重責に応じた給与体系が設定されているのです。
特に外航船勤務では、長期航海に伴う危険手当や外航手当が支給されることもあり、実際の年収はさらに高くなる傾向があります。
②平均月収・時給水準の目安
航海士の月収は平均で約38.9万円、時給に換算すると約2,128円です。専門職の中でも比較的高い水準といえるでしょう。
航海士は、24時間体制の交代勤務で航行を管理し、安全を守るために常に高い集中力が求められます。そのため、労働時間の長さや責任の重さを考慮すると、この給与は十分に納得できるものです。
外航船などでは、夜間手当や航海手当が上乗せされるため、実際の収入は平均値より高くなるケースも少なくありません。努力や勤務環境に応じて、収入を伸ばせる職業といえるでしょう。
③年齢・経験年数別の年収推移
航海士の平均年齢は48歳で、経験を重ねるごとに年収が上がる傾向があります。年齢や経験年数が収入につながる職業です。
若手のうちは平均年収を下回りますが、航海経験を積むにつれて昇格や資格手当が加わり、収入は着実に伸びていきます。
特に、一等航海士や船長クラスになると、平均を大きく上回る年収を得ることが可能です。経験の積み重ねが報酬に反映されやすいため、長期的にキャリアを築く価値のある職種といえるでしょう。
④船種・勤務先別の年収のばらつき
勤務先や船の種類によっても、航海士の収入には大きな差があるのです。一般的に、外航船の航海士は年収923万円と高く、長期航海や海外勤務に伴う手当が上乗せされます。
一方、内航船は航海期間が短く、622万円ほどが相場です。航海期間が短く生活の安定を重視する人に向いています。
また、海上保安庁などの公的機関に勤務する場合は、国家公務員としての給与体系が適用され、年功序列で安定した収入を得られます。
どの働き方を選ぶかによって、年収と生活のバランスが変わるのが特徴です。
⑤手当・賞与・その他収入要素の影響
航海士の給与は、基本給に加えて多くの手当で構成されています。主に、航海手当、外航手当、危険手当、夜間手当、資格手当などです。
さらに、賞与は年2回支給されることが多く、会社の業績や個人評価によって金額が変動します。
これらの手当や賞与は、年収全体の大きな割合を占めるため、勤務先の制度によって収入差が出やすい点が特徴です。
昇格や資格取得を意識的に目指すことで、安定した収入に加えて年収アップも期待できるでしょう。
⑥就業形態・契約形態と年収への影響
厚生労働省のデータによると、航海士の就業者のうち約91.2%が正社員で、契約社員などの非正規雇用は約5.9%です。結論として、航海士は正社員として安定的に働く人が多い職業といえます。
正社員の場合は昇給・賞与・退職金制度が整っており、長期的なキャリアを築きやすいでしょう。一方、契約社員は勤務期間が限定される代わりに、航海ごとの報酬が高めに設定されることがあります。
働き方によって収入やライフスタイルが変わるため、自分に合った形を見極めて選ぶことが大切です。
航海士になるには

航海士になるには、専門的な知識と国家資格が欠かせません。
ここでは、航海士を目指すための具体的なステップや必要な資格、実習の流れ、就職先の選び方までをわかりやすく解説します。大学や専門学校卒業後にどう行動すれば良いのか、将来設計の参考にしてください。
- 航海士になるための基本的なステップ
- 航海士に求められる学歴・専攻分野
- 必要な国家資格「海技士(航海)」の取得方法
- 実習・乗船経験の積み方
- 航海士として就職できる主な進路
- 未経験から航海士を目指す場合のルート
①航海士になるための基本的なステップ
学歴と資格の両方を備えることが求められるため、航海士を目指すには、まず海事系の学校や大学で航海に関する専門知識を学ぶことが出発点です。
授業では航法や海図の読み方、船の運航管理などを学び、卒業後に国家資格である「海技士(航海)」を取得します。また、船に乗って実際の航海業務を経験する「乗船実習」も必須です。
この経験が資格取得に必要な要件となり、現場感覚を磨く貴重な機会になります。基礎を積み上げながら段階的に進めることで、航海士としてのキャリアを築くことができるでしょう。
②航海士に求められる学歴・専攻分野
航海士を目指すなら、海洋系や航海系の学部・学科に進学するのが一般的で、商船系大学や海上技術学校など、海事教育に特化した環境で学ぶことが最も近道です。
これらの学校では航海学・船舶運用・気象学などを体系的に学べるほか、実習制度も整っています。
特に国立の商船大学や海上技術短期大学校では、卒業と同時に「海技士(航海)」試験の一部免除を受けられる制度があり、効率的に資格取得を目指せます。
理数系の基礎知識や英語力も役立つため、在学中から意識して伸ばしておくと良いでしょう。
③必要な国家資格「海技士(航海)」の取得方法
航海士として働くには、国土交通省が定める国家資格「海技士(航海)」の取得が必要で、この資格がなければ船舶の運航に従事することはできません。
資格は1級から6級まであり、担当できる船の規模や航行区域によって区分されています。受験には一定の乗船経験が求められますが、海事系の学校を卒業すれば一部の実務要件が免除される場合もあります。
筆記試験では航法や気象、運用など幅広い知識が問われるため、在学中から計画的に勉強を進めることが大切です。
④実習・乗船経験の積み方
航海士を目指すうえで欠かせないのが、乗船実習です。海上での経験が資格取得にもスキルアップにも直結します。
練習船や実際の商船で行われる実習では、航海計画の立案、操船、気象観測などを実践的に学びます。商船大学や海上技術学校には練習船があり、数か月間の航海を通じて実務感覚を養うのです。
民間の海運会社で実務実習を行う場合もあり、現場での経験は就職活動で高く評価されます。船上での生活は厳しさもありますが、航海士としての成長を実感できる貴重な時間です。
⑤航海士として就職できる主な進路
航海士の進路には、海運会社、フェリー会社、海上保安庁などがあり、自分がどのような働き方をしたいかによって進む道が異なります。
外航船では国際航路を担当し、世界を相手に働ける一方で長期航海が中心になります。内航船は日本国内の輸送を担い、生活リズムを保ちやすい環境です。
海上保安庁などの官公庁では国家公務員としての安定した待遇を得られます。いずれの進路でも、船の安全運航を支えるという大きな責任とやりがいを感じながら働けるでしょう。
⑥未経験から航海士を目指す場合のルート
未経験者でも航海士を目指すことは可能で、海技士養成講習(六級一種)を活用すれば、社会人からでも資格取得を目指せるのです。
また、海上技術短期大学校の受験には年齢制限がなく、社会人経験がある方も卒業後に海技士(航海)試験の受験資格を得られます。
最初は大変に感じるかもしれませんが、意欲と計画性を持って学び続ければ、航海士としてのキャリアを築くことは十分に可能です。
航海士を目指せる大学・専門学校

航海士を目指すには、海事教育を専門に行う大学や専門学校、海技教育機関で学ぶことが重要です。ここでは、航海士を養成する主な大学や学部、専門学校、そして資格取得を支援する教育機関について紹介します。
進路の選択によって学び方や就職のチャンスが変わるため、自分に合ったルートを見つけることが大切です。
- 航海士を養成する主な大学・学部
- 航海士を目指せる専門学校
- 航海士の資格取得を支援する海技教育機関
①航海士を養成する主な大学・学部
航海士を養成する大学では、航海術や海洋工学などを体系的に学べます。海事系の学部がある大学への進学が最も一般的なルートです。
代表的な大学には東京海洋大学、神戸大学(海事科学部)、広島商船高等専門学校などがあります。
これらの大学では、座学だけでなく練習船を使った実習を通して実践的なスキルを身につけることができるでしょう。
卒業と同時に「海技士(航海)」試験の一部免除を受けられる制度もあり、資格取得を効率的に進められるのが大きな利点です。
進学先を選ぶ際は、教育内容や実習環境、卒業後の就職実績なども確認しておくと安心でしょう。
②航海士を目指せる専門学校
航海士を目指す専門学校では、より実践的なカリキュラムを通じて短期間で資格取得を目指すため、早く現場に出たい人には専門学校進学が向いています。
代表的な学校には、国立の海上技術短期大学校(小樽・清水・波方・大島・唐津)や、水産大学校などがあります。
これらの学校では、実務重視の教育を行っており、卒業後には「三級海技士(航海)」の受験資格を得られる点が特徴です。
また、操船シミュレーターや航法実習などを通して、現場で即戦力として働けるスキルを身につけられます。外航船・内航船、いずれの進路にも対応できる実践的な教育環境といえるでしょう。
③航海士の資格取得を支援する海技教育機関
航海士を目指す人を支援する機関として、「海技教育機構(JMETS)」が運営する海技教育機関があります。社会人や未経験者でも、航海士を目指せる制度が整っている点が魅力です。
全国に設置された海上技術学校や短期大学校では、航法・気象・船舶運用などの専門知識を学びながら、実習で実務スキルを身につけることができます。
卒業すれば国家試験の受験資格を得られるほか、資格取得後のキャリアサポートや研修制度も充実しています。
働きながら資格を取りたい方や、別業界から海事業界に挑戦したい方にもおすすめの環境といえるでしょう。
航海士に必要な国家資格「海技士(航海)」について

航海士として働くには、国土交通省が定める国家資格「海技士(航海)」を取得する必要があります。
ここでは、その資格の概要や等級、試験内容、乗船要件、学習ステップなどを分かりやすく紹介しています。資格制度を理解しておくことで、効率的に目標へ近づけるでしょう。
- 国家資格「海技士(航海)」の概要
- 海技士(航海)資格の等級と受験条件
- 海技士試験の内容と合格率
- 航海士になるための実務経験・乗船履歴の要件
- 資格取得までの流れと学習ステップ
- 資格取得後の更新・キャリアアップ制度
①国家資格「海技士(航海)」の概要
海技士(航海)は、船舶の運航を安全に行うために必要な国家資格です。この資格を取得しなければ、航海士として乗務することはできません。
国土交通省が定めた基準に基づき、船舶の大きさや航行区域に応じて必要な等級が異なります。試験は筆記・口述・身体検査の3つで構成され、航法・気象・運用・法規など幅広い知識が求められます。
計画的な学習と実務理解が不可欠ですが、取得後は国内外を問わず活躍できる専門資格といえるでしょう。
②海技士(航海)資格の等級と受験条件
海技士(航海)には、1級から6級までの等級があります。等級が上がるほど、操船できる船の大きさや航行範囲が広がるのが特徴です。
たとえば、6級は沿岸の小型船舶を対象とし、1級では外航船(国際航路)まで操縦できます。受験条件には学歴や乗船履歴があり、海事系学校を卒業すれば乗船要件が一部免除されることもあるでしょう。
最初は3級や4級を目指し、経験を積んで上位資格へと進むのが一般的です。段階的にステップアップできる資格体系が整っているのが特徴といえるでしょう。
③海技士試験の内容と合格率
海技士試験は、筆記試験・口述試験・身体検査の3段階に分かれています。筆記試験では航法・気象・法規・運用などの知識が問われ、実務的な理解が必要です。
筆記試験の合格率はおおむね50%前後で、計画的な勉強が求められます。口述試験では航海中のトラブル対応や操船判断など、実際の現場を想定した質問が中心です。
さらに身体検査では、視力や聴力など安全運航に支障がないかを確認します。全体的に難易度は高めですが、体系的に学習すれば十分に合格可能です。
④航海士になるための実務経験・乗船履歴の要件
航海士を目指すには、一定の乗船実績を積む必要があります。この実務経験は、資格取得の大きな条件の一つです。たとえば、6級では6か月前後、3級では2年以上の乗船履歴が求められます。
これらは練習船での実習で代替できる場合もあり、海事系学校では在学中に要件を満たせるカリキュラムが整っているのです。
実際の航海を経験することで、操船技術や航路計画、緊急対応力を身につけられます。机上の学びだけでなく、実務を通じた成長が航海士への近道です。
⑤資格取得までの流れと学習ステップ
海技士(航海)の資格を取得するには、「学習→実習→試験→合格」というステップを踏みます。最短ルートは海事系大学や専門学校に進学することです。
これにより、乗船実習や試験免除制度を利用しながら効率的に学べます。独学や社会人からの挑戦も可能ですが、筆記試験では専門用語が多いため通信講座や予備校を活用するのも効果的です。
学習の流れとしては、航法・気象などの基礎を理解したうえで、法規や運用といった応用分野へ進むのが一般的でしょう。焦らず継続的に学びを重ねていく姿勢が、合格へのカギとなります。
⑥資格取得後の更新・キャリアアップ制度
海技士(航海)の資格は取得して終わりではなく、5年ごとの更新が必要です。更新講習を受けることで、最新の知識と技術を維持できます。
講習では、法改正や新しい航海技術、緊急対応などが取り上げられ、常に現場対応力を高める内容です。
実務経験を積めば上位等級への受験資格も得られ、最終的には船長や運航管理者として活躍する道も開けます。資格は、キャリアを広げるための重要な基盤です。
常に学び続ける姿勢が、信頼される航海士への成長につながります。
航海士の魅力・やりがい

航海士は、広大な海を舞台に活躍できるスケールの大きな職業です。
ここでは、航海士として働く中で感じられるやりがいや、他の仕事にはない魅力を紹介します。世界を相手にする責任の重さと、それを乗り越えたときの達成感は、この職業ならではでしょう。
- 世界を舞台に活躍できるスケールの大きさ
- 自然と向き合うダイナミックな仕事環境
- 海外航海を通じて得られる貴重な経験
- チームで航海を成功させる達成感
- 安定した収入と長期的なキャリア形成
①世界を舞台に活躍できるスケールの大きさ
航海士の魅力の一つは、世界中の海を舞台に働けるスケールの大きさです。そのため、地球規模で活躍したい人にとって、非常にやりがいのある職業といえるでしょう。
日本から海外の港まで物資を運ぶ航路を担当することもあり、日常的に異国の文化や景色に触れる機会があります。
また、国際的なルールや海上交通の知識を駆使して航海を成功に導くため、自然と視野が広がるでしょう。
自分の仕事が、世界の物流を支えているという誇りを感じながら働けることが、航海士ならではの大きな魅力です。
②自然と向き合うダイナミックな仕事環境
航海士は、自然と常に向き合うダイナミックな環境で働きます。机上の仕事では味わえない「自然の迫力」と「人間の挑戦心」を感じられる職業です。
海上では天候や波の変化を読み取り、最適な航路を判断する力が求められます。時には、嵐や濃霧などの厳しい状況に直面することもありますが、それを乗り越えることで大きな達成感が得られるでしょう。
また、朝焼けや満天の星空など、自然の美しさを間近で体感できるのも特権です。日々変化する海と向き合いながら働く環境は、多くの航海士を魅了しています。
③海外航海を通じて得られる貴重な経験
航海士は、海外航海を通じて多様な文化や人々に触れることができます。世界を旅しながら成長できる職業といえるでしょう。
外航船では、アジアやヨーロッパ、北米などを結ぶ長期航海が多く、寄港地では現地の文化や生活に触れる機会もあります。
国際的なクルーと協働しながら、言語や価値観の違いを乗り越える経験は、柔軟な思考力を養う貴重な時間です。
こうした経験を積むことで、異文化理解とコミュニケーション能力が磨かれ、グローバルな視点を持つ社会人へと成長できるでしょう。
④チームで航海を成功させる達成感
航海士の仕事は、チームで力を合わせて航海を成功させることに、大きなやりがいがあります。そのため、仲間との信頼関係が成果を生む職業です。
船長・機関士・通信士など、専門分野の異なるメンバーが連携しながら、一つの航海を成し遂げます。天候やトラブルなど、予測できない状況を乗り越えるためには、迅速な判断と協力が欠かせません。
無事に目的地へ到着した瞬間は、全員が一体となって喜びを分かち合えます。個人プレーよりもチームで成果を出すことに魅力を感じる人にとって、航海士は理想的な職業といえるでしょう。
⑤安定した収入と長期的なキャリア形成
航海士は、安定した収入と長期的なキャリアを築ける点も魅力の一つです。努力がしっかりと報われる職業といえるでしょう。
国家資格「海技士(航海)」を取得して働くため、給与水準は一般職より高めで、手当や福利厚生も充実しています。特に、外航船勤務では危険手当や外航手当が加わり、年収がさらに上がる傾向があります。
経験を積めば、船長や運航管理者といった上位職への昇進も可能です。海上勤務だけでなく、陸上でのキャリア転向も視野に入れられるため、長期的に安定した働き方ができる職業でしょう。
航海士に向いている人の特徴

航海士は、船の安全運航を担う重要な職業です。そのため、単に海や船が好きという気持ちだけではなく、強い責任感や冷静な判断力、チームワークを大切にする姿勢などが求められます。
ここでは、航海士に向いている人の特徴を紹介します。自分の性格や価値観と照らし合わせながら、適性を確認してみてください。
- 責任感が強く安全意識を持てる人
- チームワークを大切にできる人
- 状況判断力と冷静さを持つ人
- 体力と精神力に自信がある人
- 海や船に興味・情熱を持っている人
- 規律を守りながらコツコツ努力できる人
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①責任感が強く安全意識を持てる人
航海士にとって最も大切なのは、責任感と安全意識です。そのため、「人命と船を守る意識」を持てる人が向いているでしょう。
航海中は天候の急変や機械トラブル、通信障害など、予期せぬ事態が発生することも少なくありません。その際に、冷静に状況を分析し、迅速かつ的確に判断して行動する力が求められます。
小さな油断や確認ミスが、大規模な事故や人命に関わるトラブルへとつながるおそれもあるでしょう。そのため、常に慎重に業務を行い、危険を未然に防ぐ姿勢が欠かせません。
安全を最優先に考え、周囲のクルーや船全体の安全を守る意識を持てる人こそ、信頼される航海士になれるのです。
②チームワークを大切にできる人
航海士の仕事は、船長、機関士、通信士、調理員など、多様な職種の人々と協力しながら航海を進めるため、協調性があり、仲間を思いやる姿勢を持てる人が向いています。
ときには、異なる国籍や文化を持つクルーと長期間生活を共にすることもあり、異文化理解や柔軟なコミュニケーション力が求められます。
チームワークが取れていないと、小さな連携ミスが大きなトラブルを招くこともあるため、互いを尊重しながら行動することが大切です。
共通の目標である「安全な航海」を実現するために、自分の役割を果たしながら仲間を支え合える人が、この仕事で成功できるでしょう。
③状況判断力と冷静さを持つ人
海上では、天候の悪化や航路上の障害物、通信機器の不具合など、想定外の状況が頻繁に発生します。そのため、航海士には、突発的なトラブルや変化に対して冷静に判断する力が求められるのです。
そのような中で焦らず、最も安全かつ合理的な行動を取る判断力が欠かせません。特に、夜間当直や狭い水道での操船などでは、わずかな判断の遅れが重大事故につながるおそれがあります。
そのため、普段から冷静沈着に状況を見極め、リスクを先読みして行動できる人が向いています。緊迫した場面でも落ち着きを保ち、的確な判断を下せる人こそ、航海士として高く評価されるでしょう。
④体力と精神力に自信がある人
航海士は、長期の乗船勤務や不規則な勤務形態など、体力的にも精神的にも負担が大きい仕事です。
24時間体制の交代勤務により、昼夜を問わず当直に入ることがあり、荒天時には船体の揺れや強風の中での作業を行うこともあります。
こうした厳しい環境でも集中力を切らさず、安全運航を維持するには、強靭な体力と精神力が必要です。
また、長期間海上で過ごす生活では、孤独やストレスを感じる場面もあるため、自己管理能力と前向きな気持ちを持てる人が向いています。
心身の健康を維持し、困難を乗り越えながら粘り強く働ける人ほど、長く安定して活躍できるでしょう。
⑤海や船に興味・情熱を持っている人
航海士を目指す上で、海や船への興味・情熱は欠かせない要素です。海上での生活は決して楽なものではありませんが、海を愛し、船や航海技術に興味を持てる人にとっては、日々の業務が大きな喜びとなります。
自然と向き合う環境を楽しめる人ほど、この仕事に向いているといえるでしょう。航海中に見る壮大な海原や夜空、各国の港での経験など、海上でしか味わえない瞬間が多くあります。
また、航海機器や操船技術に興味を持ち、自ら学び続ける意欲も重要です。海や船に対する探究心があれば、困難な状況にも前向きに取り組めるため、航海士として長く続ける力になります。
⑥規律を守りながらコツコツ努力できる人
航海士は、厳格なルールのもとで働く職業です。そのため、決められたルールをきちんと守り、地道に努力を積み重ねられる人が向いているでしょう。
安全運航を守るため、船内の行動や業務手順には細かい規律が定められています。航海中は毎日の点検・記録・報告など、一見単調に思える業務も多いですが、これを正確にこなすことが船の安全を支えています。
また、資格の更新や上級資格の取得など、継続的な学習も欠かせません。日々の積み重ねを大切にできる人ほど信頼を得やすく、結果的にキャリアアップにもつながります。
真面目に取り組み、努力を惜しまない姿勢が、航海士として長く活躍するための土台になるでしょう。
航海士になった後のキャリアプラン

航海士として働いた後には、幅広いキャリアの選択肢があります。経験を積んで船長を目指す道のほか、専門職や陸上勤務への転身など、自分の目指す働き方に合わせたキャリア形成が可能です。
ここでは、航海士としての経験を生かせる主な進路を紹介します。
- 航海士から船長への昇格
- 水先案内人など専門職への道
- 外航船・内航船間でのキャリアチェンジ
- 海運会社や関連業界への転職・再就職
- 経験を活かした教育・指導職へのキャリア展開
①航海士から船長への昇格
航海士の代表的なキャリアアップの道は、船長への昇格です。実務経験を積み「一級海技士(航海)」資格を取得すれば、船長になることが可能でしょう。
船長は船の最高責任者として、乗組員の指揮や運航全体を統括します。航路の最終判断や危険回避の決断を下すのも船長の役割であり、その責任の重さは計り知れません。
しかし、その分やりがいと達成感も非常に大きく、年収1,000万円を超えるケースも多く見られます。
長い航海を成功に導き、乗組員の信頼を得ながらキャリアを積み重ねることで、真のリーダーとして成長していく過程は航海士にとって最大の目標の一つでしょう。
経験を積み重ねながら、船全体を任される立場を目指すのは大きなやりがいとなります。
②水先案内人など専門職への道
航海士として十分な経験を積んだ後は、水先案内人(パイロット)などの専門職を目指す道もあります。そのため、特定の海域を熟知し、船を安全に導く専門家として活躍できるでしょう。
水先案内人は国家資格が必要で、港湾周辺の潮流や地形、航路の特徴を把握し、さまざまな種類の船舶を的確に誘導します。
危険区域を熟知した判断力と高い操船技術が求められるため、非常に専門性の高い職業です。また、地域に密着して働くことができるため、安定した勤務環境や地元での生活を重視する人にも向いています。
さらに、港湾管理者や運航管理者など、陸上で海上運航を支える役職に進むことも可能です。海上経験を基盤に、専門知識を深めて働きたい人には魅力的なキャリアパスです。
③外航船・内航船間でのキャリアチェンジ
航海士は、外航船と内航船のどちらでも活躍できる職種であり、ライフステージに合わせて柔軟に働き方を選べます。
仕事と生活のバランスを取りながら自分らしいキャリアを築くことができるでしょう。外航船では、世界中の港を巡るスケールの大きな仕事ができ、国際的な経験を積むチャンスがあります。
一方で、内航船は国内航路を中心に短期間の運航が多いため、家族との時間を確保しやすく安定した生活が送れるでしょう。
若いうちは外航船で経験を積み、将来的に内航船へ移ることで生活リズムを変える人も少なくありません。
自分の目標やライフプランに合わせて選択肢を持てるのが、航海士という職業の大きな魅力の一つといえるでしょう。
④海運会社や関連業界への転職・再就職
航海士としての経験は、海運会社や造船、物流などの関連業界でも高く評価されます。現場で培った知識や判断力を活かし、陸上業務にキャリアチェンジすることが可能です。
たとえば、海運会社では運航管理や船舶運用の計画部門、保険会社では船舶保険や損害対応のスペシャリストとして活躍できます。
また、造船会社や港湾運営企業では、実際の運航を理解したうえで設計・安全管理の改善に携わることもあるでしょう。
現場での経験を持つ人材は、机上だけでは得られないリアルな視点を持っており、企業にとって欠かせない存在です。
長期乗船からの転身を考える人にとっても、安定した働き方を選べる魅力的な道といえるでしょう。
⑤経験を活かした教育・指導職へのキャリア展開
航海士として積み上げた経験を、教育の現場で活かす道もあります。次世代の航海士を育てる立場として、知識と実践力を伝えることもできるでしょう。
海技教育機関や海上技術学校などでは、実務経験を持つ講師が学生に航海技術や安全管理を指導しています。一定の乗船年数や資格が必要ですが、教育職としての安定性や社会的信頼も高いです。
また、民間企業の研修センターや船員教育機関で、現役船員向けの訓練や安全講習を担当することもあります。
自らの経験を次世代に継承し、未来の海を担う人材を育てるという点で、非常にやりがいのある仕事といえるでしょう。海を愛し、その魅力を伝え続けたい人に最適なキャリアパスです。
航海士という仕事の将来性と収入の展望

航海士は、海上輸送の安全を支える専門職であり、将来性と安定した収入の両方を兼ね備えた職業です。
航海士の年収は平均600万円前後と高水準で、経験や資格によってさらに上を目指せます。その理由は、航海士が高い専門知識と責任を求められる国家資格職であり、国際的にも需要が安定しているからです。
特に、外航船勤務では危険手当や外航手当が加算され、年収が大きく上がる傾向にあります。また、航海士は船長や水先案内人などへのキャリアアップも可能で、一生を通じて成長できる仕事です。
海や船に情熱を持ち、責任感を大切にする人にとって、航海士はやりがいと安定を両立できる理想的な職業といえるでしょう。
まずは志望動機を作ってみる

この記事を書いた人
編集部
「就活に苦しむ学生を減らしたい」をモットーに、志望動機やES、面接対策など、多種多様な就活の困りごとを解決するための記事を日々発信。700以上の記事で就活生の悩みに対処しつつ、就活の専門家であるキャリアアドバイザーの監修により、最後まで内定を狙える就活の方法を伝授し続けています。














